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全曲取扱注意! コンプラ疲れのあなたに贈る、NG当確「顰蹙ソング」ベスト20

集英社オンライン / 2022年10月12日 16時1分

差別撤廃、男女平等、倫理、道徳……どれも健全な社会のためには不可欠なものだし、コンプライアンス&ポリティカルコレクトネスは大切だ。けれど過去を遡れば、そんなものは「クソくらえ」といったナンバーを世に送り出していた猛者たちがいる。そんな「顰蹙(ひんしゅく)ソング」珠玉の20選を解説とともにお届けする。

コンプラ的には完全にアウトな曲で、日頃の鬱憤晴らしを

コンプライアンス&ポリティカルコレクトネスがやたらと重視され、何かにつけて「不謹慎だ。常識がないぞ。道徳を知れ。マナーを守れ。迷惑かけるな」の大合唱となりがちな昨今。
かつて、「リンリリンリと鈴虫のように言うなよ」と放言して世間の不興を買った大物政治家がいたが、今やあたり一面鈴虫だらけの世の中になってしまったような気もする。



最近もジブリ映画『耳をすませば』がテレビで放送されると、自転車に二人乗りをしているシーンが“コンプラ的にアウト!”“道交法違反では”などと、SNSで突っ込み多数だったとか。
生きづらいってほどでもないけど、息苦しさを感じることは確かで、人間って本来もっと自由なんじゃないの?と首を傾げたくなる僕のような人間も、意外と多く存在するのではないだろうか。

野暮天ばかりのこのご時世、せめて一人で車に乗っているときやヘッドフォンで音楽を聴いているとき、あるいは気の置けない仲間とのカラオケなんかでは、コンプラ的には完全アウトな、とんでもない歌で鬱憤晴らししてみてはどうだろう。

私・佐藤が独断と偏見で選んだ、全20曲の「顰蹙ソング」プレイリストをご紹介する。
本来であれば全曲について細かく解説したいところだが、歌の核心に触れすぎると、それだけでこの記事自体がアウトになる可能性もあるので、ほどほどにさせていただきます。
あやふやな紹介でヤキモキさせてしまうかもしれないが、気になる方はネット検索すれば歌詞や動画が転がっているので、自己責任でお確かめを。

では、いってみよう!

まりちゃんズから沢田研二、初期のRCサクセションまで。
なんでもアリだった1970年代

ブスにもブスの生き方がある まりちゃんズ 1974年
作詞:まりちゃんズ
作曲:尾崎純也

1970年代に活動した3人組バンド、まりちゃんズの代表曲。彼らの楽曲は、その多くが放送禁止なのだが、この曲は特にヤバい。タイトルを見るだけで、これ以上説明してはいけない内容であることがわかるだろう。ルッキズムも甚だしい歌詞だが、恐ろしいことにこの曲、カラオケに入っていることもある。女性がいる場では、間違いなく空気を凍りつかせてしまうので絶対に歌ってはいけない。

ふざけるんじゃねえよ 頭脳警察 1972年
作詞:PANTAX'S WORLD
作曲:PANTAX'S WORLD

日本のパンクのゴッドファーザーとも称される、PANTA率いる頭脳警察。サードアルバムに収録されているこの曲は、偽善的な社会に対する憤りがストレートに表現されていて、「勝手きままにグラスでも決めてる方がいいのさ」「ふざけるんじゃねえよ てめえの善人面を」「いつかぶっとばしてやらあ」などと違法薬物や暴力的表現が並ぶ歌詞は、現代なら間違いなくコンプラNG。50年後の「うっせぇわ」に通じるものがあるが、おじいちゃん世代の方が100倍も過激なのだ。

スモーキンブギ ダウン・タウン・ブギウギ・バンド 1974年
作詞:新井武士
作曲:宇崎竜童

宇崎竜童率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドのサードシングルで、70万枚の大ヒットとなった曲。曲が先に作られたため、語呂合わせをするように付けられたという歌詞で、「目覚めの一プク食後の一プク授業をサボって喫茶店で一プク」などとお気楽な内容なのだが、喫煙者がどんどん片隅に追いやられていく状況の現代では、こんな曲も顰蹙ソングのひとつといえるのかもしれない。

おー脳!! 泉谷しげる 1973年
作詞:松山猛・泉谷しげる
作曲:泉谷しげる

ある病気のことを扱った曲だが、泉谷しげるは悲壮感なく元気に歌いあげる。今の世にリリースしたら「病気で苦しんでいる人を馬鹿にするのか」と大炎上するだろう。歌詞はプロ作詞家の松山猛との合作。泉谷の曲では警察官を揶揄した「黒いカバン」も顰蹙ソングとして有名だが、こちらの歌詞は、プロ作詞家・岡本おさみによるものだ。

