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2022年夏フェスは完全復活できたのか? サマソニ運営に聞いた、コロナ禍のフェス裏事情

集英社オンライン / 2022年9月29日 18時1分

2022年夏、数多くの音楽フェスが行動制限を設けて復活を果たす中、サマーソニックが掲げた目標は「完全復活」だった。フジロックと並ぶ日本を代表するフェスは、果たして本当に完全復活はできたのか? 同フェスを運営する株式会社クリエイティブマンプロダクション宣伝部長・平山善成氏に、2022年のサマソニを振り返ってもらった。

3年ぶりのサマーソニック。フジやロッキンとともに目指した「完全復活」

クリエイティブマンプロダクション 平山善成氏

――今年のサマソニを終えてみて、率直にいかがでしたか?

第一弾アーティスト発表時の代表 清水(直樹)のコメントでも「完全復活」を目標に掲げていました通り、「コロナ前の状況にできるだけ戻す」が今年のテーマでした。もちろん場面場面では歓声の禁止などの制限がありますし、お客さまに協力してもらわないといけないところもありましたが、ある程度はコロナ前に戻せたという実感があります。



――動員状況はどうだったのでしたか?

今年は3年ぶりの開催でしたが、かなり早いタイミングでチケットが売り切れたことに、お客さんが待っていてくれたのだと強く感じました。コロナ以降、来日アーティストのライブができない中、会社としてクラウドファンディングで皆さんからご支援をしていただいたり、2021年に非常に厳しい制限の中スーパーソニック(※サマーソニックに代わって行われた新しいフェス)を開催したりと、そうした積み重ねが今年のソールドアウトにつながったのではないかと感じています。

しかし、何より、お客さんや関係者の皆さんから「久しぶりにサマソニに来られて楽しい/楽しかった」という声をいただけたことに尽きますね。サマソニの会場で久しぶりに会う人も多かったので、バックヤードは軽く同窓会みたいになっていました(笑)。

――今年「いつものサマソニ」を目指すことができた背景として、2021年と比べ世の中の基準が緩和されたことが大きかったのでしょうか?

それも含め、あらゆる状況の変化が大きかったですね。入国面など制度的な緩和はもちろんですが、ワクチン接種が進むなどして一般の方々のコロナに対する意識が変わってきたことも不可欠でした。

――7月に開催されたフジロック側との情報交換などは行っていたのでしょうか?

フジロック開催中の会場へ現地視察に行かせてもらって、会場づくりや感染対策の参考にもしましたし、ロック・イン・ジャパンにも行きました。コロナ禍になってから、国内の各種フェスやプロモーター間のコミュニケーションはかなり増えたと思いますね。

サマソニを通して感じた「2022年、海外と日本のコロナに対する意識の差」

ヘッドライナーを務めたイギリスのバンドThe 1975。©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.

――サマソニ開催にあたり、海外フェスの動向は意識されましたか?

かなり意識しましたね。欧米各国のフェスはもはやマスク着用義務がないどころか、完全に「コロナ禍は過去のもの」という扱いになっています。サマソニとしても、理想的には海外フェスの状況に近づけたいという思いがありました。とはいえ、日本で開催する以上は国内のルールに則らなければならないので、その中で最大限工夫を行うというかたちとなりました。

――サマソニに出演した海外アーティストは、日本のコロナ対策に驚いていましたか?

そうですね。彼らはすでにマスクなしで海外のフェスに出演していますし「マスクなしで当然」という意識でいるので、「日本ではまだマスクをしないといけないし、お客さんもマスクをしている状態です」という説明は行いました。ただ、それに対してはみんな受け入れてくれたのでよかったと思います。

――「日本っぽいね」みたいなリアクションですか?(笑)

まあ、そういう感じですね(笑)。ただ、結果的には「限定された状況だとしても盛り上がってくれる日本のオーディエンス、すごくいいよね」といった言葉を多くのアーティストからもらうことができました。

――アーティストのブッキングについて、コロナの影響は?

今年に関しては、コロナの影響は特に感じませんでした。すでに海外フェスが動いているのが大きいと思います。ブッキング時点では特に困ることはありませんでしたね。入国ビザを取ったり、入国前のPCR検査を手配したり、ワクチン接種状況の確認をしたりなど、いつもはやらなくてもいい作業は当然発生するのですが、それ以外は通常のサマソニに近い感じで準備ができました。

感染による出演キャンセルを救うのも、やはりアーティスト

キャンセルが危ぶまれたが無事出演を果たしたKing Gnu。©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.

――今年のサマソニは例年に比べてアーティストのキャンセルが多かった印象があります。代表的なところでは、YOASOBI、never young beach、カンダニエルが新型コロナウイルスに感染…。

そうですね。7月末から感染状況が拡大していたこともあり、コロナによるキャンセルについては僕らもある程度覚悟していました。そして、出演者の感染リスクはもちろんですが、僕ら運営側も主要スタッフが感染したときにどうバックアップするのかは直前まで議論して体制を構築し、神経を尖らせていました。

――さらにキャンセルとはなりませんでしたが、King Gnuはコロナで、マネスキンは海外での負傷によって、それぞれ前のフェス出演やライブをキャンセルしていたことから、出演が危ぶまれていましたよね。

日程の近いフェスやイベントでキャンセルをしたアーティストについては、マネージメントとも密に状況を確認していました。ただ、今年に関してはコロナ禍での開催ということから、直前でのキャンセルやメンバー変更などはある程度覚悟をして準備を進めていました。

never young beachの代役として急きょ出演したスチャダラパー。©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.

予備の出演枠を確保するなどはアーティストさんへ失礼にあたるのでしません。キャンセルせざるを得ないとハッキリわかった時点で、代わりに出演してくれるアーティストがいないか動き出す。今回ビーチステージでnever young beachの代わりにスチャダラパーに急遽出演いただいたのは大変ありがたかったです。

――コロナとは別に、ザ・リバティーンズが入国ビザ取得できずにキャンセルとなったり、やはり大変でしたか?

リバティーンズはピート・ドハーティ抜きで来日していたこともあったので、今回もそういうかたちでの来日ができないかも模索したのですが、バンド側から「今のリバティーンズは全員が揃っていないとライブはできない」と言われ、それならばやむを得ないとキャンセルを発表することになりました。

ただ、バンド側も急遽日本のファンのためにライブを撮影してくれ、それを会場はもちろんネット配信でも流すことができました。

やはりフェスの意義として、会場で生のライブを観るに越したことはありませんが、こういったバンドの協力によっても今年は成り立ったところも大きく、アーティストの方々には非常に感謝しています。


取材・文・撮影/照沼健太

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