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2001年生まれが令和に遭遇! SF映画の傑作『2001年宇宙の旅』

集英社オンライン / 2022年9月17日 11時1分

本業の落語のみならず、映画や音楽など幅広いカルチャーに造詣が深い21歳の落語家・桂枝之進。自身が生まれる前に公開された2001年以前の作品を“クラシック映画”と位置づけ、Z世代の視点で新たな魅力を掘り起こす。

『2001年宇宙の旅』は、2001年に作られていなかった!?

United Archives/アフロ

『2001年宇宙の旅』(1968)という題名だけは幼少期から知っていた。
なぜなら筆者が2001年生まれのため、自己紹介をするたびに「2001年というと、宇宙の旅だね」と言われ続けてきたからだ。
なので、最近になるまでこの映画が撮られたのが2001年だと思い込んでおり、公開されたのが1968年と知って「おれ関係ないやん!」と心の中で叫んだ。



1968年といえば、ソ連とアメリカが宇宙開発競争を繰り広げていた時代。
両国の動向は世界中が関心を寄せる大きなテーマだった。
そのため宇宙を題材にしたSF映画は他にも数多く作られたが、当時はCG技術が発達していなかったこともあり、評価はあまり高くなかったという。
そんな時代に圧倒的なスケール感と緻密な画作りによって描かれた『2001年宇宙の旅』は、SF映画のバイブルとして、後の映画に多大な影響を与えることになった。

太古の昔、まだ猿人が闊歩していたころのシーンから始まるこの映画。
突如として現れた謎の物体モノリスに触れて文明を手にしたヒトザル達は、数百万年のときを経て、宇宙開発を行うまでに発展。
そしてモノリスの謎を解き明かすため、木星へ向けて出発するといったストーリーだ。

宇宙にいる感覚になる「音」の巧みさ

撮影当初、監督のスタンリー・キューブリックと共に脚本を担当していたSF作家アーサー・C・クラークは、難解な物語にナレーションを入れて丁寧に解説する案を提案したそう。ところが、「言葉で説明すると未知との遭遇が陳腐なものになってしまう」と、監督のキューブリックが断ったそうだ。

ゆえにこの作品は「音」の使い方が独特で、冒頭のヒトザルが文明を手にするシーンでは、劇伴曲を使って生々しさを抑えている。と思いきや、宇宙のシーンでは一転して無音のリアリティが押し寄せるのがおもしろい。
音の緩急で、あたかも自分が宇宙にいるかのような錯覚を起こしてしまった。

それまでのSF映画では未来的なイメージのエレクトロニックな音楽が使われることが多かったそうだが、この作品ではクラシック音楽が多用されており、宇宙の壮大な美しさに自然と目が行く導線となっている。
どこまでも芸術的表現にこだわった作品なだけあって、こちらの心持ちも、映画を見ているというよりもアート鑑賞の類いに近く、その画面は額縁に飾ってもきっと違和感がない。

当時CGを使わず試行錯誤しながら撮影された映像は、今の時代に見ても全く違和感がないほど科学的考証に基づいている。さらに、AIの暴走や地球外知的生命体との遭遇など、SF映画の王道を築いたキューブリックは、一体どこまで先見の明があったのかと驚かされるばかりだ。

半世紀以上経った今、2001年生まれがこの映画を楽しく見ていると知ったら、キューブリックは一体どんな顔をするのか見てみたい。

『2001年宇宙の旅』(1968)A Space Odyssey 上映時間:2時間22分/アメリカ・イギリス
月に人が住むようになった時代。月のクレーターの地中から謎の石碑が発掘され、宇宙評議会のフロイド博士が調査に向かう。それから18カ月後、最新型人工知能「HAL(ハル)9000型コンピュータ」を搭載した宇宙船ディスカバリー号は、デビッド・ボーマン船長、フランク・プールら5人のクルーを乗せて木星探査に向けて航行していた。しかし、その途上でHALが探査計画に対して疑問を抱いていることを打ち明ける。ボーマンとプールはHALの不調を疑い、いざというときはHALの回路を切断することを決めるが、それを知ったHALは反乱を起こす……。

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