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自分の仮性包茎を自ら手術。エリート医師が下半身を実験台にしてまで進んだ性器形成医療の道

集英社オンライン / 2022年10月6日 11時1分

他人にはなかなか打ち明けられない「下半身の悩み」。それに応える六本木のあるクリニックに、人々がこぞって訪れている。院長は元々がん治療をメインにするエリート消化器外科医。なぜ、本クリニックを立ち上げたのか。その背景に迫った。

今どきはサウナに行っても、若い男性の4人に一人はデリケートゾーンがつるんつるん、いわゆる「無毛状態」であることに、筆者は戸惑いを隠すことができません。もはや、男性もヒゲだけではなくVIOを含む全身脱毛の施術を受けるのが当たり前になりつつあるのではないかと思うほど、「美の基準」のハードルがどんどんと高くなってきているのではないでしょうか。しかも、男女を問わない「美への執着」は、ムダ毛に覆われていた「性器」にまで及んでいると聞きます。



そんな中、六本木に拠点を構える性器形成を専門とする美容クリニック『veary clinic(ヴェアリークリニック)』が話題を呼んでいます。今回は、当クリニックの院長を務める井上裕章先生から、ここ日本における最新の「下半身リメイク」事情について、いろいろと興味深いお話をお伺いしました。

女性器を見られたくないから、がんの手術は受けたくない!?

すでに世界的な潮流となっている「男女の美意識の向上」。そして、その究極形とされる「性器形成」のトレンドの加速は、とくに欧米で顕著だと井上先生は指摘します。

「海外で発表された論文では、イギリスは2000年から2010年にかけて婦人科美容手術(=女性器形成手術)が5倍に。オーストラリアでも2.5倍に増えているとの報告があります。僕も、外科医としてがん治療に携わっていたころから、このようなニーズの多さをヒシヒシと感じていました」

男子御三家と呼ばれる名門・麻布高校から(※麻布では300人中トップの成績!)東大医学部に入学。その後、2年の研修期間(初期研修医制度)を経て、がん治療をメインとする消化器外科医に。王道のエリートコースを歩んできた井上先生が「下半身」に特化したクリニックを開院するという、あまりにダイナミックすぎる方向転換へと到ったきっかけとは、はたして……?

veary clinicのカウンセリングルーム

「軸足を本格的に下半身へと移したのは約3年前です。それまでは、病気の代名詞的な“がん”に取り組みたいと真剣に思っていて……。なかでも、薬物療法ではなく、自分の手で治療する(=手術)機会が多い診療科を選びました。

配属されたのは、骨盤臓器(直腸・肛門・卵巣・膣・男性器・膀胱・尿道…など)の手術をメインにやっている“外科”でしたが、そこで働いていた5年ほど前に、ある一人の女性患者に出会ったのです。

その患者さんは直腸がんだったんですけど、まだオペをすれば完治する段階でした。ところが、彼女は『受けたくない!』と、頑なに手術を拒んできて……。

最初は、なにか宗教的な理由でもあるのかと思いました。でも、真の理由は僕にとっては遥(はる)か予想外のもので、『女性器の見た目に強烈なコンプレックスがあるから』でした。オペをするということは当然全裸になって、女性器も我々の前に晒さなければいけない。それがどうしても嫌だと言い張るんです。
『今まで誰にも見せたことがない』と」

「命がけの拒否」から受けた衝撃

「全裸になって手術を受けること」を大なり小なり恥ずかしがる女性はいても、そこまで強い拒絶を示すのは珍しいどころか、自分は初めて出会った……と、井上先生は当時の複雑な心情を告白します。

「まさに命がけで拒否しているわけです。おそらくそのコンプレックスのせいで、男性経験もなかったのではないでしょうか。

本当にびっくりしました。僕が医者になった動機は、決して綺麗事ではなく『なによりも大切な命を助けるために!』だったのに、まさか、こんなにも極北的な価値観があるなんて……。

とりあえず、僕もあのころはなんとなくしか知らなかったんですけど、いろいろと調べてみて、その患者さんに女性器の形を整える施術があるという旨を伝えました。

結局、女性器形成の手術を受けてからがんの手術を受けてくださって、めでたく完治したのですが、医者として自分に『命を助けりゃいいんだろ!』という奢りがあったのでは、と自戒の念に苛まれてしまい……」

