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FIREってうさんくさくない? 世帯年収630万、子2人でもセミリタイアできた3つのポイント

集英社オンライン / 2022年9月29日 14時1分

不労所得を得て若いうちに退職を目指すFIREに注目が集まっているが、現実に達成している人はどのくらいいるのだろう。株や仮想通貨が当たった、大企業の役員になった、そんな条件が必要なら再現性が低いというものだ。しかし、一般の会社員で子どもが2人いても、セミリタイアを果たした家庭はある。8月に『夫婦でFIRE』を出版したグミ&パンのパンさん(夫)に、超現実的なFIRE達成のポイントを聞いた。

資産1億超は高収入じゃなくても可能

――FIREって実際、達成できるんでしょうか

我が家は子ども2人の4人家族ですが、2021年に私(夫:パン)が企業を退職しセミリタイアを果たしています。本当に実現できるのかよく聞かれるのですが、FIREする意思があれば誰でもできると思っています。



――ご結婚当初の世帯年収は630万円だったとか

私の年収が400万円、妻が230万円程度でした。特に妻の年収が同業種のなかでも低かったんです。そこから支出を見直したり転職をしたりして、1年後には夫婦合わせて780万円。6年後には1000万円にまで増やせました。

一方で年間支出は420万円ほどから300万円前半にまで減らしました。子どもが産まれた年は一時的に増えていますが、大きくは変わっていません。余裕資金は投資に回し、現在の総資産は1億円を超えています。

――セミリタイアとのことですが、現在はどのくらい働いているのでしょう

私の労働時間は1日4時間、月80時間程度です。妻は今の仕事が好きなのもあって時短勤務で月120時間ほど働いていますが、今後減らしていく予定です。

――企業を退職されてかはら生活の変化はありましたか

勤務時間は徐々にダウンシフトしていきましたし、妻は育休を挟みながら勤めていたので、ある時点から何かが大きく変わったということはありません。FIREって意外と地味で普通ですよ。

常識に縛られているとFIREが遠のく

――はじめからFIREを目指していたのでしょうか?

「FIRE」という言葉は後になって知りました。「自分たちが目指していることだ」と。不労所得を得たいと考えたのは大学生の頃です。投資資金を作るためにパチスロをしていましたね。

――資金をパチスロで用意されたのですか

今は難しいかもしれませんが、当時はしっかり分析すれば時給にして2000円程度の利益が見込めたんです。好きな時間にできるし、バイトするより時間効率がよかった。

しかも、パチスロと投資って似ているところがあるんですよ。自分が出した金額に対して見込めるリターンを「期待値」と言うのですが、ギャンブルと投資の違いはこの期待値が「1」を超えるかどうかにあります。1万円出して9000円戻ってくると、期待値は0.9ということです。パチスロは、店の下見や分析など自分の行動次第で期待値を1以上にできました。行動の積み重ねで資産が増えるという考え方は、投資にも通じています。

――なかなか珍しい資金調達方法かもしれませんね

投資している人でパチスロをやっていた人は結構います(笑)。世間的には誉められたやり方ではないと思いますが、あまりそういう常識に縛られる必要はないと考えています。大切なのは「何のためにするのか」という目的ですから。常識を基準にしていると、自分にとっての優先順位の判断が遅れてしまいます。

価値観が違ってもいい、夫婦2人でできることを増やす

――妻のグミさんはFIREに反対されなかったのでしょうか

妻は地元に戻りたいという希望があったので、早期リタイアして地方移住する考えは共有できていました。ただ、家計管理については価値観が合わずに毎日ケンカばかり……。1日数時間、年間にすると最低でも500時間超のケンカが3年は続きました。

妻はディズニーが大好きで、グッズも含めて年間50万円は使っていました。幸せに生きるために必要な出費だというのですが、そういう価値観の違いも正直いって理解できず……。

僕は妻に対して「感情や主観ではなく論理的に考えて欲しい」と言い、妻は僕に「将来のことばかりではなく、目の前の出来事や幸せを大切にして欲しい」と言い合っていました。

――どうやって価値観を合わせられたのでしょう

きっかけは、「ストレングスファインダー(現クリフトンストレングス)」という才能診断です。企業でもビジネスの適性を測るために使われているテストなんですが、これがかなり効果的でした。

妻は「共感性」や「適応性」の資質があり、僕は「分析思考」「未来志向」の資質があるとわかりました。毎日ケンカしていたのは、相手の弱みを改善するようにお互い要求していたからなんです。

強みが違うなら補いあって夫婦としてできることを増やせばいい。どちらかが正解なわけではないので、互いの価値観を尊重しようと思いました。それからはケンカをしたとしてもぶつかり合うのではなく、どのようにすればお互いの違いを活かして協力できるかを考えるようになりました。

子どもたちも無事ディズニー好きに育ったので、家族みんなを幸せにする出費として納得しています。

――資産の管理で揉めることはありますか

お互いの価値間がしっかり理解できていると、お金も価値観に合った使い方になるので、揉めることは少なくなります。お金だけでなくスマホの情報やSNSアカウントも基本的には一緒に管理しています。これも、行動原理はシンプルなほうがよいとの共通認識があるから。ただ、洋服も共用しようとしたのは断られましたが(笑)

FIREを現実にする3つのポイント

――これからFIREを目指すうえでは何をしたらいいでしょう

お互いの価値観に沿った目的を設定して、目的に沿った計画を立てる。それから、計画に合わせて必要なお金を準備できるように行動します。

お金の準備は「支出の見直し」「収入を増やす」「投資を行う」の3つがポイント。収入をいきなり増やすのは難しいので、まずは「支出の見直し」と、少額で「投資を行う」ことから始めるのがオススメです。

――収入を増やすにはどうしたらよいでしょう

我が家の場合は、私の年収を平均以上にするのではなく、妻の低い年収を平均程度にすることを目指しました。私が情報収集を行って夫婦二人三脚で転職活動をし、同職種の別業種に転職したんです。それで世帯年収を上げることに成功しました。夫婦なら、そういった協力の仕方もあります。リタイア後はブログや物販など、夫婦でできる副業からも収入を得ています。

――投資もなかなか難しそうなイメージがありますよね

インデックス型の投資信託で積立投資をすれば、基本はほったらかしでOKです。手数料(信託報酬)が低く、全世界に分散投資できる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などをオススメします。

投資の方針は家族の状況によっても変わると思います。我が家の場合、子どもが生まれてからは、リスクを抑えた投資を意識しています。

――やはり家族間での意識の会話が肝心ですね

夫婦の場合はとくに、価値観のズレがFIREの障壁になるケースが多いようです。まずはお互いの将来の希望を挙げていき、目的を共有しておくとよいでしょう。どうしてもケンカしてしまう場合は、客観的にお互いの資質を判断して認め合うところから始めるとよいかもしれません。

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