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レスリング・川井友香子のパリ五輪に向ける強い 思い―「私のことを応援してくれている人は間違いなくいる」

集英社オンライン / 2022年9月16日 12時1分

2024年パリ五輪に向けた戦いは、今年12月の全日本選手権から始まる。この大会に優勝し、来年6月の「明治杯」にも優勝すれば、世界選手権代表に選ばれる。そして、世界選手権3位以内でパリ五輪出場権が獲得できる。連覇への挑戦を決めた川井友香子に今の胸の内を話してもらった。

まだ強くなれる自分がいる気がして、どこまで強くなれるか見てみたい

――東京オリンピックで金メダルを獲ったら、友香子さんは引退するんだろう、と思っていました。

私も東京が終わったらどうしようか、金メダルを獲ったらやめようと思っていました。でも終わってみたら、まだ強くなれる自分がいる気がして、どこまで強くなれるか見てみたい、と思ったんです。レスリングは息も上がるし、きつい競技ですけど、できるところまでやってみようと、そう思ったのが大きいですね。



――現役続行はそのまま「二連覇への期待」につながります。その重圧は感じませんか。

レスリングではオリンピックで連覇している人がいっぱいいます。私も当然期待されるでしょうけど、実際、連覇は難しい。リオ五輪の時、私はケガをしていてレスリングができていませんでした。そんな状態で、口では「次は自分が出ます」と言っていたけど、心の中では「無理だろうな」と思っていました。そのリオ五輪決勝で吉田沙保里さんが負けた。
私にとっては無縁の遠いオリンピックの舞台で、負けて謝っていた沙保里さんの姿がものすごく印象に残っている。たくさんの人たちにリスペクトされてて、本当にすごい選手なんだなと。

――負けても吉田沙保里は感動と衝撃を与えた……。

東京オリンピックでセコンドにも付いてくれたサントリーの金浜コーチが言ってくださったんです。「東京五輪で『姉妹で優勝』という結果を達成した。最高の結果を残した事実は、次の五輪の結果がどうあれ変わらない。だから、どこまでできるか挑戦しよう」と。

――そのとおりですね。新しい挑戦は決してマイナスにはならない。東京五輪のチャンピオンという事実は永遠に変わりませんからね。

レスリングは今しかできない、それも大きいですね。東京で金メダル獲得という目標を達成して、ストイックな生活から解放されて、違う日常をしばらく楽しみました。もう休憩を楽しむ時期は終わったので、今はまた以前と変わらず、練習を中心にした生活をしています。

――それにしても東京オリンピックの友香子選手は頼もしかった。決勝の相手、キルギスのティニベコワも強い選手でしたが、まったく怯む様子がありませんでした。

過去の対戦成績が1勝2敗。2回連続で負けて、オリンピック前のアジア大会で私が勝ってという相手でした。オリンピックの時はゾーンに入っていて、試合だしもちろん緊張はしていたし、楽しかったまではいかないけど、いつもの試合ほどプレッシャーを感じずにできていました。

――調整がうまくいった?

ウエイトトレーニングもずっと専門の方に見てもらって、レスリングもコーチに指導を受けて、これで負けたら仕方がないと思えるほど追い込んで出来たので、そういう気持ちで臨めたのだと思います。「これ以上はない」って言えるくらい、いい準備ができました。

――とはいえ、メダルがかかってからは接戦の連続でした。準決勝、ブルガリアのユセインとの試合も先に2点を奪われ0対2になった。焦りませんでしたか?

その時の自分の心理状態にもよるんですけど、オリンピックの時は「取り返すからいい」と思っていました。出場できなかったリオ五輪からの5年間の変化でしょうか。肩をケガして練習もできなかった。「レスリングができない」という気持ちが原動力になって、ケガが治ってからは毎日(全体練習の後に)残って練習もしてきた。ひとつひとつの積み重ねがあって、自信が生まれたんでしょうか。

――そして、終わってみたら「もっと強くなれる」と。

オリンピックに向けて調整している時点では「これ以上ない」と思っていたけど、終わってみて「もっと強くなれる」と感じたんです。

――伸びる余地はどの辺だと感じていますか?

