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私がブラッド・ピットの前で三段跳びして見せた理由

集英社オンライン / 2022年9月20日 16時31分

紙版の「ロードショー」編集部はスター担当制を敷いており、担当となった俳優については、作品はもちろんプライベートにまで目を配った。来日の際には本人に会えて、運が良ければ言葉を交わせる役得も。あのブラッド・ピット担当となった石附さんの特別な体験とは?

ブラッドがかけてくれた言葉

「ロードショー」には、約6年、編集者として勤務しました。編集部はスター担当制となっており、デビューからずっと追っていたりすると愛着が湧くものなのですが、取材を重ねたなかで、とても印象に残っているのはブラッド・ピットです。
公開中の『ブレット・トレイン』のプロモーションでも約3年ぶりに来日して話題になっていました。新幹線で移動しながらの記者会見&レッドカーペットで、子供のようにワクワクと楽しそうに取材に応じる姿を見て、懐かしさとともに、私がブラッドに対して勝手に縁を感じているエピソードを思い出しました。



『トロイ』(2004)で同年に来日した際、ブラッドの腹痛のため会見の開始時間が遅くなりました。監督や共演者との合同記者会見には登場せず、終わりのフォトセッションのみに現れたのです。そのまま終わるかと思いきや、急遽、彼のみ残ってミニ会見の場が設けられたのですが、集まっている約1000人の取材陣のなかで質問することはかなりの難関。それでもと手を挙げたら、司会の方に幸運にも当てていただいて、発言することができたのです。

左ページ下段の“来日記者会見”で石附さんはブラッドに質問!
©ロードショー2004年8月号/集英社

まさか当たると思っていなかったので一瞬頭が真っ白になりながら、アクションシーンについて質問しました。『トロイ』で彼が演じるのは、ギリシャ神話で有名な勇者アキレス。映画の対決シーンで三段跳びのようにジャンプして剣を振るシーンがあるのですが、会見の前に編集長と「あのアクション、何度も出てくるけど、特別な技なのかな?」などと盛り上がり、「直接聞いてみて~」と編集長から指令(たぶん冗談半分だったのでしょうが…)されたのです。

『トロイ』で走り、跳び、闘うブラッド
©Capital Pictures/amanaimages

撮影からだいぶ時間が経っているので言葉でシーンを伝えるのは難しいと思い「ホップ・ステップ・ジャンプ!と跳ねて闘うシーンがあるのですが…」と席を立ってその場でジャンプしながら質問しました。すると、ブラッドは笑顔で「いいステップしてるね!」と言ってくれたのです。質問できただけでもうれしいのに、不思議な動きをしている私のことを認知してくれた!と舞い上がってしまいました。でもすぐに、周りの目が気になり一気に恥ずかしくなったのを覚えています。

ブラッドと目があった!?

次に会えたのは2005年1月。『オーシャンズ12』(2004)で共演したジョージ・クルーニーやマット・デイモンらと来日し、記者会見もジャパンプレミアも賑やかでした。夜、六本木ヒルズのアリーナで行われるレッドカーペット取材。TVメディアがメインのため、紙媒体の記者は屋外でじっと待つのみでなかなか大変です。当時妊娠中だった私は立っているのが辛くなり、アリーナの屋根を支える鉄柱の土台に座っていました。

ちょっと高台になっていたので、レッドカーペットを取り囲むファンたちに握手やサインをしている彼らの姿がよく見えました。20mくらい先にいるブラッドがこちらを見ているふうだったので何気なく手を振ってみたところ、なんと振り返してくれたのです。たぶん、ひとりだけ高いところに座って手を振っていたので目立っただけなのですが、あまりにも予想外だったので鮮烈に覚えています。寒さに震えていたことを忘れるほどでした。

ジョージ・クルーニー(脊柱の手術後で首に保護カラーが)、マット・デイモンと華やかにプレミアイベント
©ロードショー2005年8月号/集英社

その後、ブランジェリーナ(懐かしい呼び方!)に、実子シャイロ、双子のヴィヴィアン&ノックスが生まれ、養子のマドックス、ザハラ、パックスら6人の子どもたちを引き連れて大家族で来日するように。ヴィヴィアン&ノックスが生まれた時の貴重な写真が「ロードショー」の表紙になったときは、大きく注目されてうれしかったです(落札に奔走した編集長たちは大変そうでしたが…)。
8人で来日したのは2009年公開の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)で、「ロードショー」はすでに休刊していたので、残念ながらジョリー&ピット一家を生で見ることはできませんでしたが、映画の撮影やプロモーションなどで世界中を大移動する家族の写真を見つけるたびに、親戚のおばちゃんのような気持ちで目を細めていました。とりわけシャイロはブラッドにそっくりで、パパと娘の2ショットは大のお気に入り。今では16歳になったシャイロのダンス動画を見ることができ、月日が経つのを実感する今日この頃です。

と、編集者というよりは一ファンの妄想のようなお話になってしまいましたが、「ロードショー」の一員として取材に行くことがなければ、ブラッド・ピットに認知され(たと思ってい)ることはありませんでした。超超超~個人的な話を長々と綴りましたが、最後は本当に縁があると思えるお話を。
実は、歳は違いますが、私の子供とシャイロが同じ誕生日。神様の采配としか思えない、この上なく幸せな共通点がありました! ま、これも一ファンが勝手に舞い上がっているだけなのですが…。

2013年、ロサンゼルス空港でのジョリー=ピット一家。このころは仲睦まじく全員で世界中に旅をしていた。前から、ブラッド、パックス、シャイロ、ヴィヴィアンとアンジー、マドックス、ザハラ、ノックス
© INF/amanaimages

ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー
スパイ・コメディ『Mr.&Mrs.スミス』(2005)共演がきっかけで恋におちると、ブラッドは妻ジェニファー・アニストンを置いて、2度の離婚歴のあるアンジーの元へ。“ブランジェリーナ”“ブランジー”と呼ばれ、華々しいトップスター同士のカップルとして注目された。子供好きのふたりは、アンジーが2002年に養子にしていたカンボジア人男児マドックスに加え、05年にエチオピアから女児ザハラを迎え、06年には実子シャイロ(女児)が誕生、07年にベトナム男児のパックスを引き取った後、男女の双子ヴィヴィアン&ノックスを出産と6人の子持ちに。14年にはキッズに祝福されて正式に結婚、幸せの絶頂と思われたが、19年には破局となった。子供たちはショービズの世界にかかわったり、元気に成長しているもよう。

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