チゲにプルコギ、キムチにチキン…空腹時の鑑賞には厳重注意。飯テロ韓国映画５選

チゲにプルコギにトッポキ、チキンにキムチなど、韓国映画には美味しい食べ物がたくさん！ 夜中、お腹が空いているときに見たら食べたくてたまらなくなる、絶品韓国グルメが登場する映画５作を紹介する。

『コンフィデンシャル／共助』（2017） Confidential Assignment 上映時間：２時間５分／韓国

『コンフィデンシャル／共助』Blu-ray、DVD発売中＆デジタル配信中
発売・販売元：ツイン
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北朝鮮のエリート刑事と韓国の熱血刑事がコンビを組んで、予測不能の“南北共助捜査”に挑む、型破りなバディ・ムービー。人気俳優ヒョンビンは、ドラマ『愛の不時着』（2019）と同じく北朝鮮出身のキャラクターを演じているが、キレッキレのアクションがあまりにもカッコよく、見とれるシーンが盛りだくさんだ。

北朝鮮のエリート刑事チョルリョン（ヒョンビン）は、国家を裏切った上官ギソン（キム・ジュヒョク）に愛する者の命を奪われる。国家機密を盗んで韓国へ逃亡したギソンを捕まえるために、チョルリョンはソウルの熱血刑事ジンテ（ユ・ヘジン）と協力することに。初めはお互いの思惑を隠しつつ、共助捜査を進めるチョルリョンとジンテだったが、何度も危機に直面するうちに、徐々に絆が生まれていく。

ジンテがチョルリョンを自宅に泊め、妻ソヨン（チャン・ヨンナム）の作った家庭料理を彼に勧めるシーンに登場するのが、湯気の立ち上るチゲ、プルコギ、揚げ物、煮物、スープ、さらに海苔やキムチなど。
ずらりと食事がテーブルに並ぶ様は、とても美味しそう！ 妻の妹ミニョンが、チョルリョンを一目見るなり目がハートになり、姉の作った料理を全て自分の手柄のように勧めているのが面白い。
ミニョンを演じているのは、人気ガールズグループ「少女時代」のユナ（俳優名は本名のイム・ユナ）。本作でコミカルなパートを担っているのも見どころ。

『リトル・フォレスト 春夏秋冬』（2018）Little Forest 上映時間：１時間43分／韓国

左からジェハ（リュ・ジュンヨル）、ウンスク（チン・ギジュ）、ヘウォン（キム・テリ）
Everett Collection/アフロ

五十嵐大介の人気漫画『リトル・フォレスト』を原作にした韓国版映画。橋本愛主演作『リトル・フォレスト 夏・秋』（2014）『リトル・フォレスト 冬・春』（2015）でも、大自然に囲まれた小さな集落で暮らすひとりの女性の姿を描いていたが、本作には韓国ならではの料理が登場するのが見どころ。

大学進学を機にソウルに移り住んだヘウォン（キム・テリ）は、恋愛も就職も思いどおりにいかず、何より食事に不満を募らせて、故郷の田舎町の片隅に戻ってくる。旧友のジェハ（リュ・ジュンヨル）とウンスク（チン・ギジュ）に再会したヘウォンは、自ら育てた農作物で一食一食を作っては何よりも美味しいと感じ、心を許せるウンスクたちと手作りのマッコリを味わう喜びをかみしめる。
すぐにソウルに戻ると口では言いながら、冬から春、そして夏、秋を経て、再び冬を迎えることになったヘウォンは、自分が故郷に戻ってきた真の理由を悟り、新たな春を迎えるための第一歩を踏み出すのだが……。

本作ほど、“ザ・飯テロ作品”にふさわしい映画はないのではないだろうか。
ヘウォンがレシピを説明しながら作るトッポッキや栗の甘露煮、新鮮な春キャベツのサンドイッチ、冷えた体を温めるすいとん、さらに前出の手作りマッコリなど、その土地で採れた素材を使って丁寧に作られる料理は、どれも最高に美味しそう。
ご馳走になりたくてたまらなくなってしまう！

『純情』（2016）Unforgettable Love 上映時間：１時間53分／韓国

『純情』DVD発売中
販売：エイベックス・ピクチャーズ
© LITTLEBIG PICTURES

2014年、ラジオDJとして活躍する主人公のもとに届いた一通の手紙。それは、彼の初恋の相手からの手紙だった……。
1991年の夏の思い出を振り返る、切ない青春ラブストーリー。人気男性アイドルグループ「EXO」のD.O.が、映画初主演を果たしたことでも話題を呼んだラブストーリーだ。

