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Bリーグ川崎・篠山竜青「頭でっかちにならずに、もっともっと自分を出していかねば」

集英社オンライン / 2022年10月15日 18時1分

強豪・川崎ブレイブサンダースの司令塔であり、元日本代表キャプテンの篠山竜青が語る、プロバスケットボール選手のリアル。後編では自身が担う使命や今季の意気込みを聞いた。

もっとチームの価値を高めたい

――最近は選手としての活動に加え、代表戦のテレビ中継の解説などにもチャレンジされていますし、バスケ情報番組では熱血教師に扮し、MCの澤部佑さん(ハライチ)顔負けのエンターテイナーぶりを発揮されました。篠山選手のサービス精神は一体どこから来るものなんですか?

こういった活動を通して、自分やバスケへの価値を世間に伝えていくことも、プロアスリートとしての仕事の一つだと思っているからです。

――川崎はかつて東芝ブレイブサンダースという実業団チームで、篠山選手も大学卒業後5年、実業団選手としてプレーされていました。当時はあまり対外的なことは意識されていなかったのではないですか?



そうですね。子供の頃から運動会や文化祭で目立ちたいみたいな気質はあったんですけど、進路については「実業団チームに入って、成績を残して、引退後も誰もが知っている大企業で働かせてもらう」っていうのが最大の成功だと思っていました。
当時はプロアマ混合リーグのNBLとプロバスケリーグのbjリーグが混在していた時代でしたが、そのころのプロチームはまだどこも不安定で、僕個人としてはそこに夢を見出せなかったんです。

ただ、いざチームに入ってみると、プロチームのリンク栃木宇都宮ブレックス(現・宇都宮ブレックス)のホームゲームは満員なのに、東芝はガラガラ…みたいなギャップはすごく感じましたし、「もっとチームの価値を高めたい」「たくさんのお客さんの前で試合をしたい」っていう気持ちも出てきました。でも、従業員の方々たちの士気高揚を存在意義とする実業団チームでは、やりたいと思ってもできないことのほうが多かったんです。
例えば「試合を見に来てください」というチラシ配りは、駅とか街中じゃなくて東芝の敷地内でしかできなかったですし、ツイッターでチーム公式アカウントを作るのに一体何人のハンコが必要なんだ?みたいな感じでしたし。

そして、2016年にBリーグが開幕してチームもプロになって、本来の目立ちたがり屋スイッチが爆発した、みたいな感じです。配ったチラシが、お見送りでハイタッチしたときの言葉が、ツイッターの投稿が一席一席のチケット代に変わっている手応えみたいなものを感じられるようになったこともあって、PR活動にすごく積極的になりました。

――エンタメという観点で、バスケ界を飛び越えた影響力を及ぼせるような選手は、それほど多くないように感じます。篠山選手から若い選手へアドバイスはありますか?

僕だって最初からやれたわけじゃないです。まずはやろうとすることが大事だし、そう思える人がプロなんだと思っています。要はうまくやろうとするのでなく、自分らしさを伝えるのが大事っていうのかな。僕みたいによくしゃべるやつがいていいし、比江島慎(宇都宮)みたいにシャイで口下手なのを逆に売りにする人がいてもいいんじゃないかと。

もっと自分を出すべきだったという心残りがあります

――昨季の川崎は、天皇杯優勝、Bリーグチャンピオンシップ(CS)セミファイナル敗退という結果でした。昨季はどのようなシーズンでしたか?

クラブ史上初の天皇杯連覇。これはすごく大きかったですね。そして、東地区2位という成績でCSのホーム開催を勝ち取って、一体感を持って試合ができたという点で、クラブ全体の成長をしっかり示すことができたシーズンではあったと思います。
ただ、セミファイナルで宇都宮に2年連続で負けて、Bリーグ制覇にはやっぱり届かず、悔しさもたくさん残りました。
今年は選手全員が「どうしたらファイナルに進めるのか」と自問自答し、答えを追い求めるシーズンになると思います。

――篠山選手の中では、答えは出てますか?

