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車中泊旅の防犯対策と車内自炊はいかに? 秋の郡上八幡、そして下呂温泉へ

集英社オンライン / 2022年10月30日 11時1分

中古のおんぼろエブリイを自力カスタムし、“行き当たりばったりの自由な旅”を実現できる車中泊の旅を始めてみた。2度目となる旅は、日本の原風景をもとめて飛騨高山へ。車中泊の旅で忘れてはいけない防犯対策と、大きな楽しみである車内自炊についてお届けする。(秋の車中泊・第3回。第1回はこちら、第2回はこちら

備えあれば憂いなし。
見知らぬ土地の駐車場で一人夜を過ごすのだから、防犯策は必須

車中泊の旅をしていると人に言うと、「夜、怖くないの?」とか、「防犯対策はしている?」と聞かれることがある。
朝までの休憩のために使わせてもらっているのは基本的に道の駅かRVパーク、それもできるだけ人気(ひとけ)の多い場所を選択しているから、これまで特に怖い思いをしたことはない。


でも地方の道の駅などでは、深夜にローカルのヤンキーがたむろしていることもままあり、もしも彼らが襲撃してきたらと不安になることはある。

防犯対策のまず一つめは、ヤバそうなやつらの目の前であえて車を乗り降りし、ここにいるのはただのつまらないおっさんだよとアピールして見せることだ。
女性の一人旅などは本当にたいへんだと思うが、自分のことだけを考えて言わせてもらうなら、実質これが最大の抑止策になる。

だが、金品目当てで敢えて僕のようなおっさんに狙いを定め、襲ってくる場合もあるだろう。
もしそうなった場合、無駄に抵抗して怪我などしたらたいへんだ。
速攻で「はい、すみません! これで許してください」と金を手渡し、引き取ってもらったのちに110番通報。これが最善策である。
最近では日本中のどこでもスマホ決済が浸透しているので、旅先でもあまり現金は必要ないのだが、財布の中に常時2万円程度入れているのは、こうした対応を考えているためでもある。
幸いにも、まだそうした局面には遭遇していないが。

そして確率としては断然低いが、相手がこちらを傷つけることだけを目的としている場合も、一応想定しておかなければならない。
だって、見知らぬ土地の駐車場で一人寝るわけだから、車の薄いガラス一枚隔てたすぐ横を、攻撃性の高いサイコキラーが通りがかることだってあるかもしれないのだ。
万が一、そんな輩と対峙しなければならなくなったら、武器として使おうと思っているものがある。
カメラの一脚だ。

カメラバッグに入れて持ち歩いている一脚

万々が一に備えての防御を想定して

ここで誤解なきようにはっきりお断りしておくが、僕が車の中に常備している一脚は、あくまでも写真撮影用だ。
車中泊の旅にいろいろなカメラを持っていくことを楽しみとしているが、マニュアルで撮影するとき、シャッタースピードが遅くなる夜だと必ず手ブレするので、支えとなる一脚は必携品なのだ。
それに一脚は自撮り棒としても使えるので、一人旅にはもってこいなのである。

日本ではたとえ護身用だとしても、相手を傷つける可能性がある物を準備・携行していると罪に問われることがある。
だからこの一脚は100%写真撮影用で、もしも万々が一にヤバいやつの襲撃にあったら、これで対応すればいいと頭の中で想定しているだけだ。

その前提のもと読んでもらいたいのだが、僕の持っている一脚は3段階伸縮式で、このうち2段だけを伸ばすと、慣れ親しんだ三尺九寸の竹刀とほぼ同じ長さになる。

愛用の竹刀とほぼ同じ長さの一脚

実は僕は剣道四段で、腕には少しだけ自信があるのだ。
でも、いくらサイコキラーだとしても、ほとんど鉄パイプのような硬さの一脚で、むやみに面や突きを食らわすことはできない。
致命傷を負わせてしまい、過剰防衛になる可能性もあるからだ。
だから、ナイフを持っている右手首に、得意の出ばな小手を一発。そして、ひるんだところにすかさず胴打ちをかます。
しぶといヤツだったらもう一発、逆胴もお見舞いしよう。
するとヤツは痛くてうずくまるはずだから、そのスキに走って逃げて助けを呼ぶのだ。
日々稽古を積んでいるので、とっさにそのくらいのことはできる気がする。
サイコキラー氏が剣道五段以上でなければだが。

