久々の医療ものに謎解き……期待が高まる2022秋ドラマ、注目作を曜日別に紹介

10月秋からスタートの注目ドラマをピックアップ！ 各曜日で1作ずつ＝合計7作ピックアップし、それぞれの期待ポイントを紹介する。

【月曜日】吉沢亮主演『PICU 小児集中治療室』

10月10日放送スタートの月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』（フジテレビ系列）は、北海道のPICU＝Pediatric Intensive Care Unit（小児専門集中治療室）を舞台に、吉沢亮演じる新米小児科医・志子田武四郎（しこた・たけしろう）が、子どもたちの命を救うために奔走する姿を描きだすというもの。

今回が月9初主演となる吉沢亮。
吉沢といえば、2021年に放送されたNHK大河ドラマ『青天を衝け』の堂々たる主演っぷりが記憶に新しく、映画『ブラックナイトパレード』（12月23日公開）の公開も控える、若手のなかでも先陣を切る実力派。

より誠実な姿勢が求められるであろう医療ドラマにおいて、キャリア初の医師役に挑戦する彼は、どんな表情を見せてくれるのだろうか。

また、本作の主題歌を中島みゆきが担当している点も見逃せない。
『Dr.コトー診療所』シリーズの『銀の龍の背に乗って』以来、16年ぶりとなるフジテレビ系列ドラマへの主題歌提供である。
10月10日に放送の第1話にて解禁される楽曲「俱に（ともに）」は、作品にどんな色合いを添えるのか。

ちなみに、ゴールデン帯で医療ドラマが放送されるのは、2022年1月期以来（浜辺美波主演『ドクターホワイト』（フジテレビ系列）ならびに成田凌主演『逃亡医F』（日テレ系列））のこと。2クール連続で医療ドラマが制作されなかったのは稀である。

『監察医 朝顔』シリーズのスタッフが満を辞して送るオリジナル脚本作品『PICU 小児集中治療室』。数々の大人気医療ドラマを世に放ってきたフジテレビが、初めて取り組む小児集中治療に焦点を当てたドラマに、期待値は上がる一方だ。

★『PICU 小児集中治療室』期待ポイント
1. 月9初主演となる吉沢亮が新米小児科医を熱演
2. 『銀の龍の背に乗って』以来16年ぶり・中島みゆきが月9へ初の主題歌提供
3. 『監察医 朝顔』シリーズのスタッフが手がけるオリジナル脚本

【火曜日】史上初”推し活”ドラマ？ 火10『君の花になる』

10月18日スタート、本田翼主演の火10ドラマ『君の花になる』（TBS系列）。元高校教師の主人公・仲町あす花が、とあるきっかけから7人組ボーイズグループ「8LOOM（ブルーム）」の寮母となる物語だ。
「8LOOM」はドラマ内に限らず、実際にアイドルグループとしてデビューし期間限定で活動中。9月21日には1stシングル「Come Again」をリリースした。

意外にも本作がTBSドラマ初主演となる本田翼は、TBSドラマへの出演自体も5年ぶり（2017年『わにとかげきす』）となる。

ゲーム実況チャンネル「ほんだのばいく」も好調で、テレビではあまり見られない素の姿が好印象に繋がっている彼女。
今回主演を務めるドラマ『君の花になる』では、自身の夢だった高校教師を挫折し姉の家へ転がり込むが、新しく出会う“8LOOM”の7人を応援すべく再奮起する……といった役柄だ。
主人公・あす花と同じ30歳の節目を迎える本田翼が、どんな演技を見せてくれるかにも注目したい。

“8LOOM”のリーダー・佐神弾（さがみ・だん）には、ドラマ『最愛』（TBS系列）での浅宮優が記憶に新しい期待の若手・高橋文哉を起用。楽曲発表やライブ、イベント開催なども予定している“8LOOM”の、ドラマと連動したリアルな動向も見逃せない。

挫折を味わった元高校教師と、夢に向かって一直線に突き進む男の子たちの成長物語である同作。本田翼演じるあす花と高橋文哉が演じる弾は、元教師と元教え子の間柄だ。9歳の差を越えて禁断の恋が芽生えるのか、先読みできないオリジナルストーリーである点もドラマの魅力である。