まだはっきりしたものはわからないです。原因は1つじゃないと思いますし、整理は正直全然できてません。

――「整理しない」ではなく、「できない」ですか。

はい。頭で考えてもあまり意味がないというか。結局試合は生き物だし、60試合を戦うレギュラーシーズンはマラソンみたいなもので、途中で何があるかわからないし、試合をしながら探していくしかないかなって思ってます。
もともと頭でっかちになりがちな性格なので、変に答えを出そうとせず、チームスローガンどおり『フルスロットル』でやりたいです。

――篠山選手個人としてはどんなシーズンでしたか。

プレータイムが少しずつ減って、試合に出る局面もだいぶ変わってきて…っていう中で、シーズン当初に賢次さん(佐藤賢次ヘッドコーチ)から「まわりの選手を輝かせるような時間を作ってほしい」というリクエストを受けていました。自分でガンガン攻める藤井祐眞とギャップができて、いろいろなバスケができるという点でよかったのかなと思うんですけど、もっと自分を出すべきだったという心残りがあります。

――確かに昨季の篠山選手は、それまでのシーズンで見せていた存在感があまり感じられませんでした。

ですね。自分はいないことにしてましたから。

――昨年の開幕前に実施したインタビューで、篠山選手は「もっと自分の存在感を発揮したい」とお話されていました。佐藤HCから「まわりを活かしてほしい」って言われた時は、戸惑いはありませんでしたか?

ありましたけど、「まあ、そう言われるよな」という思いが少なからずあったし、そっちのほうが楽だと思ってしまったところもあるので、だんだん当初の決意より賢次さんの言葉のほうに、悪い意味で流れていった感じです。

そもそも、賢次さんも「攻めるな」と言ったわけでは絶対ないと思うんです。なのに、「シュートを打たないほうがいいのかな」とか「若い子たちに打たせたほうがいいでしょ」とか、自分で勝手に受け取り方を間違えてしまった。そこは昨季の反省点です。

――メディア対応などを見ていても、篠山選手は周りから求められたことを忠実にこなそうという意思が強い印象があります。

そうなんですよ。言われたことをやり抜く「徹底力」は、僕の数少ない武器なんですけど、それが悪いほうに出ちゃった時に、ちょっとよろしくないというか。
北さん(北卓也=現・ゼネラルマネージャー、前・ヘッドコーチ)にも「お前は『これをやれ』と言ったら本当にそれしかやらないな」ってよく怒られてましたね。「だってやれって言ったじゃないスか!」って心の中で訴えてましたけど(笑)。
そこ、今年は頑張って打開しなきゃなって思います。

――いいですね。34歳、まだまだ変わっていく。

はい。髪もチャラチャラさせて、新しい気持ちでやりたいと思います。

――それでは最後に、今季の抱負をお聞かせください。

チームの目標は「Bリーグ優勝」です。ここ数年は、地区優勝、天皇杯優勝、リーグ優勝の「三冠」という言葉を掲げてきましたけど、今年はそれを狙いつつ、CSのファイナルに立って勝つというところを最大の目標にしないといけないと思います。
具体的に言えば、これまでの「地区優勝の可能性があるなら無理してでもそれを狙いに行く」という姿勢を変えて、地区優勝よりもCSにいい状態で行くことを優先することになるかもしれません。

僕個人としては、リングにアタックする回数を増やしたいし、3ポイントシュートをより高い精度で決めきりたい。
何より自分を出したプレーをしていきたいです。

取材・文/青木美帆 編集/星山江里可 撮影/コザイリサ ヘアメイク/山口裕子

篠山竜青

プロバスケットボール選手 川崎ブレイブサンダース所属

1988年7月20日、神奈川県横浜市生まれ。
3兄弟の末っ子。兄姉の影響でバスケットボールを始める。北陸高と日本大で日本一を達成し、2011年に東芝(現・川崎ブレイブサンダース)に入社。13年よりチームのキャプテンを7季連続でつとめる。17年からに初の日本代表(A代表)入りを果たし、19年には主将として男子日本を21年ぶりの自力ワールドカップ出場に導いた。抜群のリーダーシップと的確なゲームコントロールでチームを引っ張るクラブのシンボル。代表戦のテレビ解説を請け負うなどメディア露出にも積極的。178センチ、75キロ。ポジションはポイントガード。2児の父。

青木美帆

1984年生まれ。早稲田大在学中にバスケットボールの取材を開始し、卒業後は中高生向けバスケットボール専門誌の編集者として活動。2014年に独立し、以後は国内バスケットボールを軸とする取材活動を行っている。著者として『青春サプリ。』シリーズ(ポプラ社)、構成担当者として『異なれ』(鳥海連志著、ワニブックス)を上梓。

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