なーんて、まあ治安のいいこの日本では、そんなこと99.9%起こらないと思っているが、こうして念のため想定しているだけで、少しは安心して寝られるのである。

10月なかばに5泊6日の予定で出た今回の車中泊の旅、4日目は岐阜県中部・郡上市の道の駅で朝を迎えた。

郡上八幡の古い街並みを散策したのち、ハードコースでお城へ

DAY.4(4日目)

道の駅古今伝授の里やまとでは、毎日、朝市が開催されている(火曜定休)。
のぞいてみると、地元産の農産品や魚などがたくさん売られていて、活況を呈していた。

道の駅で開かれている朝市

地元産の新鮮な野菜が並ぶ

道中のおやつとするべくリンゴとプリンと豆餅を、そして今日の朝ごはんとして、新米を使った栗おこわを購入。
郡上産の餅米で作られた栗おこわは、めちゃくちゃ美味だった。

栗おこわ、最高

その後、一般に“郡上八幡”と呼ばれる郡上市の中心部、八幡町へ移動する。
郡上八幡城の城下町であるここは長良川の上流に位置し、綺麗な水の流れと古い家並みが有名だ。
残念ながら今は時期外れだが、夏の間は日本三大盆踊りの一つに数えられる、郡上おどりが毎日見られるという。

市街中心部「やなか水のこみち」(MAMIYA C33で撮影)

職人町、鍛冶屋町といった昔ながらの町名を残す街を散策した。
江戸時代につくられたままの風情を残す建物と街並みは見どころが多く、そして町中に張り巡らされた水路に魚が泳いでいることに驚かされた。
街の中央を貫く長良川には、鮎を狙う釣り人が大勢いた。

郡上八幡のシンボルである湧水、室町時代からの古事を伝える「宗祇水」を橋から望む

長良川で鮎を釣る人

側溝を流れるのも清らな水で鯉が泳いでいる(分かりくくてすみません)

郡上八幡城へは車で行こうと思っていたのだが、町の少し外れに「郡上八幡城 徒歩での最短ルート 10〜15分程」という看板を見つけたので、そこから歩いていくことにした。

登城ハードコースのはじまり

あとでよく確認したらこの看板の下の方に「※階段が続く為、少し大変なルートです。」と親切な注意書きがあったのだが、このときは見逃していた。
少しどころかめちゃくちゃハードな坂道を汗だくになりながら登り、ほうほうのていで郡上八幡城に到着した。

きつかった

戦国時代の1559年に、美濃国の武将・遠藤盛数によって築かれた郡上八幡城。
現在の天守閣は復元だが、1933年に造られた国内最古の木造再建城なのだそうだ。
山城なので、天守最上階からの郡上市街の眺めがとても良かった。

郡上八幡城天守

天守最上階から郡上市を眺める

城から街に戻り、また散策の続きをしていたら空から大粒の雨が落ちてきた。
朝の間は晴れ間が見えることもあったが、今日はこれから天気が大きく崩れるという予報なのだ。

小走りで駐車場に戻り、車を発進させる。
雨足はどんどん強くなってきて、いつしか本降りに。今日はもう、雨が上がることは期待できなそうだ。
こういう日はひたすら移動して距離を稼ぎ、コマを先へ進めるに限る。
そろそろ岐阜県は切り上げ、この旅の後半は長野県か山梨県を回ろうと思っていたので、郡上市を出てからは進路を東に取り、国道256号をひた走った。

下呂温泉の思い出と、この旅初めての車内自炊食

しばらくすると、国道256号は飛騨川に突き当たる丁字路となった。
交わる道路は国道41号、北上すると日本有数の温泉街である下呂市に向かうルートだ。
よし、今日は下呂で温泉に入ろうと決め、左折した。