命にも勝る深刻なコンプレックスが世の中には存在する――。そんな“真実”に触れてしまった井上先生はこの一件を境に、「人が抱く下半身にまつわる悩み」への意識を高め、「性器形成」の重要性に目覚めます。

「数々の患者さんを診察し、あらためて観察してみたら……程度の差こそありますけど、意外と同じようなことをおっしゃる患者さんって、たくさんいるんですよ。

信じられないことに、女性だけじゃなく男性にもけっこういました。『包茎が恥ずかしい』とか『小さいのが情けない』とか……。

近年では介護脱毛がにわか流行りつつありますよね? その動機の大半は『義理の娘に汚い男性器や肛門を見せるのが恥ずかしい』『毛にこびりついた糞尿を処理してもらうのはしのびない』といったもので、メンタリズムとしては似ているのかもしれません。さすがにオペまで拒否する人はいませんでしたが。

がん治療を重ねていくうちにどんどんと、そのような切実な悩みを直に感じるようになってきました。なので、そういう患者さんには『性器形成という施術があるんですよ』と積極的に提案するようにしたんです。引き出しが一つ増えたみたいな気分でした」

積極的な提案を重ねるごとに、井上先生は「どうせ手術するならソッチとがん、一緒にやってくれない?」というリクエストを、患者から頻繁に受けるようになったと言います。

「自由診療と保険診療は同時にできないなど、越えなければいけないハードルがたくさんあるので、現状では“一緒にやる”のは厳しいのですが、『下半身治療も自分でできるようになりたいな』という気持ちが次第に強くなってきて……。プライベートの時間を利用し、あらゆる所に勉強しに行って、『女性器・男性器の診療を極める』といった、僕の中でのもう一つの軸が生まれてきたわけです。

“美”の先進国である韓国にも1ヶ月ほど武者修行に行って、女性器形成分野の第一人者に師事したこともありました」

自身の包茎手術も自分でやった

大学院に進学して時間の余裕もできたころには、修行の甲斐もあり、飛躍的なスキルアップを果たした井上先生は「性器形成」の世界へと魅せられ、より明確に軸足を「下半身」へと移していきます。

そして「自分でクリニックを開設したい」という想いが急速に膨らんでいきました。

「総合美容外科クリニックでも勤務医として働いていました。しかし、そこでは性器形成が“ついで”でしかありませんでした。顔はガッツリできますけど、陰部もできなくはないですよ......みたいな。だから、自分で性器形成専門のクリニックを開きたくなったのです。

たとえば、『包茎手術』を宣伝文句としているクリニックは、日本中あちらこちらにあります。ただ、その手のクリニックは、バイト医などが片手間で施術していることもあるんですよ。ちょっと切ったり縫ったりができる程度の出稼ぎ気分な医者を雇っている。
正直、そこまで難易度の高い手術ではないぶん、逆に技術もあまり優れていない。もちろん、専門でしっかりやられている先生もたくさんいらっしゃるのですが、実際のところは『片手間=ついで』といったポジションなんです」

そんな現状を憂いたのか、井上先生は自らの技術を高めるために、あることに挑みます。なんと、自身の包茎手術も局部麻酔を使用して自分でやってしまったのです! まるでブラックジャックさながらの、凄まじいエピソードです。

veary clinicの手術室

「自分を練習台にするという感覚もありました。かつては僕も仮性包茎だったので、包茎で悩む男性の気持ちはとてもよくわかるんです。同時に、ちまたのクリニックの包茎手術事情も熟知していたので、他人に任せることができなかった。少なくとも僕が知っている範囲で、自分の性器を安心して任せることができるドクターもいなかった。客観的に『自分が一番上手いな』と思ったので、手術に踏み切ったわけです」

このようなもはやエキセントリックなまでに一つのことへとのめり込む性格と、尋常ではない行動力をバックボーンに、井上先生は今年の1月に『veary clinic』を開院。そして、そこを訪れるのは……驚くべきことに女性が圧倒的に多いのだそうです。次回は、日進月歩に目まぐるしい進化を遂げる「性器形成」の実態とそのメカニズムについて、詳しく紹介してみましょう。

取材・文・写真/山田ゴメス

veary clinic(ヴェアリークリニック)
住所:〒106-0032 東京都港区六本木4-2-35
アーバンスタイル六本木三河台2F
電話番号:03-6820-2457(電話予約・ご相談用)
診療時間:10:00~19:00(年中無休・完全予約制)
メールアドレス:info@vearyclinic.life
公式HP:https://vearyclinic.life

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