私はほかの選手に比べて特徴がないので、それが私の強みです。強くなれると思ったのも、具体的にここをこうすればじゃなくて、自分が直感的にそう思った。その気持ちを信じてやっています。

2024年パリ五輪

――2024年パリ五輪に向けた戦いは、もう今年から始まるんですね。

今年12月から予選が始まるので、自分がどこまでできるのか挑戦したい。12月の全日本に勝って、来年6月の明治杯に勝って、世界選手権で3位に入ればパリ五輪への出場が決まります。

――今年6月の明治杯では大学生の尾崎野乃香選手(慶應大)に決勝で敗れ、世界選手権出場を逃しました。友香子さんが出なかった昨年の全日本選手権で優勝し、ポスト友香子の筆頭に挙げられる選手です。

強い選手というのは以前から知っていたし、強い選手はほかにもいっぱいいます。今回の結果は、私の心理状態がもろに出た試合だったのかなあ、と思います。本気じゃなかったわけじゃないけど、無意識のうちにオリンピックで優勝して注目されて、今まではチャレンジする側だったのに、みんなが私を倒そうとしてくる……なのに守りに入ってしまった。
吉田沙保里さん、伊調馨さん、姉の梨紗子がオリンピックで連覇していますが、それがすごく難しいことを自分が金メダルを獲って改めて実感しました。自分がその立場になるのとならないのでは全然違います。

――いまのレスリング界は、対戦相手の研究もすごく進んでいる。友香子さんは当然、国内だけでなく海外の選手からも徹底して研究される存在です。

私も試合前、相手の映像を集めて研究しますけど、戦っている時はそういったことは考えないんです。それと私のレスリングは普通すぎて、研究したところでわかんないでしょう。私は、強みがないけど、梨紗子に「逆にそれが強みなんじゃない」と言われて、そうだと思いました(笑)。

――こうして聞いていると、やはりお姉さんの存在は友香子さんにとって大きいんですね。嫌かなと思って、あえてお姉さんの話は聞かなかったのですが(笑)。

姉の存在……昔は気にしていました。でも今は、私もちょっとは自信がついたので、(比較されたりするのが)昔ほど嫌ではなくなりました。梨紗子は出産して、子育てをしながら最近もう練習も始めていて、本人にしかわからない苦しいこともあるはずだけど、そういう弱音は見せません。どこまでも先を行く人なんだ、と尊敬します。

――友香子さんは、その梨紗子さんより負けず嫌いだと定評がある?

私は負けん気が強いと言われる、それがあっての私ですから、直そうとか思いませんが(笑)、負けず嫌いだけど人の意見も聞く人間でありたいと思います。大学生のころはもっと負けず嫌いを表に出してキーキーしていた。25歳になって、ずいぶん柔軟になったとは思います(笑)。

――試合に向けて、もうストイックなモードに入り始めたと思います。今はどんな生活、食事などはどうしているのですか?

名古屋にいるときは私がタッパーを用意して、(至学館の)寮に寄って好きな料理を詰めて、自宅に戻って食べています。野菜とタンパク質はちゃんと摂る。パスタとか、簡単なものを自分で作ることもあります。外食はあまりしません。なるべく食事はちゃんととるようにしています

――あっという間にパリ五輪に向けた戦いが始まります。ここからの試合予定は?

全日本の前に試合を1つはさみたいですね。10月の「女子オープン」に出たいのですが、コロナ禍の影響でどうなるかまだわからない。もしもなければ12月、ぶっつけ本番ですね。6月の試合は自分が最後まで勇気を出しきれずに負けた。勇気を出せない悔しさが大きいので、とにかく勇気を出して、チャレンジャーの気持ちで戦いたいです。

――世間やメディアは勝手なもので、尾崎さんという新鋭に期待する声も聞こえます。そこはどうですか?

私のことを応援してくれている人は間違いなくいる。数の勝負じゃないので、そこは気にせずいたいなと。


取材・文/小林信也 編集/星山江里可 撮影/神田豊秀 ヘアメイク/榎田茉季 (ROI) スタイリスト/伊藤あかり

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