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13~15時にとる約20分のチョイ寝が疲れを激減! 眠りの専門家に聞く昼寝の極意

集英社オンライン / 2022年9月12日 13時1分

昨今、昼寝の効果に注目が集まっている。とはいえ、昼寝がうまくできない人、起床後にいまいちスッキリしないという人も多いのではないだろうか? そこで今回は、昼寝にまつわる疑問を睡眠の専門家の林光緒先生に質問。正しい昼寝の仕方を探った。

そもそもなぜ、今昼寝が注目されているのか。その理由について、睡眠の専門家、広島大学大学院 人間社会科学研究科 人間総合科学プログラム教授の林光緒先生は「日中の仮眠が眠気の低減ばかりでなく、作業成績や意欲などの向上にも効果的であるとして、仮眠の効用が注目されています」と教えてくれた。

では、快適に昼寝を取るにはどうしたらよいのか。昼寝に関するさまざまな疑問をQ&A形式で紹介しよう。


Q.効果的な昼寝の時間とは?

A.効果的な昼寝時間の目安は15〜30分。

昼寝によるメリットを得るためには、ノンレム睡眠の状態で短時間、適度な深さで眠る必要があります。ノンレム睡眠は、睡眠の深さに応じて4つに段階に分けられており、うとうと舟をこぐ睡眠は睡眠段階“1”にあたりますが、いい効果はほとんどありません。逆に、睡眠段階“3”以上の深睡眠に入ると、夜間の深睡眠を妨害するので逆効果になってしまいます。そのため、昼寝は睡眠状態2の段階にとどめることがとても大切です。睡眠段階2の状態から目覚めると頭がすっきりとする効果が得られます。

若い人ほど睡眠の進行が早く、段階3以上の深睡眠になりやすいので、若年層では15~20分間程度、中高年では15~25分間程度、高齢者では睡眠が深くなりにくく進行も遅いため、30分程度が最適な昼寝の時間となります。

<効果的な昼寝時間の目安>
若年層…15~20分 中高年層…15~25分 高齢者…30分

Q.昼寝をするべき時間帯とは?

A.昼の13〜15時ごろに休息を当てるのがベスト!

昼寝をする時間帯で一番適しているのは、眠くなったときです。人間の生体リズムでは、昼の13〜15時ごろに眠気のピークが訪れます。特定の時間に眠くなるなら、その時間帯を休憩時間に充てることをおすすめします。

また昼食を食べて血糖値が上昇することで、昼下がりに眠気が強くなる場合があります。その場合も、昼寝をして構いません。食後に寝るとよくないと聞いたことがあるかもしれませんが、食後の睡眠が体に悪いという説に科学的根拠はありません。無理をせず、眠気のリズムに合わせて昼寝を取るように心掛けましょう。

ただし、夕方に寝ると夜間の睡眠を妨害してしまいますので、昼寝をするなら16時までにしましょう。

Q.昼寝をするならベッドか? デスクか?

A.仰向け寝はおすすめしません。

効果的な昼寝のためには、睡眠段階“2”の状態で起きることが必要です。睡眠段階2は脱力した状態になるので、何かで頭を支えなければなりません。ですが、横になって寝るよりも、椅子やソファなどに座りながら寝る方が眠りが深くならないため、昼寝には適しています。

しかし、椅子に座りながらデスクなどに頭を乗せるうつぶせ寝は背中を曲げるので、背骨に負担がかかる上にお腹が圧迫されて眠れないという方もいるでしょう。その場合は、クッションやタオルなどの柔らかいものを机の上に載せたり、椅子の高さを下げるなどの工夫が必要です。うつぶせ寝ができない場合は、壁やヘッドレストなどに頭をもたれかけて寝てもよいでしょう。

一方、横になって、仰向け(あおむけ)に寝そべる場合は、一番眠りやすい姿勢ですので、睡眠段階2に最も早く達します。しかし、深睡眠(睡眠段階3)に達するのも早いので、アラームをセットして必ず起きるようにしましょう。とはいえ、仰向け寝は気持ちがいいので、アラームが鳴っても「もう少しだけ」と二度寝しがち。あまりおすすめしません。

Q.仕事中の仮眠は「起きれなかったらどうしよう」と不安です。

A.座って眠る、ホワイトノイズを聴く…などの工夫がおすすめです。

前回答と同じく、横になって眠ってしまうと、深睡眠になって起きれなくなるので、座りながら(頭をもたげて)眠ることで、安心して眠ることにつながるでしょう。

また、年代に合わせた15~30分の短時間の睡眠時間で起きることが大切です。目覚まし時計を掛けた上で、「15分経ったら起きる」と自分に言い聞かせるようにしましょう。

