「購入する側からすれば、100万円以上の等身大フィギュアは高いと思うかもしれませんが、制作工程や手間を考えると、正直かなりお買い得だと思います。私たちが等身大フィギュアを制作するのは、お金儲けよりも自分たちの技術をPRするという意義のほうが大きかったりします。他社のことはわかりませんが、我々は価格が150万以下の等身大フィギュアを作るのは難しいと思っています」
こう語るのは、宮城県仙台市に本拠を置く「デザインココ」の大場春香さんだ。
同社はフィギュア制作において日本を代表するメーカーのひとつで、さまざまなアニメの人気キャラクターのフィギュアを数多く手がけている。
同社の主力商品は7分の1サイズのフィギュアだが、等身大フィギュアも15年ほど前から作り始めた。イベントや展示用のワンオフを含めると100種類以上を作っているという。
最近手がけた市販の等身大フィギュアは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の綾波レイで、価格はなんと181万5000円。全長2メートルを超えるエヴァンゲリオン初号機(ヒューマンスケールフィギュア)は300万3000円だ。乗用車を購入できる価格だが、それほど等身大フィギュアの制作には膨大な時間がかかっているのだ。
「例えば、ある会社からアニメのキャラクターの等身大フィギュアを作りたいというお話をいただいたとします。私どもはクライアントからいただいた一枚のイラストをもとにゼロからキャラクターの立体造形を作っていくことになります」