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「プロレスを辞めたら死ぬ」 福岡の地下アイドルから、世界のリングへ。東京女子プロレス・伊藤麻希の野望

集英社オンライン / 2022年10月14日 18時1分

東京女子プロレス所属のレスラー伊藤麻希。小柄な身体ながらも、団体が持つ『インターナショナル・プリンセス王座』のベルトを二度巻いた実力派レスラーだ。海外進出での驚きや、プロレスを辞めたら死ぬかもしれないという過激発言まで、その生きざまを語ってもらった。

東京女子プロレスの中でも、日本のみならず海外でも人気なのが伊藤麻希。元々は九州を中心に活動しているアイドルグループLinQのメンバーだったが、プロレス映えする度胸とマイクパフォーマンスを武器に、団体の持つベルトを奪還する実力派レスラーに成長した。今回は、海外での反響や、話題となったマイクパフォーマンスの舞台裏を聞いた。

――特徴的なリングコスチュームですが、どのようにデザインを決めているのですか?



コスチュームは上福ゆき(東京女子プロレス所属レスラー兼モデル)と一緒に考えています。彼女は私の特徴をよく理解しているから「こうしたらいいんじゃないの」っていうアイディアをよく話してくれるんです。メイクは、そんなにこだわりはないんですけど、流行りの抜け感メイクとか外国人風メイクとかはしないですね(笑)。

――でもヘアメイクも凄く雰囲気にあっていますよね。

アニメのキャラクターっぽく見せたいっていうことは、一番に意識していますね。最近、AEWという海外の団体にも参戦するようになってよりキャラ立ちは意識するようになりましたね。

――日本との違いはありますか?

やっぱり海外の女性レスラーたちは、みんな化粧が濃いんですよ! 私が隣りに立ったら、化粧してない人みたいになっちゃうんです。本当にアイシャドウとかも物凄く濃いピンクみたいなのを塗っているから、メイクでは太刀打ちできなくて(笑)。リング上のメイクは“もっと濃くてもいいかな”って思うようになりました。

――伊藤さんは、普段はどのようなメイク用品を使っているのですか?

今はネットのレビューとかで製品の良さもわかるじゃないですか。私はそういうのを参考にして買っています。ドラッグストアで買ったものばかり使っているけれど、全然こと足りるんですよ。(製品を手に取って)これは絶対落ちないです。眉毛を固める成分が入っているみたいで。

――自分よりも体格がいいレスラーと試合をするのは怖くないですか?

覚悟をしているから平気なんですよ。“痛いんだろうな……”って怯えながらリングに立って、張り手を食らうと「痛い! 」ってなるので。だからもう覚悟してリングには上がっています。

――今までで一番、痛かった打撃は?

里村選手(里村明衣子・レスラー兼センダイガールズプロレスリング株式会社代表取締役社長)のキックですね。あの人の蹴りは痛かったです。あと坂口選手(坂口征夫・DDTプロレスリング所属)の蹴りも痛かった! 人生で一番痛かったかもしれない……。

――リング上での過激なパフォーマンスが人気です。

リング上では相手にどう思われているのか、とかどうでもいいんです。対戦相手の人のファンからも「こいつ凄く嫌な奴」だと思われても、自分のファンが楽しければいいと思っています。

――名試合と言われている2018年1月4日後楽園ホール 『東京女子プロレス’18』で男色ディーノ選手(DDTプロレスリング所属)に、リップロック(キス)を決めた時のことを覚えていますか?

試合を観に来たみんなが笑ってくれたらいいかな、と思っていたからできた技ですよね。当時は、“キスは嫌だ”とか乙女な思考はしちゃ駄目だと思っていましたから。リング上では“女を捨てるのが当たり前”なので。

――アメリカで戦おうと思った経緯は?

2019年4月に初めてアメリカで試合をしたんです。その当時はまだ海外で試合ができることに対して、あまり興味はなかった。でも試合が決まった時に、めちゃくちゃファンの人が喜んでくれたんです。それから“世界でも通用するレスラーになりたいから頑張ろう”って思うようになったんですね。

――ファンの応援がモチベーションになったのですね。

実は、それまではプロレスの基礎の部分をなめていたんです。上手くできなくても、表現でどうにかなるだろうっていう甘い考えがあったんですよ……。でも本当に世界を目指そうってなると、テクニックが必要になる。基礎を磨くための努力は、本当にきつかったですね。でもそういう地道な努力があったからこそ、ようやくベルトを巻けるようになったりもしたんですけれど。

ネットで話題となったマイクアピールの真相とは…

――2018年には「死にたくなったら伊藤の試合を観ろ」というマイクアピールで話題となりましたが、この言葉はどういう思いから発していたのですか?