高校生のボムシル（D.O.）は夏休みを迎え、仲間と一緒に故郷の高興の島に帰る。島には、足が不自由で学校に通えないスオク（キム・ソヒョン）が待っていた。スオクに恋心を抱くボムシルは、口下手で不器用ながらも献身的に彼女の支えになろうとし、スオクのためにも仲間たちと楽しい夏休みを送ろうと考える。
だが、スオクが主治医のヨンイル（キム・グォン）に好意を持っていると知ったボムシルは、いら立ちを募らせてしまう……。

注目は、新しい船を買ったある家族がお祝いとして、料理や「韓菓」を島民にふるまうシーン。
韓菓とは、果物がない季節に、穀物の粉や蜂蜜を練り合わせて作った韓国の伝統菓子のことで、「油蜜菓(ユミルクァ)」や「油菓(ユグァ)」などがある。
スオクが大きな油菓をかわいらしく頬張る場面はほほ笑ましく、サクッとした食感が伝わってくるほど！ 他にも、民家の庭に大勢集まって、にぎやかに飲んだり食べたりするシーンが登場し、島民に加わって食事に参加したくなってしまう映画だ。

『エクストリーム・ジョブ』（2019）Extreme Job 上映時間：１時間51分／韓国

左からマ刑事（チン・ソンギュ）、ジェフン（コンミョン）、コ班長（リュ・スンリョン）、チャン刑事（イ・ハニ）、ヨンホ（イ・ドンフィ）
Everett Collection/アフロ

韓国歴代興収ランキング第１位を記録したメガヒットコメディ映画。警察の麻薬捜査班が張り込みのためにフライドチキン店を偽装営業していたはずが、経営に夢中になりすぎて……。
冒頭から終わりまで、笑いとアクションが怒涛の如く繰り広げられ、たまらなく面白い作品。

必死に捜査に駆けずり回るも、実績は最低の麻薬捜査班。解体の危機を迎えてしまった彼らに、最後のチャンスが訪れる。
それは、麻薬を密輸している国際犯罪組織の大ボスを捕らえることだった。

麻薬捜査班はその組織を24時間監視するため、組織のアジト前にあるチキン店を偽装営業することに。ところが、チキンの味が人気を呼び、思いがけず名店として名を馳せるようになる。捜査は後回しで、チキン売りに夢中になってしまう麻薬捜査班。
そんなある日、逮捕の絶好の機会が訪れるのだが……。

“絶対味覚”を持つマ刑事（チン・ソンギュ）によって、チキンの味を追求し出す展開には爆笑！
韓国には味や調理法などによるチキン料理の種類が多く、特に“国民食”とも呼ばれるフライドチキンは大人気。
本作に登場するフライドチキンは、秘伝のカルビソースが決め手で、見ているとよだれが出そうになるほど。
筆者は韓国映画の中で本作が一番好きなのだが、その理由はむやみに悲劇が訪れたりしないし、登場人物はちっともカッコよくはないが（申し訳ない！）、応援せずにはいられないたくましさがあり、何より美味しいものを食べることへのリスペクトを感じさせ、幸せな気分になれるから。
できたら、チキンを用意して本作を楽しんでみてほしい！

『パラサイト 半地下の家族』（2019）Parasite 上映時間：２時間12分／韓国

左からキム家の長男ギウ（チェ・ウシク）、父ギテク（ソン・ガンホ）、母チュンスク（チャン・ヘジン）、娘ギジョン（パク・ソダム）
Collection Christophel/アフロ

第72回カンヌ国際映画祭でパルムドール、第92回アカデミー賞で作品賞ほか、数々の受賞歴を誇る傑作映画。ポン・ジュノ監督・脚本によるストーリーのひねりが抜群に面白く、ソン・ガンホをはじめとするキャストの名演技も秀逸。

半地下の家で暮らす貧しい4人家族のキム家は、全員が無職の状態だったが、長男に舞い込んだ裕福なパク家での家庭教師の仕事から状況が好転。4人全員がこの家で仕事を得ることに。ところが、これで安泰だと思った矢先、想像を遥かに超える衝撃が待ち受けていた……。

家政婦として働くキム家の母親チュンスクが、パク家の奥様から電話を受け、外出先から戻る８分後に「チャパグリ」を作っておいてほしいと頼まれるシーンがある。
“韓国B級グルメ”と言われるチャパグリは、韓国を代表するインスタント麺「チャパゲティ」と「ノグリ」を掛け合わせたアレンジ料理。簡単に作れる料理だが、裕福なパク家の奥様は、ここに牛肉（高級な韓国産の韓牛）を入れろとのオーダー。旨辛でやみつきになるチャパグリが話題を呼び、本作から一大ブームとなった。

とんでもないストーリー展開の中に、突如出てくる飯テロシーン。見た後に自分でも再現できるのが楽しいけれど、映画の内容を考えると、ちょっと複雑な気持ちになりながら味わうことになるかもしれない!?



文／清水久美子