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音楽史上最も偉大なミュージシャン・ビートルズとインドで過ごした奇跡の8日間

集英社オンライン / 2022年9月22日 11時1分

何かとストレスの多い現代人の間では、マインドフルネスや瞑想の効用が注目を集めている。音楽史上最も偉大な世界的ロックバンド「ザ・ビートルズ」も半世紀以上前に、瞑想による貴重な体験をしていた。

なぜ今、ビートルズinインド?

エミー賞を2度受賞し、300本以上のドラマやドキュメンタリー作品を手がけているカナダの監督/プロデューサー、ポール・サルツマン。23歳当時、失恋の傷を癒すためにインドのガンジス川のほとりにあるアシュラム(僧院)を訪れ、そこで偶然にもザ・ビートルズの4人と出会った。監督がビートルズと過ごしたミラクルな8日間の模様を収めた写真をもとに製作したドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』が9月23日に公開される。



解散前の晩年、ビートルズがインドでの体験や東洋思想に影響を受けたことは広く知られているが、インド滞在時の知られざるビートルズの姿や監督自身の心の旅を通して、瞑想の力やメンタルケアについての視座も生まれる本作について、監督に訊いた。

ポール・サルツマン監督

――『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』を作ろうと思った一番の理由を教えてください。

地球上に生きる人間として成長していく必要があるし、創造性を持ち続けることが大事だと思うんです。映画の中でも話していますが、私はインドでの瞑想によってそのような感覚を得ることができました。そのことを多くの方に伝えたかったのです。

――製作総指揮をデヴィッド・リンチ、ナレーションをモーガン・フリーマンにお願いしたのはどういった理由だったのでしょう?

まず、デヴィッド・リンチは非常に感受性が豊かな人です。そして、彼は実際に瞑想の実践者で、心の旅を経験している知識豊かな賢人なわけで。瞑想によって自身の人生がどう変わったかを雄弁に語ることができると思ったので、製作総指揮をお願いしました。

デヴィッド・リンチ

モーガン・フリーマンにナレーションをお願いしたのは、多くのナレーターが脚本に何かしらの要素を付け加えることが多い中、今回、私は脚本をそのまま理解することを求めたからです。魂を込めて語ってくれる安らぎのあるナレーションだったので、それをやってもらえるのは彼だと思いました。

ビートルズだって自分と同じ人間

――映画は写真とインタビュー映像と回想部分のイラストによって構成されていますが、構成上一番こだわった部分というのは?

シンプルに、この物語を心のあるものにしたかったんです。そのために、写真とインタビュー映像とイラストという3つの要素をいかにバランスよく配置するかということを考えました。同じような表現をして飽きさせたくないし、エゴを前面に出すようなこともしたくない。他に気に入ったアニメがいくつもあったんですが、編集した上で合わないと思ったのでカットしたこともありました。合計85時間ぐらいあった動画をそういったことを意識しながら編集していったんです。

――実際インドでビートルズの面々や彼らの当時のパートナー、そしてミア・ファローやビーチボーイズのマイク・ラブといった錚々たる顔ぶれと遭遇した時は、率直にどんなことを感じたんですか?

ビートルズの面々と会ったことを話すと、多くの人々は「すごいことだ」「歴史的なことだ」というような反応をしますが、実際は会って1分後には「すごい、あのビートルズだ」というような興奮は消えてました。この世の中で重要なのは富や名声ではなく、自分がどう人に対して向き合うか、どう地球のことを思って行動するかだと思っています。

ビートルズのメンバーやミア・ファローやマイク・ラブがそれぞれの仕事において成し遂げていることは素晴らしいと思いますが、インドで彼らと出会った時は、そういった先入観を取り払って、1から彼らを知りたいという感覚を覚えました。誰と出会った時でもそういう気持ちを持つことが大事だと思っています。カメラを持って歩いたのも2回だけでしたね。