東京ってよく電車の人身事故が起きるじゃないですか。私はまだ福岡から出てきたばっかりで、電車が止まるということに慣れてなかった。でも東京で暮らしている人にとっては、事故が当たり前のようになっちゃっている部分もある……。“人の命が亡くなっているのに、どうして無関心でいられるの”って辛くなった。その経験から、命を投げてしまった人の気持ちを考えるようになったんです。

“もしかしたら、楽しいことがなかったのかもしれない”って想像してみたら、“私なんか、アイドル時代はずっとどん底にいたけれど、今は普通に生きている。だから伊藤を見れば元気になるんじゃないかな”って閃いたんです。

――伊藤さんのマイクに勇気づけられた人は、沢山いると思いますよ。

でも、もうあのマイクパフォは封印しちゃったんですよ。あの時はどん底だったからできたパフォーマンスで、今はもうできないです。

――なぜですか?

だって、今の私は普通の人よりも良い生活していると思うんです。幸せな奴からそういうこと言われても響かないと思う。だからもうああいうマイクは言わないようにしています。

――レスラーとしての今後の目標はありますか?

今後の目標はmakiitouとして世界征服がしたいですね。別に日本を捨てたとか、そういう意味じゃないんですよ。せっかくこの世界に生まれてきて、レスラーにもなったのに、ずっと同じ土地にいるのってもったいないと思うんですよ!

――海外のリングはどうですか?

海外はリングの構造自体が全然違うんですよ。日本のリングって凄く安全なんです。この前も海外で、ロープが切れて人が下に落ちるっていうアクシデントがありましたからね。日本だとそういうケースはほとんどないんですけれど、海外だと全然あり得る環境なんですよ。

――緊張感がありそうですね。

そうなんです。試合も下手くそだったりすると客席からブーイングが起きたりするので大変なんですよ。来年GCWという海外のハードコアの団体にも参戦するし凄く楽しみですね。

――世界のmakiitouがアイドル時代を振り返るとどう感じます?

精神的にも全部変わった気がします。あの時は自分のことしか見えてなかったけど、今は周りのことも見れるようになってきた。そこが一番大きい気はします。昔はよく嫌なことを言うファンと喧嘩をしていたんですよ、ツイッター上で(笑)。でも今はもう相手にしない!

――自分の見せ方も変わってきたのですね。

海外の女性レスラーって、彼氏の写真をSNSにアップするんですよね。でもやっぱり元々がアイドルだからっていうのもあるけど、makiitouは絶対に男性の影も出さないし、食事とかもなるべく上げないようにしているんです。だって人間味が出るのが嫌! 最終的には“makiitouは本当に存在しているのか?っていう感じにしたいんですね。

――何が一番違うと思います?

それはもう、プロ意識ですよね。今はもう地下アイドルじゃない。もう伊藤麻希っていう存在のプロフェッショナルになったから。覚悟が違うんです。福岡から出てきた一人の女の子が、世界でmakiitouになった。だからこそ変われたんだと思います。

――プロレスを辞めたいと思ったことはありましたか?

プロレスを辞めなかったのは、辞めたら死のうと思っていたからなんです。

――それくらい、真剣に取り組んでいたという事でしょうか。

死ぬなんて、簡単に言っちゃいけないことだとも重々わかっているんです。でも私はプロレスを辞めたら死ぬしかないと思っている。レスラー以上に向いている職業もないと思うし、“伊藤麻希”として活動できないんだったら、もう生きる意味がないと思っているんですよ。

――それくらいの覚悟で、活動されているのは伝わってきます。

レスラーを辞めても、“結婚して主婦にでもなればいいじゃん”って思う人もいるかもしれない。主婦も素晴らしいと思うけれど、自分にとってはレスラー以上に面白いと思えるものがないんです。プロレスがないと人生がつまらないんですよ。バイトが続かなったので、好きじゃないことが頑張れないってわかってるんです。

――プロレスが全てなのですね。

プロレスを辞めて何か新しく始める人って、凄いと思いますよ。私はもうしがみついてる状態なので(笑)。プロレスを始めたのが2015年だったんですけれど、7 年で人生の全てになりましたね。

取材・文/池守りぜね 撮影/二瓶彩

東京女子プロレス直近の大会情報等は、こちらをチェック!
https://www.ddtpro.com/tjpw

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