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機能・デザイン・トレンド感。すべて抜群のグラミチ「ガジェットパンツ」は、絶対買ってソンはなし!

集英社オンライン / 2022年10月24日 16時1分

国内のアウトドアファッションブームを牽引してきたブランド「GRAMICCI(グラミチ)」。今年リリースされた新作のガジェットパンツも大きな人気を呼び、早くも定番商品化しそうな勢いだ。元「smart」編集長の佐藤誠二朗氏がグラミチの魅力と歴史を語る。

今年の新製品ながら、人気が高くすでに定番商品化しつつあるらしい

今年リリースされたばかりなのに、大人気で早くも定番商品化しつつあるグラミチの「ガジェットパンツ」を、この秋冬用にと思って買ったので紹介したい。

僕はグラミチファンで、ショートパンツもロングパンツも各種持っており、季節を問わず穿いているが、いずれも比較的ベーシックなデザインのものばかりだった。


今回のガジェットパンツのように、ややデザインが際立っているアイテムは初めてだ。

シルエットは、ややゆったり目

ディテールでまず注目すべきは、前身頃から後ろ身頃にかけて施された、左右の大きなポケット。
iPadや雑誌まで余裕で入るサイズで、バッグがなくてもこれだけで出かけられそうなほどの大容量。
いろんな道具(ガジェット)をぶち込んでほしいというデザイン意図らしい。
まあ実際は、形が崩れるのでタウンユースの際はあまりこのポケットにモノを詰め込むことはないと思うが、キャンプやバーベキューなどのアウトドアシーンでは本領を発揮しそうだ。

このポケットがとにかくでかい

右側のポケット上には、GRAMICCIのロゴ入りベルトが付けられている。
頑丈なベルトなので、単なるデザインではなく、カラビナでいろいろなものがぶら下げられて便利。

全体的なシルエットは、今っぽくゆとりのある感じで、裾にいくほど細くなるテーパードになっている。
そのテーパードのかかり具合がなかなか絶妙で、いい感じのシルエットが生み出されているようだ。

特筆すべきユニークなパターン

このパンツのもう一つの特筆事項は、ユニークなパターンだ。
通常のパンツより多くのパーツを組み合わせて構築されている。
僕はお店でこのパンツを見たとき、2000年代前半に流行った懐かしきリーバイスレッドの立体裁断ジーンズを思い出した。
あの頃、凝ったパターンのパンツがファッション界を席巻、僕が編集長をやっていたファッション誌でもよく取り上げたものだ。

今、2000年前後のトレンドが若者の間でリバイバルヒットしていて、“Y2Kファッション”などと呼ばれたりしているそうだけど、もしかしたらこれもまたその影響下で生まれたのかもな。知らんけど。
いにしえの立体裁断ジーンズもそうだったように、穿き込んで何度も洗濯するうちに、縫い目部分に味のあるアタリが出てくるはず。
穿くほどにかっこよくなってくるのだから、とても楽しみだ。
写真の僕の私物パンツは、2回の洗濯を経たものだが、ご覧のようにすでにアタリ感が出はじめている。

2回の洗濯を経て、アタリが出はじめている

生地はハリコシのある丈夫なコットンツイルを使用。オーガニックコットンで、製品染めにより仕上げられているらしい。
負荷がかかりやすいビッグポケット部分は、より耐久性の高いキャンバス地を使用していて、この切り替えがまた絶妙なデザイン性となっている。

素材の切り替えもアクセント

グラミチの歴史と、創業者の発明

昨今のキャンプ・アウトドアブームに乗り、絶好調のグラミチは、日本では1990年代初頭から注目されはじめたブランドだ。
当時、ビームスやオッシュマンズといったセレクトショップが、街で着る“アウトドアミックススタイル”を提唱。
それまでの日本ではなじみのなかった海外の一流アウトドアブランドアイテムを買い入れて店頭で展開し、ブームを牽引していた。
グラミチはその筆頭株として、その頃から注目されるようになった。

以来、グラミチはこの日本で、タウンユースのカジュアルウェアとして定着。
そしてここ数年間で大きく盛り上がっているキャンプ・アウトドアのトレンドの中、欠かすことのできない重要ブランドとして存在感がいや増している。
僕のように1990年代の最初のブームのころに若者だった世代の人は、若干の懐かしさ混じりで、また、その子供世代である今のティーンエイジャーは、メイド・イン・USAの本格アウトドアブランドとして一目置いているようなのである。

では、グラミチとはどんなブランドか?

