1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

「若い子たちを面白いと思えないっていうのは、もう時代が違うんだなぁって…」ドランクドラゴン鈴木拓が語る“50歳手前の芸人論”

集英社オンライン / 2022年9月22日 16時1分

ドランクドラゴン鈴木拓(46)――かつては「炎上芸人」「クズ芸人」と呼ばれていたが、最近は大きな炎上もなく、すっかり丸くなった様子だ。昨今は流行りの芸人を見て「ああ、これは俺がわかんなくなってきている、ジジイになってきてる証拠なんだな」と思うこともあるという鈴木。彼の「50歳手前の芸人論」を聞いた。

7年前はゴリゴリ、毎晩コンパだった

――かつては「炎上芸人」と呼ばれていましたが、もうそういうのはいい?

炎上しても、金になんねぇですしね。今でもヘンなツイート見たらムカつきますし、なんだよとは思いますけど。今さらそんなに目くじら立ててもなぁ。どうせ若い奴らがなんか言ってるし……と思うと、まあべつにいっかっていう。



――7年前は、「炎上したら、その火で芋を焼く」とおっしゃっていました。

昔はヘンなこと言われたら躍起になって、そいつを叩くまでやってましたけど、なんかねぇ……虚しくなっちゃうんですよね。「若い子をまた追い込んでしまった」みたいな(笑)。

――すごい変わりましたね!

まあ、一週間前もやりましたけど。「どういうつもりなんですか?」って追い込むみたいな。でもそんなことをしたところでなぁと思うのは、ただただ、自分が年取っただけなんじゃないですかね。

――いい年の取り方じゃないですか。

そうですね。前は「ヤバい、ヤバい」と思いながらずっと生活してましたけどね。これはみんなそうなんですけど、芸人って50歳を迎えると、みんなおかしくなっていくんですよ。結局、次のステージに行かなきゃいけないんですけど、それに行けなくてみんなジレンマを感じてるんだと思う。

天下取ってる人でも、なんか転換期なんですかね。「若い子に道筋をつけてあげたい」とかって言ってると、もしかしたら寂しく思われるかもしれないけど、若い子が今、テレビでやってることを見て、「ああ、俺らが通ってきたことだな」とか、微笑ましく思うのは全然悪いことじゃないですから。

――心境がガラッと変わったきっかけはあるんですか?

やっぱり週刊誌のアレが効きましたよね……。

――FRIDAYの不倫報道(2016年)ですね。それまで東京で一人暮らしをされていたのが、神奈川のご自宅に戻られたんですよね。

そうそう、戻って来いって言われて。7年前はゴリゴリ、毎晩毎晩、コンパ。最低でしたからね。

ダウンタウンさんが出てきたとき、上岡龍太郎さんが……

――いいきっかけになりましたね。

昔はこの生活を守んなきゃいけないとか、すごく感じてたんですけど、もう別に今、失うもんもないし。若手の子らが頑張ってると、自分の子供に見えちゃうんですよね。だから微笑ましく感じるし、「君らまだまだ未来があるから、頑張ってほしい」という気持ちになる。

最近、周りのディレクターとかが、「もうあくせくゴールデンとかで働きたくないです」って言ってるんです。「もうテレビなんかやりたくねぇ! 俺は釣りのプロになる!」って言ってる人もいて。みんな、どうしちゃったんだよと思いますけど(笑)。ダウンタウンさんやとんねるずさんと一緒に仕事してた人たちがそういう心境になってるわけだから、ああ、その流れが俺にも来てるんだなぁと。

2年前、45歳くらいのときはまだ焦ってましたけどね。でも今は焦ってなにかやるくらいなら、まだ尻すぼみで終わったほうがいい。舞台に出たら全部笑いをかっさらうくらいはできると思ってますけど、でもそれで若い子らと張り合ってもしょうがねぇなっていう。

――「笑いをかっさらえる」という自信がついた?

