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「世界の分断が進む中、アメリカのクルーと仕事をしたことは財産」池松壮亮がコロナ禍にハリウッド女優とドラマに出演した理由

集英社オンライン / 2022年11月2日 13時1分

現在放送中のAmazonオリジナルドラマ『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』で共演した池松壮亮とナオミ・スコットに、ドラマに惹かれた理由、撮影裏話などをインタビュー。

人を愛する気持ちが丁寧に綴られた『モダンラブ』

Amazonオリジナルドラマ『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』(2022年10月21日より世界配信)は、アメリカで話題になった『モダンラブ』の日本版。ニューヨーク・タイムス紙の人気コラム「モダンラブ」をベースにした7つのエピソードが東京を舞台に繰り広げられます。

そのエピソード6『彼は私に最後のレッスンをとっておいた』で主演を務めた池松壮亮さんとナオミ・スコットさんに、アメリカと日本を繋いでリモート・インタビューを敢行しました。



──アメリカで話題になった『モダンラブ』の日本版『モダンラブ・東京~さまざまな愛の形~』への出演依頼があったときのことを教えてください。また、出演の決め手となったのは?

日本に住むマモル(池松壮亮)は、エマ(ナオミ・スコット)の英会話オンラインレッスンの生徒。アメリカの大学で博士課程をとることを目標としている
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池松壮亮(以下、池松) コロナ禍でステイホームの最中に、『モダンラブ』をたまたま見ていて「なんていいドラマなんだろう」と思いました。ニューヨーク・タイムス紙の実話コラムがベースで、人を愛すること、愛されることがギュッと凝縮された物語。

何より、長編映画などでは、なかなかスポットが当たらないような人の個性や愛情の機微をすくい上げているところに惹かれました。市井に生きている、生活しているリアリティのある人々の物語にフォーカスしているところが好きでした。

出演を決めたのは、モダンラブシリーズに参加出来ることにワクワクしたこと。そして、以前から気になっていた平栁敦子監督が演出を担当するということ。

さらに、時代の変わり目にコロナやヘイトを経験し、世界の分断が極まる中、国を超えてアメリカのクルーと仕事をするということに、大きな価値があり、自分の財産になると思ったからです。

ナオミ・スコット(以下、ナオミ)私も壮亮さんと同じです。『モダンラブ』はもちろん見ていました。とてもスイートな物語ばかりですし、いろいろな愛の形がクローズアップされていて、素敵だと思っていたんです。

今回、出演依頼を受けて脚本を読んだのですが、ピンとくるものがありました。私が演じたエマには共感する要素が多かったからです。あと平栁敦子監督の映画『オー・ルーシー!』(2018)を見ていたので、それも決め手になりました。

──おふたりが出演している『モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜』のエピソード6「彼は私に最後のレッスンをとっておいた」は、オンライン英会話を通して知り合った、英会話の先生エマ(ナオミ・スコット)と生徒マモル(池松壮亮)のラブストーリーです。それぞれ、マモルとエマついて、どういう人物だと解釈して演じましたか?

イギリス出身のエマ(ナオミ・スコット)は、旅の資金を貯めるためにロサンゼルスに滞在中。世界中の生徒を相手に、英会話をオンラインで教えている
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池松 マモルのモデルになった方は、日本人じゃなくて韓国の方です。でもどこの国かは関係なく、ふたりの物語は「人を信じられるかどうか」ということが鍵になっていると思いました。

人生において、人を信じられなくなる瞬間というのは誰にでも起こりうるし、実際世界を見渡しても、そういうターンにあると思います。

マモルが、オンライン英会話で出会ったエマに惹かれて、国や人種、文化や環境、様々な違いを越えて、自分の直感に従ってアプローチしていったことにとても感動しました。彼女を信じたからできたことですし、そんなマモルのプロセスや葛藤を大切に、実話であることの敬意を忘れずに演じられたらと思いました。

ナオミ エマは、私たちを代表している存在なんです。優柔不断だったり、自分の選択が正しいのかどうか悩んだりすることは、誰でも経験することですよね。エマにとってはマモルが自分にとってふさわしい人なのか、愛されているのか、彼との将来を思い描くことができるかなど、深く考えます。

そして考えていくことで成熟していく。自分がパートナーに何を求めているのかがわかるようになっていくのです。共感するところは多かったですし、この素敵なストーリーのドラマに出演できたことは大きな喜びです。

ハリウッド女優も驚く池松壮亮の演技力

『アラジン』(2019)ではジャスミン役を演じたナオミ・スコット(右)
Everett Collection/アフロ

──おふたりは初共演ですが、お互いの印象は? 互いの出演作などご覧になりましたか?