創業者はマイク・グラハム。“グラミチ”というのは、彼のニックネームをそのままブランド名としたものだ。
1960~70年代のアメリカ・ヨセミテ国立公園で活躍した“伝説的ロッククライマー”のマイク・グラハムは、1982年、盟友のドン・ラブとともにこのブランドを創業した。

マイクが活躍していた当時は、ロッククライミング専用のウェアが存在せず、マイクも一般的な登山用ジャージとパーカという出で立ちで、垂直に切り立つ険しい岩壁に挑んでいたという。
しかし彼はクライミングテクニックを極めるうちに、難敵の岸壁に挑むためには特別なウェアが必要だという思いを強くしていく。
そこで、自分自身が納得できる新しいコンセプトのウェア開発をスタートした。

グラミチのパンツでもっとも際立つ特徴は、180度まで完全に脚を開くために施されている“ガゼットクロッチ”というディテールだ。
股部分にあしらわれたマチのことで、これがあるおかげでロッククライミング時に足場を求めて思い切り開脚してもつっぱらず、ビリっと破ける心配もない。
ガゼットクロッチがあると、ロッククライミング以外のシチュエーションでもとても足が動きやすくなるため、現在では様々な他のアウトドアブランドのパンツにも採用されているので、ご存じの方も多いだろう。
その発明者こそが、グラミチことマイク・グラハムだったのだ。

この構造が穿きやすさを生む

マイクがこの画期的な機能を思いついたきっかけについては、ちょっと面白いエピソードが残されている。

大のカンフー映画ファンであったマイクは、ある日、いつものように楽しんでいた映画の中で、見事なハイキックを決めるブルース・リーの姿を見て考えこむ。
どうやったらあんなに見事に脚を開けるのだろうか……。あそこまで開脚できたら、ロッククライミングもやりやすいぞ……。そうか、カンフーパンツか! どういう構造になっているのだろう……?
こうして、ガゼットクロッチの開発につながったのだそうだ。

グラミチらしいウェビングベルトは、機能性の追求から生まれたディテール

グラミチが開発したクライミングパンツには、そのほかにもさまざまな機能が搭載されていた。
しかしその後ブランドが成長していくとともに、コアなクライマーだけではなく一般的なアウトドア好き、それどころかほとんどアウトドア活動はしないにもかかわらず、街でそういう服を着るのが好きな人たちにも、グラミチ支持者が増えていく。
そうした客層に対応するため、グラミチは少しずつ、クライミングだけに特化した機能は省くようになっていった。

しかし、グラミチのパンツのもう一つの大きな特徴である、ウェストサイズ調整のための“ウェビングベルト”は、現在のどのパンツにも必ず施されている。
ウェビングベルトは非常にうまくできていて、ウェストサイズを調整したいと思ったらベルトの先の方を引っ張るだけでOK。
ガジェットクロッチと同様、現在では多くのアウトドアウェアやスポーツウェアに採用されているこの仕様、やはりグラミチの考案だったのだ。

ベルトを締めたり緩めたりという動作を、手袋をつけたまま片手でおこなうことができるウェビングベルトはデイパックのストラップと同じ構造だ。
それもそのはず、ウェビングベルトはパタゴニアのバックパックのハーネス用バックルがヒントとなって誕生したのだ。

グラミチといえばウェビングベルト

グラミチ創業直後、アイデアマンのマイクに目をつけたパタゴニア創始者のイヴォン・シュイナードは、自社製品の製作を依頼した。
この発注により、グラミチのガレージはアトリエとしての機能を充実させていったのだが、マイクはパタゴニアのデイパックを見ていて、ウェビングベルトのアイデアが湧いてきたのだという。
ウェビングベルトは、後ろ側の腰のあたりで少しだけ露出するような構造になっている。ロッククライマーはここに、カラビナでチョークバッグをぶら下げるそうだが、僕は車のリモコンキーをぶら下げたりしている。

腰のあたりのベルト露出部分

話を戻そう。
僕が買ったガジェットパンツは、こうしたグラミチならではの基本的機能性が搭載されていて穿きやすく、そのうえトレンドを踏まえたシルエットやディテールが冴えている。
今シーズン、すでにかなりのヘヴィローテーションとなっているが、愛着は増していくばかりだ。

なので、皆さんにもおすすめしたいと思います。


文/佐藤誠二朗

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