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長谷部誠は森保ジャパンをどう見たのか…未来の“長谷部ジャパン”を期待させた3日間

集英社オンライン / 2022年10月14日 17時1分

カタールW杯に向けたドイツ遠征中の日本代表にちょっとしたサプライズが起きた。前日本代表主将・長谷部誠がチームに3日間帯同したのだ。経験、実績、人間性、知性、語学力、コミュニケーション能力を兼ね備えた日本の至宝は現在の日本代表をどう見たのか?

長谷部から見た森保ジャパンの強みは!?

「少し前からお誘いをいただいていたんですけど、チームの予定もあったので、直前に決まりました。どんな形であれ、こうしてまた日本代表に来れて、みんなが気持ちよく受け入れてくれたので、非常にありがたいです。自分自身にとっても、多くのことを学んだ3日間でした。すごく自分のためになりました。そっちの方が強いくらいです」

デュッセルドルフで張られていた日本代表の合宿に長谷部誠が参加したことは、9月23日のアメリカ戦の前日練習で報道陣に周知された。2-0の勝利を収めた試合の翌日の練習で長谷部はメディアに対応し、冒頭のように切り出した。



昨シーズンにアイントラハト・フランクフルトでヨーロッパリーグを制した現在38歳の前日本代表主将は、日本人の現役選手でもっとも豊富な経験を備えているひとりだ。キャンプ中には、「ミーティングではないですけど、何か話して欲しいと言われて、どういうことを話そうかと考えた」と言う。

「聞きたいことがある選手は質問してくれました。僕自身、何かができると思って(ここに)来ているわけではないので。でも、こうして久しぶりに日本代表の中に入って、見られるものはありました。やはり(チームの)中で見られるものは違いました。W杯本番に向けて、すごく期待の持てるチームだと、中から見て思いました」

その理由のひとつを、長谷部はこう挙げている。

「選手も監督もスタッフも、誰もが勝ちたいという気持ちを強く持っていて、どうしたらチームがうまくいくかをよくディスカッションしている」

そして、「多くの選手が欧州でプレーするようになって、彼らが普段からやっていることのレベルの高さも感じました。それは間違いなく、日本代表にとってプラスになっていると思う」と続けた。

「僕のなかで一番会いたかったひと」

穏やかな表情で丁寧に受け答えするのはいつも通りながら、やはり自身が12年以上にわたって過ごした代表キャンプに戻ってきたことで(日本代表での出場試合数は歴代7位の114試合)、何か感じるところはあったのだろう。長谷部は日本でもドイツでも、クラブレベルで数々のトロフィーを手にしてきたが、それらと比べても代表は特別だという。

「僕自身は4年前に日本代表を離れています。(昨シーズンの)ヨーロッパリーグで優勝し、今はチャンピオンズリーグでプレーしていますけど、それとは違うものをあらためてここで感じています。これはみんなにも話したことです。今の代表選手たちには、そんな場でプレーできることを(特別だと)強く感じて欲しい」

そういったことを話すということは過去の日本代表の面々と比べて、今の選手たちからは、熱意が見えにくいということなのだろうか。

「3日間しかいないのでわかりませんが、みんなW杯で勝ちたいと思っているのは間違いない。でも、どちらかというと内に秘める選手が多いのかなと。ひと昔前の日本代表の方が言動で表に出す人が多かったですよね。だからといって、今の選手たちが情熱を持っていないわけではなくて。僕もこうして中に入ってみて、こんなに考えてやっているんだなと初めて感じました。

今の選手たちは年齢に関係なく、監督に対してもどんどん要求する。監督もそれをウェルカムという感じで、どちらかというとそれを待っているくらい。ヨーロッパでやっている選手が多いので、より深く、いろんな考え方が出てきます。パッションについてはそれぞれかもしれないですけど、W杯が近づいてくるともっと出てくるはずです」

そんな現在の代表の中で、ひときわ熱を感じさせるのが長友佑都だ。

前主将と3学年違いの36歳のSBは「僕のなかで一番会いたかったひと」と長谷部との邂逅を喜び、「あった瞬間にすごくテンションが上がっちゃって、抱きつきました(笑)。(ロシア)W杯以来だったので、会うのは本当に久しぶりでした」と続けた。

長谷部と長友が食事のテーブルでした会話

長谷部が代表を訪れた効果については、「全体の空気がピリッとするし、心身ともに整う。サウナに入ったみたいに、整ったなあって感じで(笑)」と楽しげに説明する。

「いや、ほんとにすごいパーソナリティですよ。精神安定剤ですね、長谷部誠は。僕はずっとくっついていましたから、めちゃうざがっていたはずですけど(笑)、幸せな時間でした」

そう話す長友と一緒にいることが多かったという相馬勇紀は、彼らベテランたちのやりとりを次のように明かす。

「(長谷部が)食事の時にテーブルに回ってきてくれるんですけど、(長友)佑都さんが『レベルの高い話をしよう』とか言って、二人で熱い話をしていることが多いんです。訊いていて楽しいし、普段聞かないような話もあって、いろんな発見があります。僕はすごく個人的なプライベートの話なんかもしました」

現役の元代表選手の長谷部が現代表選手たちに好影響を与える一方で、冒頭の言葉どおり、彼自身も多くのものを得たと言う。それを具体的に訊くと、長谷部はこう答えた。

「やはりチーム作りですね。それぞれのチームにいろんなアプローチがあるんですけど、日本代表のやり方も見せてもらいました。監督やコーチングスタッフの方ともコミュニケーションを取らせていただいて、『ああ、こういう作り方をしているんだな』と意図が見えました。選手ともたくさん話をして、『こんな関係性でやっているんだな』と学べたところもあります。もちろん選手として学んだものもありますが、指導者目線というか、より広い視野でまたサッカーを見られたと思います」

「長谷部ジャパン」という明るい未来

長谷部は現在、UEFAの指導者ライセンスを取得するために講習を受けている。「指導者の道に進むかどうかは、まだはっきりと決めていない」と明かしながらも、彼ほどの経験と実績、人間性、知性、語学力、コミュニケーション能力を持つフットボーラーなら、指導者としての未来も実に楽しみだ。

日本の指導者ライセンスは欧州で通用しないが、その逆は有効。だからもし、長谷部が見事な選手キャリアを終えた後、指導者を志してライセンスを取得したなら、欧州のクラブで指揮を執った後、日本代表を率いる姿も想像できる。

いつの日か“長谷部ジャパン”は実現するか──。それは多くのファンが願っていることでもあるはずだ。

取材・文/井川洋一

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