★『君の花になる』期待ポイント
1. 本田翼がTBSドラマ初主演！
2. ドラマを通して推しが誕生！ リアルな”推し活”ドラマ
3. 元教師と教え子の禁断の恋も？

【水曜日】実話を元にした、水10『ファーストペンギン！』

10月5日にスタートした奈緒主演の日テレ系、水10ドラマ『ファーストペンギン！』。
奈緒演じる崖っぷちシングルマザー・岩崎和佳（いわさき・のどか）が、5歳の息子とともに寂れた港町にやってくる場面から物語は始まる。ホテルの仲居として働いていた矢先、漁船団「さんし船団丸」の船長であり漁師・片岡洋（堤真一）と出会い、町の復興に尽力することになるのだ。

奈緒といえば、話題を席巻した日テレ系列ドラマ『あなたの番です』のサイコパス的怪演が語り草となっている。彼女のゴールデンプライム帯連ドラ初主演となるのが本作だ。
『世界の中心で、愛をさけぶ』『白夜行』『天国と地獄〜サイコな2人〜』など、数々のヒットドラマを手がけた脚本家・森下佳子による、実話を元にしたオリジナル脚本に期待が止まらない。

タイトルにもなっている「ファーストペンギン」とは、その臆病な性質ゆえになかなか大海へ飛び込めないペンギンのなかでも、率先して先陣を切る一羽を称した言葉。怖いけれど勇気を出して挑戦する姿は、シングルマザーというハンデをものともしない、一人の女性の背中と重なるに違いない。

★『ファーストペンギン！』期待ポイント
1. 森下佳子による、実話を元にしたオリジナル脚本
2. GP帯連ドラ初主演・奈緒のシングルマザー姿
3. 寂れた港町は生まれ変わるのか？怒涛の復興劇

【木曜日】音のない世界で出会い直す男女の姿！ 木曜劇場『silent』

10月6日に第1話が放送され、すでに話題となっている川口春奈＆目黒蓮（Snow Man）出演のフジテレビ系列木曜劇場『silent』。今年2022年がデビュー15周年の節目のタイミングである川口春奈が、フジテレビ系列の連ドラに初主演とのことで期待が高まる同作。川口は、ドラマ『教場Ⅱ』（フジテレビ系列）で共演経験のある目黒蓮とともに、切ないラブストーリーに挑戦する。

川口春奈演じる青羽紬（あおば・つむぎ）と、目黒蓮演じる佐倉想（さくら・そう）は、高校生の頃に出会い、共通の趣味である音楽を通じて仲を深めていった。卒業後も生活をともにしたいと願う紬に反し、なぜか想は満足な理由も告げずに紬の前から姿を消してしまう。実は彼は徐々に聴力を失う難病を患っていたのだ。8年後に偶然にも再会する2人は、どのようにして関係を築き直すのだろうか。

また同作の脚本を務めるのは、2021年「フジテレビヤングシナリオ大賞」で大賞を勝ち取った（『踊り場にて』）若手脚本家・生方美久。審査員を務めた村瀬健プロデューサーのお墨付きで、新人ながら木曜劇場の枠に大抜擢。川口春奈や目黒蓮と同世代の手によって紡がれるラブストーリーは、演者やスタッフからも「続きが気になる」と早くも話題になっている。

★『silent』期待ポイント
1. フジテレビ系列連ドラ初主演＆デビュー15周年の節目である川口春奈
2. Snow Man目黒蓮の演技
3. 若き才能が紡ぎ出す“早く続きが知りたい”ラブストーリー！

【金曜日】平野紫耀主演で生まれ変わる、金10『クロサギ』

10月21日からスタートする平野紫耀（King & Prince）主演の金10ドラマ『クロサギ』（TBS系列）。2006年に山下智久主演で連ドラ化、2008年に劇場版も公開された大人気シリーズが、2022年の日本を舞台にして生まれ変わる。

詐欺師だけを狙う”最凶”の詐欺師＝クロサギを名乗る黒崎高志郎（くろさき・こうしろう）を演じるのは、アイドルグループKing & Princeとしての活躍もさることながら、ドラマ・映画・CMと活動の幅を広げている平野紫耀。
前シリーズでは山下智久が務めた同役を演じるにあたり、彼に課せられたプレッシャーはいかほどか。詐欺被害により家族を失った過去を持つ黒崎をどのように表現するか、楽しみに待ちたい。

