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「八重歯とむっちりが好き」頓知気さきなが熱く語る、昭和アイドル&グラビア愛

集英社オンライン / 2022年9月15日 16時1分

少年院出身アイドルとして知られる実姉の戦慄かなのと共にアイドルユニット「femme fatale(ファム・ファタール)」で活動する頓痴気さきな。自身の写真集発売にあたり、80年代アイドルの河合奈保子の体型に憧れて体重増量を試みたそう。そんな頓知気に、グラビアや昭和アイドルへの愛を語ってもらった。

頓知気さきな インタビュー前編

頓知気さきな

今年4月に『頓知気さきな CONCEPT Collaboration Photo Book』(KADOKAWA)を発売した頓知気さきな。これは、いわゆるグラビアを愛する彼女が、新津保建秀や桑島智輝といったグラビア界を代表するフォトグラファー5名を指名し、コラボレーションした写真集だ。



この写真集の発売にあたって頓知気は、「河合奈保子をモデルにデブエットをした」とコメント。2021年発売のファースト写真集『ときめきヒロイン』(集英社)でも1980年代の写真集の衣装を再現するなど、80年代女性アイドルのグラビアへの愛を発揮している。

自身は2000年生まれながら、彼女が感じている“レトログラビア”の魅力とは何なのか、聞いてみた。

* * *

顔があまりにかわいくて、誰だこれは!

――グラビアを好きになった経緯は?

頓知気さきな(以下、同) もともと女の子も写真も好きだったので、自然とグラビアを見るようになりました。昭和のアイドルの存在に惹かれ始めたのは高校生くらいです。Pinterest(ピンタレスト)とかで好きな画像をまとめたりするのをよくやっていて、関連に昭和のアイドルの画像が出てくるんですよ。なんかこの子かわいいな、いいな、って思って調べてみたら、松田聖子さんだったのが最初ですね。

――現代っぽい入りですね。

そうですね(笑)。調べ出すとどんどん「おすすめ」に出てくるみたいな。特に好きなアイドルとして挙げている南野陽子さんや斉藤由貴さんもそうやってたどり着きました。

――サジェストされる画像を見て、その女性のどんなところが気になって調べるんですか?

かわいらしい雰囲気やオーラです。誰だこれは!って調べてました。本当に全員かわいい。時代を問わないかわいさですよね。

「むっちりな感じが好みですね」

――どういったところが好みなんでしょうか?

凛とした品のあるオーラが好きです。あと、痩せすぎている人が少なく健康的なイメージです。他には歯並びフェチで、八重歯が特に好きなので、河合奈保子さんなんかはそこがビビッときました。本当にかわいい。

――グラビアがお好きとのことで、体型もポイントですよね。

はい。好みに波はあるんですが、基本的には健康的な体つきが好きで。むっちりみたいな感じが好みですね。最近の方だと、大原優乃さん、ちとせよしのさんが好きです。

――80年代「アイドル」というより80年代「グラビア」に惹かれるのはなぜなのでしょうか?

もともと女の子や写真が好きなことからグラビアも好きで、80年代のものは写真の雰囲気や距離感、女の子の眼差しが強そうなところがツボです。

グラビアを好きになる前からレトロな画風の少年漫画などのヒロイン像も好きで、そういった理想が80年代グラビアには感じられます。漫画家では、桂正和さんや河下水希さん、矢吹健太朗さんなどの描く女の子が特に好きです。

自宅に写真集200冊のコレクション

――『週刊少年ジャンプ』に登場するヒロインの系譜のひとつが、80年代アイドルなのかもしれないですね。写真集も集めておいでのようですが。

もういい加減大人ですし、断捨離しなきゃなと思いつつ……蔵書は200冊くらいでしょうか。写真集は、写真家とアイドルの相乗効果が感じられるのがいい。

最近の作品なんですが、新津保建秀さんがアイドルの鈴木絢音さんを撮影した『光の角度』(幻冬舎)という写真集が好きで。新津保さんの作品集なのでは? と思うくらいトガってて、冒頭から6ページくらい風景写真なんですよ!(笑)

すごくワクワクさせられる構成で、心をつかまれるんです。これって被写体が絢音さんだから新津保さんに食われてなくて、媚びてないのに本人のよさがしっかり感じられるんだと思います。周波数が同じ感じがして。

――そこは本のよさですね。写真もかなり好きなんですね。

昔の写真集もかなり集めているのですが、あの頃のデザインが好きというのもありますね。表紙買いするものも多くて、少女写真集の『Namaiki』(篠山紀信、中森明夫)とかそうです。なので、自分のファースト写真集ではロゴデザインも当時のレトロ感でやりました。

ファースト写真集『ときめきヒロイン 頓知期さきな』(集英社)

今でも心は「見る専」

――好きなことがご自身の活動ともリンクしてきましたよね。もともと撮られる側に回りたかったのでしょうか?

今でも心は「見る専」です。だから撮られてるときは本来の自分とは違うように感じています。ただ、写真集を作っていく工程に参加できることがグラビア好きとしては楽しい。オタクが現場に来た、みたいなことを最前線で体験できてる感じです(笑)。

――『頓知気さきな CONCEPT Collaboration Photo Book』でコメントしていた「ムチエット」も写真集を作る工程のひとつなのでしょうか?

「見る専」だから基本的には自分の見た目にあまり頓着がなく、普段から食生活もあまり気を使っていません。被写体としてはふわふわした人が好きなので、体重を増やしたいとはふんわり思っていました。でも無理に太ろうとしたわけでもなく、好きに食べていたら太って、今はだんだんもとに戻った感じです。

でも太ったピークが桑島さん撮影のときだったのはよかったかも。桑島さんの写真は黒が強いので、線がシャープに見えて痩せて見えるので助かりました(笑)。

『頓知気さきな CONCEPT Collaboration Photo Book』(KADOKAWA)

――今、他に撮られたいフォトグラファーはいますか?

川島小鳥さんがどんなふうに撮影なさってるのかすごく興味があります。それと藤代冥砂さんが好きで、撮られてみたいなと。あとは現代グラビアを語るなら中村和孝さんは外せないですよね。

――撮られたいシチュエーションは?

ベトナムで撮られたいですね。湿度の高い感じの写真が好きだし、自分のルックスからしてもアジアが合うと思います。アオザイも好きですし! やっぱり海外での写真は新鮮で想像が広がるのでいいですね。

一方的な消費で終わらない幅を作りたい

――被写体として、読者として、さまざまな視点からグラビアをご覧になっていますが、これから期待することやご自身がやりたいことは?

もっとグラビアの幅を広げたいなというのは思っています。グラビアって今はまだやっぱり男性需要のほうが高いじゃないですか。だから表現としても黒髪で水着でナチュラルで……という「正解」が決まってしまっていて。もっと深堀りして表現の幅を広げれば一方的に消費されるものではなくなると思うし、そのためにはニーズを広げていかなきゃいけなくて……両輪ですよね。

――作る側と撮られる側の両側から取り組めるのは頓知気さんならではですね。

今の固定された評価軸で評価されないタイプの子もメジャーになれるような土壌にしたいとは思います。

* * *

被写体としても読者としても、広い時代のグラビアを読み込んでいる頓知気ならではの次の表現に期待したい。インタビュー後編では、愛してやまない昭和アイドルについて具体的に聞いていく。


取材・文/宿無の翁 撮影/松木宏祐

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