余談だが、小学校低学年の頃、岐阜との県境にある愛知県春日井市に住んでいた僕は、下呂という地名との初めての出会いを、とても強く記憶している。
小2の頃だったか、給食の時間に同級生がいきなり「『ゲロ』っていう町があるの、知ってる?」と言い出し、クラス中が大騒ぎになったのだ。
嘘だ嘘だ、汚いこと言うな、そんな町あるもんかと僕を含む皆から口々に責め立てられ、その友達は半泣きになりながらも、「本当だもん。この前、家族で行ったもん」と主張していた。

名前も忘れてしまったが、あのときの彼には申し訳ないことをしたと反省している。
きっと家族で下呂温泉に行ったのだろう。
でも、何も知らない小2の子供にとっては、インパクトのありすぎる語感だったのだから、仕方がない。
ちなみにその友達は下呂事件のほとぼりも覚めぬ頃、「ねえねえ『カニ』って街があるんだよ。親戚が住んでるんだ」と言い出し、皆から「また始まった」とオオカミ少年を見るような目で見られていた。
今思えばおそらく、岐阜県中南部の可児市かその東の可児郡のことを言っていたのだろう。
彼、元気かな?
本当にもう、小学生ってやつは……。

ハンドルを握りながら、そんな昔のことを思い出していたら、雨に濡れる下呂温泉街に着いた。
スマホで日帰り入浴ができる施設を探し、「河鹿の湯 露天風呂クア・ガーデン湯元遊園」というところを見つけた。
露天風呂のみの潔いつくりだったので、雨空の下での入浴となったが、わずかに白濁しトロッとした下呂の湯はとても気持ちよかった。

河鹿の湯 露天風呂クア・ガーデン湯元遊園

風呂上がりの時点でまだ日は高かったが、雨は土砂降りだ。
これから長野県に入って一気に安曇野まで行こうと考えていたのだが、距離的に近い北上ルートは険しい峠道が続くので少々怖い。
やや遠回りだが急ぐ旅でもないので、一旦、南東方面に下ることにした。
長野県飯田市から北上するルートは、地形的に木曽山脈と南アルプスに挟まれた谷底にあたるので、アップダウンもカーブも少なそうなのだ。

今日はとにかく先に先に行きたかったので、夕食のための時間は取らないことにした。
そのため、長野県に入ったところでスーパーに立ち寄り、車の中で軽く調理して食べられそうな食材を調達する。
メインディッシュは、山梨県産の和牛肩ロースステーキだ。

スーパーで買った食材と調味料

21時過ぎにようやくたどり着いた道の駅アルプス安曇野ほりがねの里の駐車場の一角に車をとめ、車内で肉を焼いた。
調理用具はアウトドア用のコンパクトバーナーと、ホットサンドメーカーのプレートの片側。
このホットサンドメーカープレートは、鉄板が厚いためか、肉がとても上手く焼ける。

コンパクトバーナー

ホットサンドメーカー

火を使うときは一酸化酸素中毒が心配なので、車内で常時稼働させているCOチェッカーがきちんと作動しているかどうか、事前に一度確認することにしている。

COチェッカー

塩胡椒で下味をつけて焼き、ステーキソースはあまり好きではないので、粗挽きマスタードをつけて食べたステーキ肉。
車中泊の自炊メシって、なんでこんなに美味しく感じるのだろうか。

念のため、バーナーの周りは防火シートで囲む

粗挽きマスタードで食べる

車の屋根を打つ雨音は、一向に静まらない。
きっと今夜は一晩中降り続けるのだろう。
モバイルスピーカーを使い、ジューク・ジョイント・ブルースのオムニバスを静かな音でかけていたら、なんとも侘しくなってきた。
でも、たまにはそんな気分のまま眠りにつくのも悪くない。

明日は晴れるかな?

画像・文/佐藤誠二朗

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