カサブランカ・ダンディ 沢田研二 1979年
作詞:阿久悠
作曲:大野克夫

口に含んだウィスキーを霧のように噴き出すパフォーマンスが話題になった、沢田26thシングル。小学生だった僕は、よく水道の水で真似をしながら歌ったものだが、今思うに、小学生にはとても聴かせられないようなDV男の独白だ。なにしろ初っ端から「ききわけのない女の頬をひとつふたつはりたおして」だからな〜。1942年公開のアメリカ映画『カサブランカ』を題材にとった曲で、“ボギー”は主演したハンフリー・ボガートの愛称。

女呼んでブギ サザンオールスターズ 1978年
作詞:桑田佳祐
作曲:桑田佳祐

数多の国民的ヒットを飛ばしてきたサザンオールスターズだが、下ネタ満載のエロ曲が多いことでも知られる。ただエロいだけならまだいいが、この曲に至っては現代のジェンダー基準に当てはめれば間違いなくアウトな歌詞。一定の年齢以上の人だけのカラオケ会だったら、「女呼んでもんで抱いていい気持ち〜」と歌っても、「ああ、サザンだからしょうがない」と許されるかもしれないが、若い人にはショックが大きいのでは。

おそうじオバチャン 憂歌団 1975年
作詞:木村秀勝
作曲:憂歌団

日本を代表するブルースバンド、憂歌団のデビューシングル。特定の職業に対して差別的な内容であるため、発売早々に放送禁止処分となっている。聴き方によっては胸糞悪いただの差別ソングとしてしかとらえられないかもしれないが、在日コリアンで自身も差別を受けながら育った木村が歌う哀歌だと考えると、そう単純なものではないことがわかる。

ヴァージン・ブルース 野坂昭如 1972年
作詞:能吉利人
作曲:櫻井順

もともと作家より歌手になりたかった野坂が、作家として売れっ子になった後に自主制作盤として発表したアルバムの中の収録曲。当時、大学の学園祭の人気ゲストだった野坂は、女子大で「おま○こ」を連発するような過激トークを繰り広げた挙句、この歌を歌ったりして会場を沸かせた。こうした破天荒キャラが、熱く支持された時代もあったのだ。

国王ワノン一世の歌 RCサクセション 1972年
作詞:忌野清志郎
作曲:肝沢幅一(忌野清志郎の変名)

フォーク編成でクセの強い楽曲の数々を世に送り出していた初期RCサクセション。当時から女性ファンも多かったはずだが、「女なんてどうせどれでも同じさ 女なんてどうせくだらない奴等さ」って、こんな歌をよく歌ったものだ。初期のRCには純粋なラブソングと並び、「キミかわいいね」や「三番目に大事なもの」「大きな春子ちゃん」など女性を小馬鹿にしたような曲も多い。清志郎流の照れ隠しとジョークだったのだろう。

ジャックスからザ・ルースターズ、銀杏BOYZまで。
自由な表現をしてきたロックバンド

からっぽの世界 ジャックス 1968年
作詞:早川義夫
作曲:早川義夫

のちの日本のロックシーンに多大な影響を与えたジャックスのファーストシングル。差別表現が出てくるため放送禁止になったが、独特の心象風景を表現するにはその言葉しかなかったのだろう。ドアーズやヴェルヴェット・アンダーグラウンドに通じる楽曲を奏でる稀有なバンドだったが、当時の日本人には先進的すぎてまったく理解されなかったという。

タイマーズのテーマ~Theme from THE TIMERS~ ザ・タイマーズ 1989年
作詞:TOMMY BOYCE/BOBBY HART/ZERRY/TOPPI
作曲:TOMMY BOYCE/BOBBY HART

ザ・モンキーズ「モンキーズのテーマ」の替え歌。“忌野清志郎によく似た”人物、ZERRYが率いる覆面バンドのザ・タイマーズは、やはりモンキーズのカバー曲である「デイ・ドリーム・ビリーバー」が今でもCMで使われるほど有名だが、この「タイマーズのテーマ」がヤバさではピカイチ。大好きでいつも持っているのは、あくまでも“Timer”なのだが。

恋をしようよ ザ・ルースターズ 1980年
作詞:大江慎也
作曲:大江慎也

ファーストシングルである「ロージー」のB面曲。エッジの効いた強烈なギターリフに乗せ、ただ“やりたいだけ”な男の心情を叫び散らす楽曲。カラオケにも入っているルースターズの曲ではほかに「C.M.C」がおすすめ。こちらは、平和なビーチに突然400機の爆撃機が襲来し、爆弾が落とされ、阿鼻叫喚の地獄と化す悲劇的な情景を能天気に歌った曲。

