「文字書き職人」と呼ばれる人がいる。主に商店の看板、町の標示板などに手書きで文字を入れる職人のことだ。しかし、その「文字書き職人」は、現在では大変貴重な存在になっている。
なぜなら、今や、デジタル出力した文字を使うことがほとんどだからである。「プロッター」という巨大プリンターのような装置を使えば、お望み通りの文字を簡単に印刷することができる。かつて、看板や標示板の文字はほとんど手書きだったが、便利な機械の登場により、その専門職はほぼ消えてしまった。
そんな時代にあって、大阪府の南部、貝塚市に現役の「文字書き職人」がいると聞いた。「サインズシュウ」という屋号で看板制作を請け負っている上林修さんがその人である。
作業場に到着すると「めっちゃ散らかっててすんません」と、上林修さんが出迎えてくれた。