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会話や現在位置はもちろん、バッテリー残量まで筒抜け。探知機では見つけられない“スマホ盗聴”の恐怖

集英社オンライン / 2022年10月31日 17時1分

もはや日常生活には欠かせないスマートフォン。そのスマホを使って盗聴する人が増えているという。しかも従来の盗聴器と違って、わざわざ購入する必要もなく、簡単に仕掛けられ、音声はもちろん位置情報、画像、動画まで手に入れることができるというのだ。果たして、その実態とは。

個人のプライバシーを暴く“盗聴”。かつては高価な機器を揃え、ターゲットに知られずにその身辺に仕掛ける必要があったが、昨今のスマートフォンを使った“盗聴”はそうしたハードルも低くなり、それを使って、恋人の浮気、配偶者の不倫の証拠を押さえたいという人もいるようだ。

また仲間の陰口や内緒話がバレたり、個人情報を盗まれたりもする。今回スマホや盗聴に詳しい、月刊誌「ラジオライフ」の小野浩章編集長に話を伺った。


月刊誌「ラジオライフ」の小野浩章編集長

彼の行動を記録することから始まった“スマホ盗聴”…

──最近では古くからある盗聴専用器の代わりに、スマホが使われるようになったとか。具体的にどういったものなのでしょうか?

手口としては2つあって、まず1つはターゲット(他人)のスマホに盗聴できるアプリをこっそり仕込むやり方で、もう1つは自分のスマホ自体を盗聴器として利用するやり方です。

──スマホにアプリを仕込む盗聴はいつ頃からあるのでしょうか?

おそらく2011年頃にあった監視アプリの『カレログ』が、スマホを使った本格的な盗聴の始まりだと思います。『カレログ』は、交際している男性のスマホの情報を、その彼女に通知するというAndroid専用のアプリです。

もちろん、彼女の浮気を疑う男性が使用することもできますが、カレ(彼)を、ログする(記録する)という意味からそのような名がつけられています。

彼(ターゲット)のスマホにアプリをインストールすると、パソコンのウェブサイトを通じて、居場所が分かるため、浮気防止に役立つと話題になりました。

また、端末のバッテリー残量も把握できるため、「電源が切れちゃってさぁ」というお決まりの言い訳が通用しません。

このアプリは会員制で、初期にはプラチナ会員になると(彼の)通話記録を見ることができるなど、浮気男性にとっては脅威のアプリでした。

しかし、2015年に『カレログ』の上をいくアプリが開発されています。インターナルという会社が作った『iPhoneアナライザー』と『Androidアナライザー』です。

この2つの製品は、アプリをダウンロードした端末のバックアップデータを取っておくための管理アプリで、パソコンで閲覧することが可能です。

これらが『カレログ』と違うのは、遠隔操作でカメラ機能を起動させて写真を撮影したり、会話を録音したり、過去の位置情報や通話履歴をチェックできる点です。

加えて、多くの人がコミュニケーションツールとして利用しているLINEのやり取りを見ることができるため、浮気の証拠はもちろん、行動や言動が丸分かりになってしまいます。浮気、不倫常習者にとっては包囲網が敷かれている状態です(笑)。

もちろん販売元はスマホの紛失、盗難の防止や、子どもの見守りなどが目的ということを謳っていますが、ユーザーの間でいつの間にか「浮気監視アプリ」とか「LINEチェックアプリ」として広まりました。

スマホ盗聴はなぜバレにくいのか…

──他人のスマホに無断でアプリをインストールしても罪にならないのでしょうか?

そうした行為は、“不正指令電磁的記録供用罪”という罪に問われます。これはコンピューターウイルスを他人に感染・実行した際に適用される罪ですが、スマホアプリの使い方によっては、不正な指令を与える電磁記録に該当するということで、逮捕される場合があります。

実際に2016年には『Androidアナライザー』のユーザーである40代の男性が、他人のスマホを不正に遠隔操作する目的でアプリを入手したとして逮捕されています。この男性は、交際女性のスマホに無断でアプリを仕込み、電話帳や通話履歴を閲覧していました。

その後、同罪で逮捕者が何人か出ています。また販売元のインターナルの社長と幹部数名が、悪用されるのを想定していたにもかかわらず、商品を不正に開発したという理由で逮捕されています。

──こうしたアプリが仕掛けられているかどうか確認するには?

