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逆境に立ち向かう最大の武器は知性。映画『ドリーム』に学ぶ聡明な女たちの闘い方

集英社オンライン / 2022年11月1日 14時1分

ヨガ講師として活躍する仁平美香さんが、女性の美と健康に効く映画をピックアップ。今回は『ドリーム』(2016)をご紹介。映画を見終わった後に実践したい、体を整えるメソッドも必見。

アメリカ初の有人宇宙飛行を支えた女性たち

みなさま、こんにちは。ヨガ講師やセラピストなど女性のカラダとこころの健康にまつわる活動をしている、仁平美香です。

今回は、NASAによるアメリカ初の有人宇宙飛行成功を人知れず支えていた、黒人女性計算手たちをモデルに描かれた映画『ドリーム』(2016)を紹介します。

逆境に負けない勇気とパワーをもらいたい人、1960年代アメリカのレトロモダンなファッションが好きな方にもおすすめの映画です。


右から3人目がタラジ・P・ヘンソン演じる主人公のキャサリン。その右隣がジャネール・モネイ演じるメアリー、左隣がオクタヴィア・スペンサー演じるドロシー
Photofest/アフロ

この映画の見どころはふたつ。
ひとつめは人種差別や性差別に負けずに、明晰な頭脳で道を切り拓いていく、実在した女性たちの功績を知ることができるところ。

アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争をしていた1961年。ロケットの打ち上げに必要不可欠だった計算を担っていたのが有能な黒人女性グループでした。

その中のひとり、キャサリン・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)は計算手の中でも天才的な数学の才能を持ち、宇宙特別研究本部の計算係として抜擢されますが、同僚はエリート白人男性ばかり。コーヒーポットも白人のものは使えず、同僚からは同じチームにもかかわらず、機密文書だからと計算に必要な資料を黒塗りで渡され、最小限の情報しか与えられません。

印象に残っている場面のひとつは、トイレにまつわるシーン。
有色人種は白人と同じトイレが使えなかった時代、キャサリンは自身が働く建物のトイレは使えず、日に何度も資料を片手に、往復1.6kmと遠く離れた有色人種用トイレに走って行かなければなりません。

そんな日々が続いていたある日、何も知らない上司のハリソン(ケヴィン・コスナー)から、いつも長い時間席を外していることについて叱責を受け、キャサリンは声をあげます。

「用を足すのに地の果てまで遠征。自転車も使わせてもらえないんです。服装規定もひざ丈のスカート、真珠のネックレスのみ。真珠なんてない。黒人の給料で買えるわけがない。昼も夜も身を粉にして働いているのに誰ひとりわたしのコーヒーポットに触れない」

この出来事をきっかけにハリソンが白人専用と書かれたトイレの看板を壊し、肌の色で分けられていたコーヒーポットも撤廃。同僚たちにも変化が出ていきます。
その後、キャサリンは重要な会議にも出席できるようになり、会議中にその場でロケットの落下地点を計算して予測してみせ、チームの同僚のみならず、宇宙飛行士からの信頼も得ていきます。

行動を起こすことで、人や組織を変えていく

この作品ではキャサリンだけでなく、彼女の親友のメアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)とドロシー・ボーン(オクタヴィア・スペンサー)の活躍も丁寧に描かれています。

メアリーは、技術面での高い考察力を持っていましたが、白人専用の学校での学位がないとNASAの航空技術者になれないことを知り、裁判を起こします。前例がないとつっぱねていた判事に熱意が伝わり、入学の許可を勝ち取ることに成功。全米初の黒人女性航空技術者となります。

ドロシーは、NASA黒人女性計算チームのチーフ的な存在として活動していた女性で、IBMの最新型スーパーコンピューター導入が決まり、計算手たちが職を失う可能性を見越して、すぐにコンピューターの仕組みやプログラミング言語を覚えます。それをチームの女性たちにも指導し、ドロシーがコンピューター技術者として抜擢されるだけでなく、見事チーム全員の移動を成功させ、後にNASA初の黒人女性管理職となります。

人を動かすほどのひたむきな仕事ぶりや、代わりのきかないほどの頭脳や能力が、人や組織を変えていく。差別が当たり前だった時代、声をあげるだけでは、きっと変わらなかっただろうと思います。

ロケット打ち上げの際、宇宙飛行士の名前は耳にしても、技術者や、ましてや計算手の名前を聞くことはなかなかありません。
この映画を見て、全人種の女性の地位向上に貢献した先駆者たちがいたことに驚くとともに、世の中で見聞きする華々しい功績やニュースには、それを支える人がいることを思い出させてもらいました。

見どころふたつめは、映画を明るく彩る60年代ファッション、そしてシーンにマッチした音楽。

60年代のクラシカルなヘアスタイルや洋服は、当時のアメリカにタイムスリップした気分。冒頭で主人公の仲良し3人組がおしゃべりしながらNASAに向かう道すがら、車が故障してしまう場面で出てくる、ミント色とホワイトの2トーンカラーのシボレーもなんともかわいい。

『HAPPY』が大ヒットするなどグラミー賞をいままで少なくとも30回は獲得しているファレル・ウィリアムスが製作と音楽にかかわっていて、この映画のために楽曲を書き下ろしています。ポップな楽曲は差別など重いテーマを含む映画に軽快な印象を加えてくれています。

聡明さと情熱を併せ持つ女性たちにしびれ、ポジティブなエネルギーをもらえる映画です。

脳疲労を軽減するセルフケア

頭脳明晰な女性たちが活躍する映画を見たあとは、ほんの少しでも頭の働きをよくしたい!ということで、首回りや後頭部をほぐし、脳疲労を軽減するセルフケアを紹介します。

1 頭と首の境目のあたりに親指を当て、四指は後頭部に添える
2 頭を軽く後ろに倒し、四指で頭を支え、親指をほんの少し上に持ち上げるようにして優しく圧を加えてゆったり5呼吸ほどキープ(首は後ろに倒しすぎず、楽に気持ちのよい範囲で)
3 あおむけに寝ころがり、手は体側に楽な位置に。後頭部の形や髪の毛の感触をマットで味わうように意識しながら頭をゆっくり転がすようにコロンコロンと5~10回程動かす



文/仁平美香

『ドリーム』(2016)Hidden Figures 上映時間:2時間7分/アメリカ
1960年代、NASAの“マーキュリー計画”を陰で支えた3人の女性たちの奮闘を描いた伝記ドラマ。大きな功績を残しながらも、近年までほとんどその存在を知られていなかった3人の実話は反響を呼び、第89回アカデミー賞で作品賞、助演女優賞(オクタヴィア・スペンサー)、脚色賞の3部門にノミネートされた。

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