「怖い絵」シリーズをはじめ、これまでに多彩な視点から名画を読み解いてきた中野京子さん。新刊の『名画の中で働く人々――「仕事」で学ぶ西洋史』は、「労働」をテーマに、風俗画、肖像画、歴史画に描かれたさまざまな仕事に従事する人々を取り上げ、「絵画に塗り込められた当時の人々の心」に触れ、その職業の時代的背景を読み解いていくというもの。
本書に登場する職業は、大工、政治家、闘牛士、傭兵、宮廷音楽家、道化、警官、香やし具師、異端審問官……と多岐に亘り、最後に「子供」と「天使」も出てくる。また、侍女、看護婦(歴史的な呼称)、修道女、女優、女性科学者、ファッションデザイナーと、働く女性が積極的に取り上げられている。
聞き手・構成=増子信一/撮影=山口真由子