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SNSをやめた杉咲花「私のあふれる思いはお芝居で昇華するしかない」

集英社オンライン / 2022年10月19日 16時1分

SFジュブナイル漫画を劇場アニメ化した映画『ぼくらのよあけ』(10月21日公開)で、未知の存在から依頼されたミッションを遂行する、小学校4年生の沢渡悠真の声を演じた杉咲花。熱すぎる芝居への愛に迫った。

ファンタジーの中にもリアリティがある

『ぼくらのよあけ』杉咲さんが演じた悠真(右)と、悠木碧さんが演じた家庭用ロボット・オートボットのナナコ
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会

──『ぼくらのよあけ』の台本を初めて読まれた時の感想を教えてください。

宇宙との繋がりを感じられる夢のある物語であると同時に、大切なものをピュアに信じ続ける主人公の姿はどこか現実的でもあって。ファンタジーの中にリアルが存在している、その不思議なバランスが魅力的な物語だと感じました。



──杉咲さんが声の担当をする悠真の印象は?

何が起こるか分からなくても、行動を起こしてみようとする姿勢が素敵だなと感じました。事前にいただいていた悠真のイメージ画を拝見しながら、人物像について想像を巡らせる時間はワクワクしましたが、生命力溢れる勇敢な悠真を演じることへの緊張感もありました。

──声優の難しさや、おもしろさは?

監督から「少し声のトーンを落としてください」という演出をいただいたのですが、悠真としての実感を手放さないように、そしてトーンも意識する、という両立に苦戦した場面がありました。

極めて静かな空間で、そのキャラクターの動きや心情を息使いや声のみで表現するという難しさを改めて感じました。同時に、そういったディテールの積み重ねによって、物語に奥行きが生まれることに魅力を感じたり。普段あまり触れられることのない想像の世界の領域にお邪魔させていただけたことは、特別にワクワクする時間でもありました。

そして、特に同じシーンが多かった(オートボットのナナコ役を演じた)悠木(碧)さんとご一緒させていただけたことで、ナナコとの時間をひとつひとつ噛み締めながら思いを膨らませていくことができました。台本を読んでいたとき以上に、豊かなところへ連れて行っていただけた感覚があります。

好きなものには貪欲でいたい

──悠真の家には、何かと世話を焼いてくれるオートボットのナナコがいます。もしもナナコのようなオートボットがいたら、どのようなお願いごとをしますか?

「洗濯物をたたんでください」とお願いしたいです。たたむのがすごく苦手で、一番おっくうになってしまう時間なんです(笑)。あとは、自分の気持ちをうまく言葉に表せないときに、的確な言葉を「これじゃない?」みたいに教えてくれる、心の辞書みたいな存在があったらうれしいです。

──悠真たちは作品の中で大冒険をするわけですが、杉咲さん自身が子供の頃に冒険した思い出って?

子供たちだけで普段できないような体験をできるように、サポートをしてくれる団体があったのですが、小学生の頃は年に1、2回程参加していて。(静岡県の)御殿場のほうまで乗馬体験をさせてもらいに行った思い出があります。

1日中馬と触れ合って、馬に乗って森をお散歩までできてしまうという、なんだか現実離れした夢のような時間を過ごせました。家族から離れて、初めましての人たちと数日間生活を共にするって、なかなかできない経験だなと思うんです。小学生の自分にとって大きな冒険でした。

──悠真にとっての宇宙のように、杉咲さんにも“これなら誰にも負けない愛がある”と言えるものってありますか?

食には特別な愛情があります(笑)。自分で作ることもお店に食べに行くことも好きですし、料理本を読んだり器を探したり、食に関することがとにかく好きです。

音楽も好きで、オルタナティブロックやヒップホップ、インストでピアノの曲などもよく聞いています。

アーティストでいうと、andymoriやくるり、カネコアヤノさん、角銅真実さん。ヒップホップだとBIMさんやPUNPEEさん。ピアノはharuka nakamuraさんやチリー・ゴンザレスさんが好きです。

SNSで発信することをやめた理由

──ドラマや映画、声優など、幅広く活躍を続ける杉咲さんですが、NHK連続テレビ小説『おちょやん』終了後の昨年5月、Instagramを終了されました。その後、どんな変化がありましたか?

思いを発信する場が限られた分、より集中力が上がったような感覚があります。関わった作品に対して愛情がある分、どうしても「知ってほしい」「わかってほしい」という気持ちが溢れて、これまではなんというか、エネルギーを使い果たしてしまうような感覚があったんです。その環境から敢えて離れてみることで、費やす気持ちの深度みたいなものが深まったような気がして。自分にはこの環境が向いているのかなと思います。

──年齢や経験を重ねていくにあたって、自分に身につけたい武器ってありますか?

対話する力が欲しいです。どんな場面においても大切だと思うのですが、とくに人と向き合うとき、そして制作の場では相手の意見を聞いたり、自分の気持ちを丁寧に伝える時間がとても大事だと思います。

ですが私自身、シンプルに適切な言葉を見つける難しさや、正直な想いを伝えることの怖さ、逃げたさ、みんなの前で発言する勇気、そういうものを感じてしまう瞬間があったりして。そんな気持ちを少しずつ乗り越えていきたいです。

その先でしか味わえないような時間を、これからも噛み締めていくことができるように。



取材・文/宮平なつき 撮影/石田荘一 ヘアメイク/小澤麻衣(mod’s hair) スタイリスト/小嶋智子

『ぼくらのよあけ』(2022) 上映時間:2時間/日本


「月刊アフタヌーン」(講談社刊)にて連載され、日本で最も長い歴史を誇るSF賞である星雲賞候補にもなった傑作SFジュブナイル漫画の劇場アニメ化。物語の舞台は、人工知能が発達した近未来、西暦2049年夏の日本。宇宙とロボットが大好きな小学4年生の沢渡悠真は、まもなく地球に大接近するという彗星に夢中になっていた。そんな時、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが未知の存在にハッキングされてしまう。その未知の存在は、2022年に地球に降下した際、大気圏突入時のトラブルで故障したと明かし、悠真とその友達たちに、宇宙に帰るのを手伝ってもらえないかと依頼をする。その願いを聞くことにした悠真たちは、極秘ミッションに挑む。

10月21日(金)より全国公開
配給/ギャガ、エイベックス・ピクチャーズ
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会
公式サイト
https://bokuranoyoake.com

杉咲花 すぎさき はな

1997年10月2日生まれ、東京都出身。ドラマ『夜行観覧車』で注目を集め、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で、第40回日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞・新人俳優賞など、多くの映画賞を受賞。他にも、劇場アニメ『メアリと魔女の花』、ドラマ『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』、NHK大河ドラマ『いだてん』、映画『青くて痛くて脆い』、NHK連続テレビ小説『おちょやん』、ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』『プリズム』など、数々の話題作に主演・出演し、実績を重ねている。

宮平なつき

フリーライター

女性誌やWEBで、著名人のインタビューをはじめ、エンタメやスポーツ、ライフスタイル、食、ボディケアに関する記事を執筆。

ロードショー編集部

1972年に創刊し、2008年に休刊となるまでの36年、多くの映画ファンから愛されていた 映画雑誌「ロードショー」。
現在も数多く届く復刊希望の声をうけ、集英社オンラインでは、映画に関する記事は「ロードショー」レーベルで発信します。
劇場で、配信やサブスクリプションでと、映画を作る環境も見る環境も多様化し、膨大な数の作品が作られている今だからこそ、本当に見たい映画を選び、より広く深く楽しむための情報や読みものを届けます。

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