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コロナ禍でも衰えぬブームでパンク寸前!? サウナは「ブーム」から「文化」に昇華する

集英社オンライン / 2022年10月8日 17時1分

サウナをこよなく愛する「サウナー」や、お気に入りのサウナに通う「サ活」。最近ではプライベートサウナやテントサウナなども注目され、サウナハットなど飛ぶように売れるグッズもブームにより一層拍車をかけている。こうした状況の中で老舗スーパー銭湯「おふろの王様」を手がける東京建物リゾートの代表取締役社長執行役員・加藤久利氏は「若者のサウナ人気は“ブーム”ではなく“文化”になっていく」と話す。

人気の秘訣は設定温度を10℃高めたこと

「おふろの王様」はスーパー銭湯の先駆けとして、老若男女問わずに愛されるような店舗づくりを手がけてきた。

そのため、昨今のサウナブームの盛り上がりに迎合するような店舗づくりは行っておらず、さまざまなユーザー層に広く楽しんでもらえるようなサービスの提供に努めているという。



しかし、その一方で近年のサウナブームが転じて、旗艦店の一つである大井町店はサウナ好きにも注目されるようになっている。

2019年に大規模リニューアルした際は、熱風が吹き荒れる岩盤浴エリアに「プロジェクションマッピング《ロウリュウ》」を導入。「光るサウナ」として、光と音楽による新しいロウリュウ体験を提供したところ、若い客層からの評判がよく、安定した集客につながるコンテンツになっている。

プロジェクションマッピングロウリュウが体験できる@大井町店

「スチームサウナでは、ヨモギの香りを充満させ、高熱の空間にしたところ、コアなサウナファンに刺さり、好評をいただいております。さらに今年の初めには、従来の設定温度である80~90℃よりも+10℃高めた“ストロングスタイル”を試験的に実施したところ、若者ニーズを捉えることができました。

サウナに特化した店舗づくりをしてしまうと、常連のお客様やロイヤリティの高いお客様の離反に繋がってしまうため、まずはできることから取り組んでいき、サウナファンにも応えられる店舗運営を行っていければと思っています」

郊外型の店舗である港南台店では、今年6月にテントサウナを設けたポップアップを期間限定で開催したという。

イベント性のある取り組みで、集客効果は高かったそうだが、「やり方を一歩間違えると、お客様満足度を下げてしまう」ことに加藤氏は言及する。

サウナストーンはイベント性は高いが…

「お客様はイベント的にセルフロウリュウを楽しみにされていますが、サウナストーンに水をかけすぎると、サウナ室内の温度が下がってしまうんです。なので、施設側で適正な温度調整を図る努力をすることが課題だと気づきました。それでも、こうしたトライアンドエラーを繰り返しながら、今後もサウナファンの期待に応えられるようにいろいろと模索したいと考えています」

水風呂は17℃、サウナの温度は80~90℃に設定する理由

2020年からのコロナ禍では、多くの温浴施設が営業自粛や時短営業を強いられ、厳しい状況に置かれている。惜しまれつつも、銭湯や温浴施設が閉店を余儀なくされるケースもある中、おふろの王様はどのようにしてコロナ禍の苦境を乗り越えてきたのか。

加藤氏は「弊社のみならず、他社も同様に苦しい環境に置かれた」として、次のように話す。

「コロナ禍初年度は、平常時に比べて集客数が6~7割ほどに落ち込みました。感染予防の観点から、基本的には自治体の要請に従うのを徹底しました。やはりその分だけ、売上は大きく落ち込みましたが、逆にそのような経営姿勢がお客様から支持され、感染状況を見て営業再開をしていったときには、お客様の戻りも比較的順調だったと感じています。

入館者数は、2021年はコロナ前の8割くらいでしたが、今年は感染者がおさまっていた時期にはコロナ以前並みの数字に戻る店舗がでるまで回復していて、これといった飛び道具的な施策はやってきませんでしたが、時短要請への対応やアルコール消毒、除菌マシンの導入などの積み重ねが、今につながっていると考えています」

まだまだコロナ禍は完全に収束しておらず、シニア層の一部はまだ店舗に戻ってきていないそうだが、その穴埋めをしているのがサウナ好きの若者だという。

いわゆる“サ活”の一環でおふろの王様を訪れ、「ととのう」体験を楽しむ若者が増えていて、有料のサウナハットやタオルなどの館内グッズの売行きも好況。新しくオープンした和光店では、休日の混雑する時間帯にもどのようにリラックスしてもらえるか、満足度を高められるかが課題となるほどだ。

コロナの終息とともに来客が増えていてる@和光店

「サウナブームの隆盛は、店舗運営をしている側からも見ても、勢いをすごく感じています。ただ、あまりブームに寄せすぎても温浴施設としてのマーケティングの観点としては良い判断ではないと思っています。基本的には若い方から子連れのファミリー、シニア層といったマルチターゲットをベースに、誰でも気持ちよく利用いただくために、特別なイベント時以外は水風呂は17℃、サウナの温度は80~90℃を適正に設定するなど、バイアスがかかりすぎないように塩梅を調整しています」

サウナは「ブーム」ではなく「文化」

今後の展望として、加藤氏は「大量集客型のビジネスを再評価していく必要がある」と未来を見据える。

というのも、これまで「おふろの王様」は「リーズナブルな価格で楽しめること」を訴求し、お風呂やサウナを多くの利用客で埋めることを重視していたが、コロナ禍でユーザーニーズが変わり、「適切な集客数を維持しないと顧客評価を下げてしまう」ことに気づき始めたからだ。

「お客様に適切なサービスと満足できる体験を届け、それに見合った対価をもらえるように、もっと料金体系のフレキシブルさを出していけるようにしていきたい。本当の意味でお風呂やサウナの良さを感じていただくためにも、どうすれば適正な客数を維持し、よりお風呂やサウナの良さを体感してもらえるかを試行錯誤していこうと考えています」

また、中長期的にサウナで喜んでもらえるためには何かを考え、本物志向のサウナ体験も追求していくという。

「サウナブームはもはや、若者のブームから文化として昇華されていくと考えていて、“ととのう”体験の気持ち良さに多くのお客様が気づいていると思っています。今の20代が30代、40代になってもサウナ人口は残ると思っていて、流行りもののエンタメという側面のみならず、健康にも良いことからサウナカルチャーとして今後も継承されていくと感じています。

そんななかで、我々としても施設ごとに丁寧なアップデートを加えていき、サウナファンに喜んでもらえるようなサービスを提供できるよう尽力していきたいですね」

取材・文/古田島大介

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