ジョン・レノン

フィルムもたくさん持っていたし、なおかつジョンはとてもフレンドリーで「僕が写ってる写真があったら送ってくれない?」っていうことを言ってくれたんですが、私はそこで一緒に写真を撮ったり、サインをねだったりという気にはならなかった。ビートルズの音楽は私の人生に大きな影響を与えていますが、実際の彼らに対しては、自分と同じ人間であるという想いを強く抱きました。

そういう経験をした、自分にとって思い入れの深い場所ということもあって、私はこれまでインドに60回くらい行っています。とても素晴らしいところでツアーも企画しましたので、興味のある方はチェックしてもらえたら嬉しいです(※記事の最後にツアー企画サイトの記載あり)。

富と名声の中に「心の平穏」はない

――監督自身もビートルズのメンバーもインドのアシュラムによって心の平穏を得たと思うんですけれど、現代もメンタルヘルスに問題を抱えている人は多くいます。何かアドバイスできることがあるとしたらどんなことを伝えますか?

自分はセラピストではないので、良いアドバイスをできるかはわかりませんが、悩みを抱えている人がいることに対しては心を痛めています。その立場から言うとするならば、瞑想というのは決して宗教等ではなく、祈りだと思っています。自分の心を知るために役立つツールだと考えています。

随分昔に付き合っていた恋人に、「私たちは地球という学校に生きている。地球がいろんなことを教えてくれるんだよね」と言われたことがありました。愛や創造性、慎み深さを学ぶために人間は生きている。ただ、心の悩みを抱えている人にとっては、「そんなこと言われても簡単には理解できない」というように感じるかもしれませんが、一番大事なのは自分を知り、自分を愛することだと思います。そうでなければ他人にも優しくできないと思うんですよね。

ジョージ・ハリスン

大きな成功を収めても、大金持ちでも自殺をするケースも多くあります。なぜ多くのものを手にした人が自らの手で死を選んでしまうのか。映画の中でジョージも言っていますが、名声もお金も手に入れた夢のような状況にあっても、そこに心の平穏は存在しないんですよね。やはり一番大事なのは、自分に優しくすること。そうすれば他の人にも優しくできて、愛や心の平穏を手にすることができるんだと思います。

「自分が勇気をもらえた出来事は他の人にも勇気を与えてくれる」

――監督は本当に数多くの作品に携われていますが、創作活動の原動力はどういうものなのでしょう?

いい質問ですね。僕が撮った2作目のドキュメンタリー作品『The Perlmutar Story』の話をします。ユダヤ人の家族がやっているパン屋さんが市場にあって、そこでよくパンやお菓子を買っていたんですが、人々が歌を歌ったり、お客さんとそのユダヤ人の家族が冗談を言い合ったりという光景がいつも繰り広げられていて、私はそのお店のことをドキュメンタリー作品にしたいと思いました。

でも、そのことをその家族に伝えても、「うちみたいなのを撮ったって仕方ないよ」と言われ続け、OKをもらうのに2年かかったんです。そういうことがあった上で完成した作品が、カナダの映画祭のドキュメンタリー部門で監督賞を受賞しました。その受賞インタビューで話したことというのが、

「自分が勇気をもらえた出来事は他の人にも勇気を与えてくれるんだ」ということでした。その気持ちは今も変わっていません。人は助け合って生きています。

生きていれば不愉快なことはたくさんありますが、私は人のことが好きなんですよね。だから、自分の作品で誰かを勇気づけたいし、それが自分の幸せに繋がります。

取材・文/小松香里


『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』(2022) 上映時間:1時間19分/日本
2022年9月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー
配給:ミモザフィルムズ
© B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved
公式サイト:https://mimosafilms.com/beatles

【ポール・サルツマン監督と行くインドツアー】
2023年9月15日~10月1日(17日間)
詳細はBestway Tours&Safaris公式サイトにてご確認ください(英語のみ対応)。

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