前シリーズが放送されていた当時、原作漫画が並行して連載中だったこともあり“完全版”として新しく生まれ変わる『クロサギ』では、主人公 VS 宿敵のラストバトルも描かれる。
黒崎と対峙することになる御木本（坂東彌十郎）含め、ヒロイン的立ち位置になる吉川氷柱（黒島結菜）、黒崎の雇い主である桂木敏夫（三浦友和）など、多彩なキャラクターからも目が離せない。

★『クロサギ』期待ポイント
1. 時代を超えて生まれ変わる『クロサギ』完全版
2. プレッシャーを背負い主演を張る平野紫耀の覚悟
3. 前シリーズでは描ききれなかった、主人公 VS 宿敵のラストバトル

【土曜日】医療×謎解き？ 土10『祈りのカルテ〜研修医の謎解き観察記録〜』

10月8日スタート、玉森裕太（Kis-My-Ft2）主演の土10ドラマ『祈りのカルテ〜研修医の謎解き観察記録〜』（日テレ系列）。玉森裕太演じる研修医・諏訪野良太がカルテを元に患者の嘘を優しく見破る医療ドラマである。
原作は知念実希人の大人気シリーズ『祈りのカルテ』だ。

大学附属病院の研修医である諏訪野良太は、2年間の研修期間中にさまざまな科をまわり、将来の行く先を決める。この設定により、おそらく1話ごとに舞台となる科が変わる、医療ドラマとしては新鮮な構成になっていると予想できる。また、第一話の舞台が精神科となっている点も新しい。
ただ、最初から内容が重くなりすぎると、視聴者は離れてしまうだろう。どうしてもセンシティブになりやすい要素を、どのようにバランスよく見せるのか楽しみだ。

「カルテを通して患者の嘘を見破る」「人の顔色を読む」といった主人公の背景は、どことなく『ラジエーションハウス』シリーズの五十嵐唯織（窪田正孝）を彷彿とさせる。このドラマも、仲間と全身全霊で患者に向き合い、病魔に相対する医療ドラマだった。”謎解き”の要素をどこまで生かせるかが、明暗を分けるかもしれない。

★『祈りのカルテ〜研修医の謎解き観察記録〜』期待ポイント
1. 謎解き要素を掛け合わせた、新しい医療ドラマの可能性！
2. 主演・玉森裕太のフレッシュな研修医姿
3. 原作は知念実希人の大人気シリーズ『祈りのカルテ』

【日曜日】民放ドラマに山崎賢人が帰ってくる！ 日曜劇場『アトムの童』

10月16日から放送開始の山崎賢人主演のTBS日曜劇場『アトムの童』。日曜劇場初主演となる山崎賢人が演じるのは、若手ゲームクリエイター・安積那由他（あづみ・なゆた）。
令和のゲーム業界を舞台に大企業との戦いを描き出す、これまでになかったオリジナルストーリーである。

日曜劇場初主演、出演自体も2017年の『陸王』以来となる山崎賢人。Netflix配信ドラマ『今際の国のアリス』（2020）や映画『キングダム』シリーズが好調のさなか、民放ドラマへの出演は途絶えていた彼が、ついに帰ってくる。
新進気鋭のゲームクリエイター・那由他（通称：インディー）が、先行き危ういおもちゃメーカー「アトム」と組み、大企業との覇権争いに乗り出すストーリーは、あらすじだけですでにおもしろさが伝わってくる期待値だ。

脇を固めるキャストの豪華さにも触れておきたい。那由他の過去を知る重要人物・菅生隼人（すごう・はやと）を松下洸平が、那由他とタッグを組むおもちゃメーカー「アトム」の後継者である富永海（とみなが・うみ）を岸井ゆきのが演じる。どちらも日本のエンタメ界になくてはならない存在だ。

日本のゲーム業界におけるものづくりの真髄は、任天堂をはじめとするいくつものゲームメーカーが象徴している。ドラマとして扱うには異例と思われるゲーム業界は、どのように描き出されるのだろうか。

★『アトムの童』期待ポイント
1. 「ものづくり」をテーマにした新感覚・覇権争いストーリー
2. 『時効警察はじめました』（2019年）以来、山崎賢人が民放ドラマに帰ってくる
3. 松下洸平、岸井ゆきのなど脇を固める豪華なキャスト

文／北村有