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笑顔と〝謎めいた部分〟の虜に。メジャー関係者に大谷マニアが急増する理由

集英社オンライン / 2022年9月16日 17時1分

日米で、その一挙手一投足に熱い視線が注がれる大谷翔平。実はメジャー関係者の中には大谷に魅了された「大谷マニア」が急増しているという。そんな大谷マニアのリアルを、番記者9年目の柳原直之氏がお伝えする。

ライバルの家族が続々と「大谷マニア」に

全米を熱狂の渦に――。この表現もエンゼルス・大谷の場合は誇大広告ではない。46本塁打&9勝で満票でア・リーグMVPを獲得した昨季から状況は一変した。今や「FACE OF MAJOR LEAGUE(メジャーリーグの顔)」と称され、野球ファンだけでなく、子どもたちや野球に興味のない人々の関心も集めている。

興味深いのは、ライバル選手の家族までもが大谷の魅力にとりつかれていることだ。8月13日のツインズ戦。4万3027人の観客で沸き立つ中、大谷の26号ソロに誰よりも歓喜したのは、今季ツインズに3年1億530万ドル(約141億円)で加入した主砲コレアの実妹で「大谷の大大大ファン」というレイバイサンドさんだった。



この日が14歳の誕生日で、兄の計らいで大谷とサプライズで対面を果たしたレイバイサンドさん。持参した背番号17のユニホームにサインをもらい、記念撮影に収まると、大粒の涙を流して喜んだという。初回に自らも先制ソロを放っていたコレアは、試合こそ敗れたが「僕は彼女のために打ったし、大谷も本塁打を打った。彼女にとって完璧な一日だった」と満足げ。最愛の妹に贈る最高のダブルバースデーアーチとなった。

元々、K-POPや韓国ドラマが好きなレイバイサンドさんは「大谷好き」が高じて日本語を学び始め、大谷には「初めまして」などと日本語で挨拶。大谷も大きく頷いていたという。コレアは「彼はスポーツ界最大のスター。時間を割いてくれて、本当に感謝している」と頭を下げ、「100%、僕のより大谷の本塁打の方がうれしかっただろうね」と終始、笑顔だった。

大谷にサインを求める現役選手たち

ライバル選手の息子たちにも「大谷ファン」がいる。通算223勝を誇るロイヤルズの先発右腕グリンキーの長男で野球少年のボード君は、カンザスシティーでの7月27日のエンゼルス戦後にクラブハウスの出入り口で大谷を〝出待ち〟。父のサイン入りユニホームと大谷のサインボールを交換してもらい、大喜びしたという。

寡黙なグリンキーも「息子は本当に大谷の大ファンで、本来は右打ちなのに、5月の初めごろから左で打ち始めたんだよ」と表情がほころび「彼はいつも丁寧に接してくれる」と感謝した。ただ、子供は素直ゆえに残酷だ。ボード君は「大谷がお父さんから満塁本塁打を打ってほしい」と願っているそうだ。

20年MVPのドジャースの一塁手フリーマンの長男チャーリー君は、パドレスの若きスター遊撃手タティス(8月12日に禁止薬物違反で80試合の出場停止処分)の熱烈なファンとして有名だが、同時に大谷のファンでもあり、今夏のオールスター戦では記念撮影が実現。大いに喜んでいたという。

同じア・リーグ西地区のアストロズのダスティ・ベーカー監督は、妻が大谷の大ファンで打席に入ると立ち上がって応援するほど。同監督の試合前の囲み取材で日本メディアを見つけると「大谷の質問はないの?」と振るのが恒例で「大谷は何でもできる。これまで見たことがない選手」といつも絶賛している。

当然、ライバルの現役選手にも「大谷ファン」は多い。2年連続で出場した今夏のオールスター戦では、昨年に続きサイン攻めにあった。今季のア・リーグMVPを争うヤンキースの主砲ジャッジ、サイ・ヤング賞最有力のアストロズのエース右腕バーランダー、現役唯一の三冠王経験者タイガースのカブレラなど名だたるスターたちが大谷に自ら話しかけ、交流を深めていた。

その他にもマリナーズの救援右腕セワルドは「大谷ファン」を公言し、昨年9月の試合前にキャッチボール中の大谷を直撃。面識はなかったが、大谷のボブルヘッド(首振り)人形にサインをもらったという。

大谷の笑顔と〝謎めいた部分〟がファンを虜にする

16年に日本ハムで大谷と同僚だった、現マーリンズの中継ぎ右腕バースにとっても、今や大谷は「憧れの存在」。4月の試合前。大谷の日本ハムの16年当時のビジターユニホームを持参し「To Anthony’ 2016 Japan Championship」の文字とサインを書いてもらい、大喜び。同年の日本シリーズで優秀選手に輝いた右腕は「あの日本シリーズは本当に楽しかった。彼はこのユニホームを見てとても驚いて、笑っていた。会うのは3年ぶり。とても大人になっていたね」と、うれしそうに話していた。

極めつけは9月5日のタイガース戦での出来事だ。エンゼルス9点リードの8回1死一塁。通算354勝、サイ・ヤング賞7度のロジャー・クレメンスの四男で外野手のコディはマウンドに上がると、大谷を見逃し三振に仕留めガッツポーズをつくって大喜びした。三振を奪った記念ボールをもらったコディは、翌6日に大谷から「What a nasty pitch!」(なんてえげつない投球なんだ!)と直筆でメッセージとサインを添えられて、さらに感激。歴史に名を残す大投手クレメンスの息子にとっても、大谷は今をときめく大スターであることには変わりはないようだ。

さらには、米メディアにも「大谷ファン」がいる。前述のアストロズの右腕バーランダーの実弟で、米FOXスポーツのアナリスト、ベン・バーランダー氏だ。企画取材を兼ねて8月19日に来日すると、1週間にわたり岩手、北海道など「大谷ゆかりの地」を巡った。

滞在中は多くの大谷ファンとも交流。大谷が所属した岩手・水沢リトルの練習グラウンドも訪れた。「当時はヘッドコーチだった現在の監督(佐々木一夫氏)に、翔平が子供時代にどんな選手だったか、聞けたのも貴重な機会になった。翔平はよく右翼後方の川に打球を打ち込んでいたらしい。ボールがなくなり、コーチからは〝引っ張り禁止令〟が出るほど。それで左方向へ打つことを覚えた。ここが全ての始まりだったんだ」。大谷のルーツに直に触れ、感激の連続だったという。

敵味方関係なく、ここまで人々を惹きつける大谷の魅力とは何なのだろうか。まず人懐っこい笑顔がいい。もちろんプレー中は厳しい表情を見せるが、いざ試合を離れれば、チームメートやライバルたちと楽しく交流している姿は、これまでの日本選手にはなかなかなかった光景だ。

また、大谷は時折、試合前に即席サイン会を開くなどファンサービスには積極的だが、多忙を極めるためその時間はどうしても限られる。取材対応やオフのテレビ出演も同様で、そもそも自身が目立つことをあまり好んでいない。投打二刀流の規格外のパフォーマンスはもちろんのこと、大谷自身のこの〝謎めいた部分〟も魅力の一つに感じる。

レギュラーシーズン終了まであと約1カ月。目下の注目は2年連続のMVPを獲得できるかどうかで、オフにかけても「大谷マニア」は増殖し続けると予想している。

文/柳原直之(スポーツニッポン新聞社)
画像/アフロ

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