自分のスマホに勝手にアプリを仕掛けられた場合、例えばApple StoreやGoogle Playなどの購入履歴からは、いつアプリがインストールされたかなどの事実は確認できます。

しかし、iPhoneの場合は購入履歴を消すことができ、さらにホーム画面からアプリを消してライブラリにだけ入れておけるので、とても気づかれにくい状況です。

また、Androidの場合はGoogle Playの購入履歴は消せませんが、複数のアカウントを登録してアプリを購入でき、購入したアカウント自体を消すことが可能です。(※iPhoneの場合は1つのApple IDと紐付けられるため不可能)購入の際のアカウントを消しても、端末内にはアプリは残ります。

つまり、自分のアカウントで不正アプリを入手しても、そのアカウントを消してしまえば証拠は残りません。

──とはいえ、実際には、ターゲットのスマホのロックを解除し、アプリをこっそりインストールするのは、恋人同士でもなかなかハードルが高いと思います。それよりも簡単な、自分のスマホを盗聴器として使うやり方が台頭してきているそうですが、具体的にはどういう方法ですか?

例えば、スマホを2台所有している場合、標準の通話アプリで自動応答に設定しておいて、何気なく部屋に置き、離れたところから電話をかければ、通話状態になるため、会話を聞くことが可能です。

この方法だと、ターゲットのスマホをいじる必要がないので手間がかかりません。また、あくまで自分のスマホにインストールしているので、先ほど説明した“不正指令電磁的記録供用罪”にも当たりません。

正体不明のスマホには要注意!!

──遠隔操作でスマホが作動すると画面が光って、気づかれてしまうと思うのですが……。

確かに、スマホは通知を知らせるため画面が光る表示機能がありますが、実はそれをホーム画面上から隠すことができます。Androidならバックグラウンドで録音するという機能があるので、画面に録音をしていることも表示されません。

また他の製品にはないのですが、中国製のスマホ ・OPPO(オッポ)やXiaomi(シャオミ)だと、インストールしたアプリをホーム画面上で、最初から非表示にすることができます。ですから誰かが画面を見ても、「変だ」とは思わせないことが可能です。

──身近な案件だと、どんな危険が考えられるでしょうか?

あくまでも想像ですが、会議室やオフィスに置かれれば、ビジネス情報が筒抜けになってしまいますし、食堂や給湯室、トイレであれば、陰口や内緒話を盗み聞きされてしまうと思います。交際相手の家なんかだと、保管しておいてくれるでしょうから、もっと簡単かもしれません。

スマホがある風景はいまや当たり前ですから、テーブルの上に置かれていても特に注意は払いませんし、実行者が身内で、自分のデスクの引き出しの中に入れられてしまえばお手上げです。

しかもスマホの電波は従来の盗聴探知機では見つかりませんし、もしスマホを発見されたとしても、あくまで自分のスマホにアプリをインストールしているだけなので、「そんなところにあったんだ」などと言い逃れもできますし。

──スマホによる盗聴の対策はありますか?

あまり有効な対策はないかもしれませんが、自分のスマホに身に覚えのないアプリがインストールされていないか、設定、購入履歴、セキュリティを常にチェックし、定期的なアップデートが必須です。最新版に更新しておくことで、セキュリティも強化されます。

また、不審なスマホは電源を切ればよいのですが、本当に忘れ物の場合もあるので、結局、正体不明のスマホが置かれていたら、距離をとるしかありません。

──スマホの進化は日々刻々と目覚ましいが、それとともに本来の目的と違った使い方で悪用されるケースが後を絶たない。個人情報を盗まれるリスクから身を守るために、十分な注意が必要である。もちろん悪用は厳禁だ。

取材・文/集英社オンライン編集部

『ラジオライフ』


株式会社三才ブックスが発行する1980年に刊行された月刊誌。アマチュア無線の情報を中心に、防災、防犯、カメラ、スマホ、クレジットカード、スキミングなど幅広いテーマをマニアックに紹介している。

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