読書で現実を超える
どんな逆境にあっても、本を読む術を知っている人は現実の困難を超えることができると私は考えています。読書には人を救い、幸福にする力があるからです。もちろん、そのようなことを考えることなく、ただ楽しむために本を読むのであっても、本を読んでいる間は現実を忘れることができます。
本を読み終わった後現実に戻ると、また苦しいかもしれませんが、もしも本を読まないで過ごしていたらその間ずっと苦しみと向き合わなければならなかったでしょう。私はこのようなことが必ずしも現実逃避とは思わないのです。
本を読むことで現実に直面することがあります。もしもまわりの人が自分が疑問に思うことに答えてくれないのであれば、自分で答えを探すしかありません。そうするために本を読んだ時に、思いもよらない受け入れ難い現実と直面することはあります。
例えば、死について深く考えない人は悩まないでしょうが、一度死というものがあることを知ってしまうと元に戻ることはできません。前にも述べたように、私は小学生の時に肉親を次々に亡くし、死と直面することになりました。死について考えなければ、無邪気に子ども時代を生きられたかもしれません。
知らないことを知ることは本来嬉しいことですが、死について知ることは嬉しいとはいえません。しかし、そのことが生きる喜びを奪うわけではありません。このことがきっかけになって、私は後に哲学を学ぶことになったのですが、本を読むことでただ怖いというのではなく、現実を超えることができました。