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累計販売数1200万枚の大ヒット! 誕生から10年「グミッツェル」が今でもバズる理由

集英社オンライン / 2022年9月17日 13時1分

「カンロ飴」「ピュレグミ」でお馴染みのカンロが、10年前に東京駅グランスタに直営店をオープンし、発売した「グミッツェル」の勢いが止まらない。累計1200万枚販売し、10年経っても売れ続ける理由を「グミッツェル」担当のヒトツブ事業部長の金澤理恵氏にうかがった。

コンビニやスーパーでは買えないパリパリ食感のグミッツェル

新しい食感のグミを作り出すことで、グミのマーケットを広げる

―グミッツェルが誕生した背景にはどんなことがありましたか?

15年前に遡ります。当時、2002年に発売した「ピュレグミ」というグミがようやく市場に定着してきた頃で、「ピュレグミ」に次ぐグミを開発するために新グミプロジェクトが発足しました。


次のグミを作るにあたり、マーケットインとプロダクトアウトの双方の側面で検討が進められ、グミは食感を楽しむお菓子なので、今までとは違った食感のものを作ろうということになりました。さまざまな食感のグミの試作品の中に、グミッツェルのパリパリ食感グミがありました。

「ピュレグミ」を発売した当時は、グミは子ども向けのお菓子というのが世間の認識でした。その中で「ピュレグミ」は、大人の女性層をターゲットに見据え、果肉食感を打ち出し、ドライフルーツのように楽しめるグミとして売り出したことで、子ども向けのお菓子から脱却しました。

グミのターゲットが広がることで売り場も広がります。新しい食感のグミで新しい層に食べていただき、売り場も広げていくのがプロジェクトの想いでした。

新しい食感は新しいマーケットを生み出すと金澤さん

―だから、あのパリパリとした食感なのですね。あの形はどんなアイデアから生まれたのですか?

グミッツェルは新しい製法だったので、研究所で試作品を作っても工場で大型の機械で作るとうまくいかないことが多く、開発には5年を要しました。研究所から、中はしっとりしていて外側がパリッとした食感のグミが上がってきて、食べてみると開発メンバーの一人が「プレッツェルに似ているね」という一言でこの形に決まりました。

その時はあまり深く考えていなかったのですが、ハート形に見えるし、表情のある形なので、パッケージを作る時もアイデアが広がり、この形に決めてよかったと今では思っています!

―味についてはいかがでしょうか?

グミの味については、知見があります。これくらいの大きいグミは食べた時に、濃い味だと満足感がありすぎて食べきれないことがあるので、最後まで食べ続けていただけるように味を調整しました。

色はグミらしくカラフルだけどシアーな色合いを特徴にしたことで、SNSでもお客様が写真をたくさんあげてくださっていて、注目されるきっかけになりました!

グミッツェルは大きさによって、食感も味も違うので楽しんでいただきたいと金澤さん

コンビニやスーパーでは販売していない理由とは?

―ASMR動画でもすごくバズっていますよね?

「グミッツェル」のパリパリとした独特な食感が、ASMRの世界で注目されたのには驚きました。2019年秋頃、さまざまな方がグミッツェルの咀嚼音を録音した動画を多くアップされるようになっていたので、新宿ミロードのポップアップストアで2020年の2月から自分で食べた咀嚼音を録音できるコーナーを設けました。

ですが、コロナ禍となり稼働を休止しているので、またいつか落ち着いたら皆さんがお買い物ついでに楽しんでいただけるコーナーを作れたらと思います。
ちなみにカンロ公式のYouTubeでグミッツェルの咀嚼音をアップしていますが、9万6000回(9月上旬現在)再生されていて、販売数の伸びにも貢献していると考えています。


―販路を自社の直営店と公式オンラインに絞っているのは?

グミッツェルを販売している「ヒトツブカンロ」は、もともとは弊社の100周年事業として始まりました。
自社で管理できる直営店のため、一般流通では販売できない繊細な商品にチャレンジできます。グミッツェルは外側がパリパリとした加工なので、そのままだと割れやすくとても繊細な商品のため、1個ずつトレーに入れた包装によって販売を実現しました。

現在、グミッツェルは東京駅のグランスタの直営店、新宿ミロ―ドのポップストア(2022年12月末まで)と弊社のオンラインストア(Kanro POCKeT)のみで扱っています。

直営店「ヒトツブカンロ」は、キャンディの価値をもっと上げたいというのが出発点です。キャンディやグミは気軽に食べられるお菓子ですが、あげたりもらったりする楽しさがあって、人と人を繋ぐ一助になれば、との想いを商品にのせて運営しています。

衝撃ですくに割れてしまうので、1つずつトレーに入れた包装に

お客様の声で誕生したボックス売りがヒットに

―はじめての直営店での反響はいかがでしたか?

出店したのが東京駅だったので、丸の内で働くOLさんが自分のご褒美やプチギフトとして買っていただくのを想定して、グミッツェルは当初、1枚売りのみでした。
でも、いざ出店してみると場所柄、「東京のお土産や手土産として渡したいので、ギフト用のボックスが欲しい」とお客様の声を多くいただいて、すぐにパッケージデザイン案を考えることに。

1年後に6枚売りや12枚売りなどのボックスが登場し、午前中には予定数が完売するほど好評で、ヒトツブカンロでグミッツェルが一番の売れ筋商品になりました。ここまで売れるとは想定外でした。お客様の声を直接に聞けたことが大きかったです。

現在、グミッツェルは累計で1200万枚売り上げ、2022年1-7月販売額は前年同期比で220.2%と驚異的な伸びを示しています。
昨年に比べて、人の移動や活動も戻りつつあるのでギフト需要が増えたのもありますが、コロナ禍なのでおうちで楽しみたいというニーズにもマッチしたというのが大きかったと思います。

東京駅の店舗では、30~40代の方が手土産にお買い求めされる層をはじめ、「流行っているから買ってきて!」とお孫さんに言われて購入される高齢者層が多いですね。一方、新宿ミロードは場所柄、若年層に人気というように、より広く購入層が広がったことがヒットの要因ではないかと分析しています。

季節によってパッケージや味も変わるので、お店に行くたびに新しい発見がある

小さなギフトがもたらす幸せな時間を多く作りたい

―今後、他のエリアでの出店はありますか?

現在、グミッツェルは他のグミと同じ工場で作っているのですが、他のグミも売り上げ好調でフル稼働をしてもなかなか需要に追いつけず、お客様には申し訳なく思っております。
早く需要にお答えできるようになって、他のエリアへのポップアップショップなども検討していきたいと思います。

―次のグミや新しい仕掛けはありますか?

ギフトはあげる人のことを思って選ぶこと、もらったときの嬉しさというのは、幸せな気持ちに溢れる瞬間だと思うのです。そういった機会を増やしていけたらと考えています。
グミやキャンディはすごく高価なものではないので、気軽にお祝いや感謝を伝えられるので、カジュアルに選んでもらえたら嬉しいなあと。

6月にグミッツェルに新しい家族「mofuwa(モフワ)」ができたのですが、ふわふわしたマシュマロのような手触りなのに噛むと弾力がある、不思議な食感です。商品モチーフの表情も楽しめる商品になっています。
今後も、皆さんが気軽に気持ちを伝えられるギフトとしてグミやキャンディを選んでいただけるように商品を作っていきたいと思います。

6月から販売しているグミッツェルの家族「mofuwa(モフワ)」。雲のような優しい色合いが特徴

パッケージの中にさりげなく感謝の気持ちを伝える仕掛けがある

取材・文/百田なつき 撮影/花田梢

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