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月1万円の積立で54万円お得!? 10月のiDeCo制度改正から全会社員ができるバカにできない節税対策

集英社オンライン / 2022年9月30日 10時1分

2022年10月1日より今までiDeCoに加入できなかった会社員も加入することができるようになる。「iDeCo=節税」というイメージもあるが、正しく認識できていない人が多いようなので、改めてiDeCoと税金について解説する。

iDeCoとは、個人型確定拠出年金の愛称

これまで会社の規約上の問題で介入できない人が多かったのですが、2022年10月からほぼすべての会社員がiDeCoに加入することができるようになります。そのため、多くの方にとってNISA制度と同じくらい身近になる制度になります。

iDeCoとは個人型確定拠出年金の愛称です。確定拠出年金には企業型もありますが、違いを簡単に言うと「誰がお金を出すのか?」という点が違います。企業型確定拠出年金とは会社がお金を出して従業員が投資信託などで運用する「退職金制度」です。



これまでの退職金制度は、退職金の金額が確定していましたが、企業型確定拠出年金は会社が出すお金「拠出金」が「確定」しているので確定拠出年金と言います。ちなみにいわゆる退職金制度は「給付」される退職金が「確定」しているので確定給付年金と呼びます。

iDeCoとは、企業型確定拠出年金の個人バージョンだと思ってください。会社ではなく自分でお金を拠出し、運用して自分の年金を作っていく制度ということです。

元々、退職金のない自営業者の方が主に利用していた制度ですが、会社に勤めていながらも福利厚生として退職金制度がない企業に勤めている人も少なくありません。その人たちは自分で退職金に変わる資金を作る必要があるため、そういった会社員の方も利用できるようにという流れがあり、今回の改変となったということですね。

では、自分で自分の年金を準備していくiDeCoがなぜよく話題に上がるのでしょうか?

それは、普通に投資していくより税優遇される制度だからです。

「3つの税優遇」という広告の噓と本当

よくiDeCoには「3つの税優遇」があると言われます。表現として正しくない部分もありますが、まずはその3つの税優遇を確認していきましょう。

① 拠出した金額が全額所得控除になる
② 運用時の利益に対して非課税
③ 受取時にも控除を利用することができる

まず①ですが、もしあなたがiDeCoを始めて年間10万円をiDeCoに拠出したとします。すると、この拠出金10万円が所得控除となり、所得税と住民税が少なくなります。住民税は10%と決まっていますが、所得税は所得によって税率が異なります。

所得税率は最低5%、最高45%(復興税除く)です。ちなみに目安としてお伝えしておくと年収400万円前後の人であれば、おそらく一番低い5%程度だと思います。

もし仮に所得税率5%、住民税率10%とする場合、毎月1万円(年間12万円)拠出をすることにより所得税が6,000円、住民税が12,000円少なくなるということになります。

これを30年続けると、18,000円×30年ですのでトータル54万円の税金が少なくなるというわけです。月々1万円の拠出でも長く続けるとバカにならない金額になります。

そして、「②運用時の利益にも非課税」とありますが、特定口座などの課税口座で運用する場合、利益が出ると20%課税されるのですが、iDeCoではそれも非課税となっています。

ただし、これは税優遇でも何でもなくiDeCoは出口部分で元本と利益を合わせた元利合計を課税対象とするので、途中で課税しないというだけです。言ってしまえばiDeCoとは入り口と途中で税金は取らないけれども、最後にまとめて課税するシステムなのですね。

したがって受け取り時の控除を利用できるかが重要になります。

3つの受け取り方で一番お得なのは?

受取方法は年金形式と一時金形式、もしくは両方を利用、の3択となっており、受け取り方によって課税方法も変わります。

先に言っておくと年金形式で受け取るとあまりメリットはありません。理由としては、年金形式で受け取る場合、公的年金等控除を利用できますが、その名の通り公的年金に利用する控除のため、多くの方は公的年金で控除を使い切る可能性が高いからです。

65歳以上の方の場合、公的年金等控除は110万円です。言い換えると年金額が110万円を超えている人にとっては、iDeCoを年金受け取りした場合の控除は0円ということになります。

また年金形式で受け取ると毎年の所得が増えることになり、所得で計算される健康保険料なども増えるためハッキリ言って良いことがありません。ですので、iDeCoを利用するなら一時金で受け取る方が賢明です。

あまりメリットのない年金受け取りに対して、一時金受け取りは控除額がとても多いという特徴があります。一時金で受け取る際は退職所得に分類され、退職所得控除という控除を利用できます。

会社に退職金がある人は少し計算がややこしくなるので割愛しますが、退職金がない人は簡単に退職所得控除を計算できます。

iDeCoの拠出期間が20年以下の場合は、40万円×「iDeCoの拠出期間」が退職所得控除額です。もし、20年以上iDeCoを拠出する場合は21年以降は控除額が40万円ではなく70万円に増えます。

仮に30年間iDeCoを拠出した場合の退職所得控除額は以下の通りです。

20年間は40万円の控除のため、40万円×20年
21年目以降は70万円控除のため、70万円×10年

合算すると1,500万円となります。つまり、控除が1,500万円ですのでiDeCoの元利合計が1,500万円以下であれば税金は発生しないということになります。

このように受け取り方によって税額は大きく変わる点をよく理解しておきましょう。iDeCoの税優遇は入り口と出口の両方を活用できてこそ。入り口だけでも税の繰り延べ効果などもありますが、やはり両方使えてこその税優遇だと思います。

税金に無知な人があまりに多い

ここまで読んでいただいた方の中には、「税優遇という言葉に惹かれてiDeCoを利用しようと思っていたけど、なんだか難しそうだしやめようかな」と思った人もいるかもしれません。少し厳しいことを言いますが、税金を抑えるためにiDeCoをしようと思っているのであれば、これくらいは理解しておくべきです。

「節税」という言葉が好きな会社員の方は多いのですが、税金に対して無知な方が多いのも事実です。節税するのであれば、自分の場合どれくらいの税金を払っていて、どれくらいの効果になるかを考えるべきです。

筆者はiDeCo利用者であり、制度自体は悪いものではないと思っているのですが、つみたてNISAなどと比較すると、60歳まで引き出せないことや最低でも月額171円の手数料が必要なことなど、事前に知っておくべきことが多い制度だとも思っています。

それらを理解した上でiDeCoを利用しているのであれば問題ありませんが、税優遇されているからという理由だけで始めようと思っている方は、もう少し理解してから始めた方がよいかもしれません。

取材・文/井上ヨウスケ

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