こんなこと言うと「なんだこいつ」って思われちゃうんですけど、自信は昔からめちゃくちゃありました。「俺って面白れぇな」と思いながら、自分がウケたところは絶対ビデオに撮って観てましたから。

今、売れてる若い芸人を見ててね、正直、「全然面白くねぇな」と思うこともあります。でも、「世間がおかしいんじゃなくて、俺がおかしいんだ」って思うようにしておかないと。ちゃんと評価されてるんで、彼らは。だから「ああ、これは俺がわかんなくなってきている、ジジイになってきてる証拠なんだな」って。

昔、ダウンタウンさんが出てきたときに、上岡龍太郎さんが「ホンマ、君らのなにがおもろいのかわからへん」って言ったんですよ。そのとき、俺は「なに言ってんだ?」って思ったんです。ダウンタウン信者ですから。

でも上岡龍太郎さんがそうやって言うっていうことは、この人が年を取って、話題についていけてないんだなぁとも思ったんです。そして、それと同じことが今、自分にもきたんだなと。やっぱり若い子たちを面白いと思えないっていうのは、時代が違うんだなぁって。

――なんだか物悲しいですね……。

落胆じゃなくてね。そういう時代の流れなんだなぁって。だから、本当にマネージャーやりてぇなと思ってるんですよ。一応、MCとかもだいぶやったんで、まだ売れてない奴らがMCとかやるようになったら、教えてあげたりとか。俺、角がモロ取れてると思いますね。

――7年前も優しい方だなと思ったんですけど、今はもう仏みたいになってます。

アハハハハ! そうですね、優しくなりましたね。でも全然、性欲ありますけどね(笑)。ただ、もう自分がどうこうじゃないかなと。

かつては「炎上芸人」と呼ばれたが、今は仏の境地に達している

今は「はねるのトびら」の貯金で食わしてもらっている

――YouTube番組『街録ch~あなたの人生、教えてください~』で、「芸歴26年目にしてクリエイティブなことに目覚めた」とおっしゃっていました。

根本では、なにか作品を残さなきゃいけないっていうのも思ったりはしてるんですよ。けど、ネタは相方が考えてくれてますし、自分はネタっていうことでもないかと。そしたら動画だったりそういうのをやんなきゃいけないんすけど、まあ、ホント怠けちゃいますね。

『クズころがし』(鈴木拓/主婦と生活社)の頃なんて、書き物もやりたかったですし、クリエイティブなことをやってるときは生きてる感じがしたんですよね。そりゃ、つらいですよ、そのときは。終わった瞬間、「もう二度とやりたくねぇな」と思うんですけど、時間が経ったら「こんなのやりてぇな」って、構想がどんどん出てきちゃってね。

――今後は動画や編集を頑張っていきたい?

75万円のパソコンを買ったのに、全然やってねぇすけどね(笑)。今日もゲームの生配信やってくれって言われてるんですけど、「べつにこれ、クリエイティブじゃねぇしな」って。人と違う風にはできるんですけど、かと言って、クリエイティブかって言ったらクリエイティブじゃねぇし。ただゲームやってるのを見せてるだけだから。

――釣りにしろ、ゲームにしろ、趣味を生かしているのがすごくいいですよね。

釣りを食い物にしてますよね(笑)。自分の好きなことをやらせてもらって、食えていけたらいいかなくらいです。若い子たちを見ると、大変だなと思いますよ。これから一発当てなきゃいけないでしょ。俺は一応、大嫌いでしたけど『はねるのトびら』っていうのがあって、今その貯金で食わしてもらっている。世に出ましたよっていう貯金ですかね。株が当たったというか。

――今日初めて釣りをしてみて、釣りって人生に似ているなぁと思います。人生というか、恋愛ですかね。魚との駆け引きとかもあるじゃないですか。

ちょっとしたアプローチでだいぶ変わってきますしね。

――食いつかれるかと思ったら、ダメだったりとか。

そうそう。向こうも命懸けですからね。

――「スレてる」(同じ場所で何度も釣られていると魚の警戒心が強くなり、ワームやルアーに興味を示さなくなること)とか、人間でも言いますもんね。

釣り用語から来てるんだと思いますけどね。「あいつ、スレてる」とか。あとね、釣りで大事なのはヤリマンを探すことなんです。

――アハハハハ! すぐに引っ掛かってくれる魚を狙うということですね!

で、どっか行っちゃうでしょ。「あのときヤッときゃよかったよ~」ってなる。……最低ですよね(笑)。

鈴木拓の最低な釣り論が展開されたところで、釣り場の人が営業終了を知らせに来た。気づけば周りにはだれもいなくなっており、ひぐらしが鳴いていた――。

文・撮影/尾崎ムギ子

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください