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「1年以上セックスをしていない」男性41.1%…なぜしたくてもできないのか?

集英社オンライン / 2022年10月16日 15時1分

近年、セックスレスの悩みが増えている。20~60代男性の約8割が「セックスをしたい」と思うにもかかわらず、多くの人ができないのはなぜか? そこにはセックスに対する男女の価値観の大きな違いがあった。『射精道』(光文社)から一部抜粋・再構成してお届けする。

セックスに対する男女の価値観の違い

最近は、「草食男子」という言葉が生まれるほど、男性が性的な活動に消極的になっている傾向があるといいますが、僕は性的欲求の低下というよりは、自分が傷つくことを過度に恐れているために行動に移すことができないのではないかと感じています。

同時に、セックスに至るための恋愛過程を省いてしまいがちな男性が多いこともまた、性愛の成就に至らない原因になっているとも考えています。それがどういうことか、よく分かる調査をご紹介しましょう。



一般社団法人日本家族計画協会が2020年に行った、日本人のセックスの実態を調べたアンケート調査「ジャパン・セックスサーベイ2020」によると、20~60代男性の約8割が「セックスをしたい」と回答しています。

出典:一般社団法人日本家族計画協会「ジャパン・セックスサーベイ2020」

ところが、同調査では「1年以上セックスをしていない」男性は全体の41.1%にも上りました。つまり、「したいけどできない」男性が、全体の半数以上存在しているのです。年代が上がるほどこの傾向は高くなり、年数回程度と答えた人を合わせると、30代は51.0%と約半数、40代になると57.8%、50代で69.3%と、それぞれ6割、7割を占めています。

出典:一般社団法人日本家族計画協会「ジャパン・セックスサーベイ2020」

次に、「1年以上セックスをしていない」と答えた男性に、性交渉のない期間を尋ねたところ「平均8.7年」という回答でした。男盛りの時期にじつに約9年間も「したいのにできない」時期を過ごしているのです。

さらに「あなたがセックスをする目的は何ですか」という質問に対して、約7割の男性が「性的な快楽のため」と答えたのに対し、女性の約6割は「愛情を表現するため」と答えました。

出典:一般社団法人日本家族計画協会「ジャパン・セックスサーベイ2020」

この回答からは、セックスに対する男女の価値観の違いが明らかです。これではなかなかセックスに至らない現状も無理はありません。

女性のセックスのモチベーションは…

セックスに対して快楽を求めるのは決して悪いことではありません。最高に気持ちのよいセックスを体験することは、人生を非常に豊かにしてくれます。ただし、その喜びは、性のパートナーと共有できることが理想です。

武士道で尊ぶべき価値観に「仁」があります。仁とは、他者の価値観を尊重し、相手を思いやる心のことです。その心が自らの言動を謙虚にして「礼」を生みます。礼は、社会のなかで表現する「礼儀」として、さまざまな所作の型を生みました。

つまり、「愛情表現としての性交渉をしたい」という女性の心に「仁」と「礼」をもって答えることが、射精道の基本理念であり、同時にセックスレス解消の糸口になるはずです。愛情を示す礼儀とは、それを示す言葉と所作です。愛情は自分の中に秘めていても相手に伝わることはありません。言葉と行動で示すことが、セックスの相手に対する仁、礼を示すことにつながります。

僕がこれまでのカウンセリングのなかで、夫を拒否する女性たちからよく聞いたのは、「昼間はむっつり黙って話もしないのに、夜になるとゴソゴソとベッドに入ってくる」というような話です。女性にとっては、日常生活のなかの言動も、セックスに至る愛撫の一つであることが分かります。

日常の中で心が通う会話もなく、キスもせず、手も握らないのに、セックスだけはしようというのは、「仁」や「礼」に欠けた行為であると考えるべきでしょう。女性にしてみれば、自分に対してそんな扱いをする相手に「愛情を表現するためのセックス」をする気になれないのは、無理もありません。

また、セックスの後に何の余韻もなく背中を向けて寝てしまう、相手が満足していないのに自分だけ射精して終わり、というのも、「仁」や「礼」に欠けた行為と言えます。射精道の精神を養い、セックスの後の腕枕がさりげなくできる、状況に応じた素敵なピロートークができる、アフターセックスを大事にできる男性になりましょう。

これは、男性に限らず、当然ながら女性にも当てはまる話です。

「恋愛や結婚はコスパが悪い」

また、昨今気になっているのは「恋愛や結婚はコスパが悪い」という若年層からの言葉です。セックスはしたいけれど、それまでに連絡先を聞いて、デートをして、時間をかけて口説いて……というのが面倒くさいしお金と時間の浪費、という考え方です。

これは、性愛に対して損得や打算の価値観を持ち込むことからきているように感じてなりません。つまり射精道における「義・勇・仁・礼」が存在していない証左であると感じています。

恋愛やセックスは、いわば究極の対人関係・コミュニケーションです。相手を選べばインスタントに済ますことは可能かもしれませんが、それは恋愛の本質とは遠いものです。本来の性愛は、それこそ時間をかけ、心を砕いて、セックスに至るための準備をしようとする気持ちがあってこそ豊かな営みになりうると思うのです。

一方、逆に気を使いすぎ、相手に対する礼儀が形式的なものになってしまうことがあります。あまり気分がのっていないのに相手が望んでいるからと、儀礼的な愛撫をしたり、あまり気持ちがいいと思っていないのに感じているふりをしてしまったり……といったことがそれにあたります。

そうした演技をしても、心が入っていなければ、かえって失礼にあたります。「礼」を裏付け、その中身を充実させるのは「誠」であると、新渡戸稲造は言いました。つまり、いくら相手を思いやるものであっても、嘘はつかないことが大切である、ということです。

相手に対してだけでなく、「義・勇・仁・礼」をもって自分自身の性欲に正直になるということも、同じくらい大切なことなのです。そしてそのバランス感覚、塩梅が大事なのです。

『射精道』(光文社)

今井伸

2022年9月14日

968円(税込)

新書 288ページ

ISBN:

978-4-334-04626-2

射精は
一日にしてならず

その正しい扱い方、練習の方法と重要性……
思春期から中高年期まで知っておくべき知識と心構え

【画像あり】大人も意外と間違ってる。学校では教えてくれないコンドームの正しい付け方 (10月17日15時公開予定)

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