Go Goスターリン ザ・スターリン 1983年
作詞:遠藤みちろう
作曲:晋太郎

ザ・スターリンのサードシングル。中期スターリンの曲は短いフレーズを叩きつけるように繰り返し、“あとは自分で考えてくれ”と突き放すような歌詞が多いが、この曲はその典型で「誰だ ママ パパ 共産党 お父さん 嘘つき みんな 貧乏 被告 裏切り者」という10語のみで構成されている。カラオケで歌うとその場の全員を間違いなくギョッとさせられる。

CRASH THE POSE GAUZE 1986年
作詞:GAUZE
作曲:GAUZE

セカンドアルバムに収録。ハードコアパンクバンドの曲は、世間一般では非常識と思われるような歌詞ばかりなので、挙げていたらキリがない。そこでシーンの先頭を走り続けるガーゼのこの曲を代表としてご紹介したい。ハードコアを聴き慣れた人でなければ、歌詞はまず聞き取れないと思うが、過激な言葉でポーズだけのベジタリアンを攻撃する内容。

オールナイトロング 人生 1986年
作詞:石野卓球
作曲:石野卓球

現・電気グルーヴの石野卓球が高校生の時に宅録したファーストソノシートの一曲。ただただ、「金玉が右に寄っちゃった」と繰り返すあまりにお馬鹿な内容で、それほど顰蹙な内容でもないが、タイミングによってはムードをぶち壊しにする破壊力を持つ。いくら懐かしいからといって、僕のようないい歳をしたオヤジが聴いたり口ずさんだりするのも痛い。

おしり ローザ・ルクセンブルグ 1985年
作詞:久富隆司
作曲:玉城宏志/永井利充/三原重夫

のちにボ・ガンボスで活動するどんと(久富隆司)が80年代中頃に組んでいたバンド、ローザ・ルクセンブルグ。ヒカシューの巻上公一プロデュースによるオムニバスアルバム『都に雨の降るごとく』で、1985年に発表した最初期の曲だ。同性愛少年の恋模様を歌った内容だが、「あとでヒリヒリ味噌がベチョベチョ」などと表現がエグいほど生々しく、一定の覚悟がなければ、聴くのも歌うのも注意が必要。


夕方のピアノ 神聖かまってちゃん 2010年
作詞:の子
作曲:の子

美しいピアノの旋律に乗せ「死ねよ 佐藤」の絶叫が繰り返される、トラウマ必至のファーストシングル曲。佐藤というのはボーカル・の子のクラスメイトらしい。ジャケ写は無数の切り傷があるの子の右手。佐藤さんがいるカラオケ会でぜひ歌ってほしい一曲。僕も佐藤だが、人に歌われると辛くなるので、先手を打ってみずから歌うことにしている。

SKOOL KILL 銀杏BOYZ 2005年
作詞:峯田和伸
作曲:峯田和伸

銀杏BOYZの代表曲のひとつ。同バンドのギター&ボーカルである峯田はライブで演奏する前、「会場に来ているかもしれない酒鬼薔薇くんに捧げます」と発言したことがある。思春期のもてない男子のモヤモヤを歌っているのだが、「これ、俺のことを歌っている」と思う人もいるかも。「学校で君のジャージが盗まれた事件があったろ 誰にも言えないけど本当は犯人は僕さ」……ギク!(筆者はやっておりません)

新旧女性シンガーによる、聴く者の気持ちをざわつかせる曲たち

玉姫様 戸川純 1984年
作詞:戸川純
作曲:細野晴臣

歌詞は婉曲表現ながら、女性の生理を題材にしていて、男性が歌っても女性が歌っても、間違いなく周囲をザワザワさせるような内容。¥ENレーベルより発売された戸川のファーストソロアルバムに収録されている。細野晴臣の作曲だけに、完成度が高い名曲である。YouTubeで検索すると、夜のヒットスタジオで歌っている動画が出てくるので必見。


三番目の女 工藤ちゃん 2018年
作詞:工藤ちゃん
作曲:工藤ちゃん

インディーズシーンで旺盛な活動をおこなうシンガーソングライター・工藤ちゃんが、ギターをかきむしるように奏でながら“三番目の、入れるだけの女でいい”と絶叫する曲。お父さん目線で見ている僕からすると「ダメダメそんなの!」と言いたくなるが、彼女は最近、結婚を発表した。「よかったよかった」と胸をなで下ろした、隠れファンです。


一気にご紹介してきた全20曲、いかがだっただろうか?

どれも僕の大好きな曲なのだが、どうか人格を疑わないでもらいたい。
かつて“不倫は文化だ”と言い放ったおじさんもいたが、それはそれで正しいし、不謹慎も非道徳もある意味、立派な文化だと思っている。
僕の場合は、実生活でそれを実行するほどタフな神経は持ち合わせていない小物なので、こうして人の作った曲を聴き、思考実験をして楽しんでいるにすぎないのだが。


文/佐藤誠二朗

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