大勢の生きづらさを抱えた子供たちに会って感じるのが、彼らの「言葉の脆弱さ」です。
非行少年を例にとれば、わかりやすいでしょう。たとえば、2015年に川崎市の多摩川河川敷で起きた、17歳~18歳の少年3人による、中1男子生徒殺害事件。
加害少年たちは、そもそも殺意を持っていませんでした。にもかかわらず、ちょっとした勘違いから怒りを「ぶっ殺す」と表現したことで、仲間内で「じゃあ、殺せよ」「ああ殺すよ」「お前も殺せよ」という粗雑な言葉のやり取りがはじまり、ついにはカッターで43回以上も少年を切りつけて本当に殺害に至ってしまいました。
あるいは、東北で逮捕された特殊詐欺の受け子役の少女。彼女はSNSで見知らぬ男性からDMをもらい、「割のいいバイト」という言葉を鵜呑みにして、特殊詐欺に加担しました。
彼女は、なぜ怪しいアルバイトだと思わなかったのかという質問に「わからない」と答え、高額報酬を疑わなかった理由についても「そう言われから、そうだと思った」と答えています。