昼寝をする前段階としては、アイマスクを使って目元を暗くすることがおすすめです。光には覚醒効果があり、明るい場所では眠りにくいので昼寝をするときは、アイマスクをする、暗い場所を選ぶ、パソコンのディスプレイの光を消すといった、なるべく暗い環境を作るように工夫しましょう。

睡眠中は、ホワイトノイズを聴きながら眠るのもおすすめです。ホワイトノイズとはヒーリングミュージックにもよく使われている、流水音、波、風などの雑音のこと。脳の活動を抑えて眠りを促す効果があると言われています。アプリや音楽配信サービス、YouTubeなどを活用してホワイトノイズを聞きながら、昼寝をするといいでしょう。ただし、音の大きさには注意。目が覚めている間はリラックスできる音量でも、睡眠に入っていくと睡眠を妨害してしまうことがあります。音量は少し小さめにすることがポイントです。

Q.昼寝から起きた時に、なんとなくぼやっとしてしまいます。対処法はありますか?

A.昼寝は短い時間にとどめて。起きた後の工夫も大切。

前述のとおり、昼寝は、短時間で起きることが大切です。ただし、睡眠段階2で起きても2~3分間は眠気が続くことがあります。交感神経を高めることで眠気は抜けると考えられることから、起きてから2~3分の間には、ストレッチや洗顔、明るい光を浴びる等の工夫が大切です。またタイマーや目覚まし時計を使う時は、軽快な(アップテンポ)音楽などで、気持ちよく起きるのも昼寝のコツの1つでしょう。

あらかじめ決まった時間に自ら念じて起きる方法を自己覚醒法と言います。自己覚醒法を使って目覚めると、起床する前から交感神経系活動が高まり、目覚めがよくなることが知られています。

さらに、昼寝の前にコーヒーを飲む「コーヒーナップ」であれば、仮眠の効用とコーヒーのカフェインによる2つの効果を期待できます。日中、強い眠気が起きたら15〜20分ほど短い昼寝をすると、眠気や疲労感が解消され、眠気がなくなります。さらに、コーヒーを飲んでから昼寝をする「コーヒーナップ」によって、より短時間仮眠後の覚醒感が高まるのです。実験でも、コーヒーナップによって昼寝のあとの眠気がもっとも下がる結果も出ていることから、仮眠後に眠気が残るようであれば、コーヒーナップを活用するとよいでしょう。

Q.夜、寝つきが悪いのが悩みです。

A.体のリズムと関係が深い、光を意識して。

長く起きていると疲労が蓄積していき、睡眠に入ると疲労が徐々に解消していきます。夜間睡眠をとるまでの覚醒時間が短いと、寝つきに影響するものです。

また、普段の生活において、通勤時などのちょっとした移動時間は、朝陽を浴びる機会でもあったのですが、リモートワークの生活になると、こうした光を浴びる機会が減ってしまうことが考えられます。オン・オフを差別化する上で、光(特にブルーライト)は、目から脳の視交叉上核に届いて体のリズムに影響します。リモートワークで外出する機会が少ない生活では、朝起きたらカーテンを開けて、目が覚めるまでの間は外の景色を眺めることで、できるだけ自然の光を浴びるようにしましょう。

逆に、夜間にブルーライトを発するLED照明やパソコンやテレビなどのディスプレイ等の電子機器の使用は、夜間睡眠に必要な体温低下を抑制し、覚醒レベルを上げてしまうので、入眠が妨害されます。夜間の照明は「調光」機能を用いて暖色系の光に切り替え、電子機器の使用はなるべく差し控えること。さらに夜間にスムーズに入眠するためには、就床時に体温を低下させる必要があるので、就床直前の高温入浴や運動は避けたほうがよいです。

また、食事に関しては2つのことを意識しましょう。
まず1つは、朝ご飯をしっかりと食べること。オン・オフを差別化する生活のリズムには、カラダの体内時計も影響するといわれており、朝ごはんをしっかり食べることが体内時計をきちんと働かせるからです。次に、栄養バランスのとれた食生活を送ることも睡眠に大きく影響します。特に眠気をもたらすホルモンである「メラトニン」の原料、トリプトファンという必須アミノ酸を摂取することがおすすめです。肉・魚・卵・大豆などのタンパク質と合わせて、トリプトファンを多く含むビタミン・ミネラルも摂取しましょう。

<寝つきが悪い人が意識するポイント>
・夜間は暖色照明にする(白色のLEDライトは使用を避ける)
・就寝時刻が前後しても、毎日同じ時間に起床する
・目覚めたら、朝日を浴びる
・朝ご飯を食べる
・土日に寝だめをしない
・長い昼寝・夕寝をしない
・トリプトファンを摂取する

取材・文/於ありさ

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