池松 すべてが海を越えて届いてくるわけではないので、全作品を見ることはできませんが、『アラジン』(2019)の印象が強かったです。あと女性3人が活躍する映画……『チャーリーズ・エンジェル』(2019)もありましたね。

ハリウッドで活躍している女優さんというイメージで、遠い存在だったのですが、このドラマで共演することになり、僕のような生粋の日本人との並びや、ふたりの間のやりとりがチャーミングで面白いものになるといいなと思っていました。

ナオミ 初共演なので、会うまでどういう人なのかわからなかったけど、私たちは言葉を超えて、意外と簡単にコミュニケーションができたし、仲良くなれたんじゃないかしら。壮亮さんはマモルにぴったりでしたね。

マモルには「ちょっとベタかな」と思うセリフもあったんですが、壮亮さんは難なくクリアしていました。私が「なんで言えたの?」と聞いたら、相手を信頼していれば言えるよと。彼は、どんなセリフでも誠実な言葉として語ることができる俳優。「人を信じる」ことは、この作品のキーワードですが、あのときの彼はまさにマモルそのもの。すべてを信じていたからこそ、言えたんだと思いました。

──平栁敦子監督との仕事はいかがでしたか?

池松 演出は非常に的確で、この物語を語る上でも最上な方だと思いました。マモルとエマを接続する役割を担ってくれて、ふたりを見事にサポートしてくださいました。ご自身もパワフルでユーモアがあって、繊細で大胆でチャーミング。一緒に仕事ができてうれしかったし、人としても大好きですね。

ナオミ 壮亮さんが言うように、監督にはユーモアがあり、バランスがとれた演出でした。平栁監督は、役者に対して「こういう演技がほしい」ということをはっきり伝えつつも、とても協力的で、役者を信頼してくれました。チャーミングな方で、笑ったり喜んだり現場をいい雰囲気にしながら、本物の演技を引き出すのが上手い監督でした。とても感謝しています。

撮影の思い出は、食べ物のことで溢れている!?

撮影はロサンゼルスで行われた
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──コロナ禍での撮影は大変だったのではないかと思いますが、撮影はいかがでしたか? 印象に残っていることはありますか?

池松 ナオミさんは、これまで出会ったことのないほど明るくハッピーな方でした。撮影の合間もずーっと歌って踊って、僕や撮影クルーに常に元気をくれました。沢山助けてもらって感謝しきれません。あと、一緒にチキンをたくさん食べました(笑)。お腹が空いたら撮影出来ないから「チキンを食べなさい」とすすめてくれたんです。

ナオミ あ〜、その話は私が言おうとしていたのに、取られちゃった(笑)。私たち、チキンフィレやワッフルフライをたっくさん食べたんです。あれは深夜の撮影でしたよね。

池松 うん、そうでしたね。

ナオミ 夜の撮影のときって、スナック菓子みたいな軽食しか出ないんです。「そんなんじゃダメだわ」と思い、チキンフィレなどをたくさんデリバリーでオーダーしたんです。ただ、ちょっと食べすぎちゃって。「ナオミは妊娠中なのか?」ってくらいお腹が膨れちゃったんです(笑)。でも美味しかったでしょ!

池松 はい、その後の撮影は眠くてよく覚えていません(笑)。

ナオミ あと、撮影でいただいた、和食もすごく美味しかった! あれ、なんていうのかしら、パンケーキみたいなの。

池松 お好み焼き。

ナオミ そうそう、それ! あれも美味しくて食べ過ぎちゃった(笑)。お好み焼きは初めて食べたけど、大好きになりました。壮亮さんは私がお好み焼きを食べているのを見て、ずっと笑っていましたね。

池松 ナオミさんはとにかくよく食べていて、ほんとに美味しそうに嬉しそうに何枚もお好み焼きを食べていました(笑)。彼女はまさにムードメイカー。撮影現場を心から盛り上げてくれました。“とうもろこしの花粉が幸せを飛ばして、他者を幸せにしていく”という、このドラマのストーリーと同様に、ナオミさんの存在が周りを幸せにしてくれました。

ナオミ そんな素敵な褒め言葉、初めて言われました。感動です、ありがとうございます!

池松&ナオミが語るリスクを冒してでも貫く映画愛

──『モダンラブ』のテーマは愛ですが、おふたりにとって愛情を注いでいるもの、愛してやまないものはありますか?

池松 ありますよ。大切な人たち、俳優という仕事、映画。ひとつには絞れませんが、強いてあげれば映画ですかね。映画を作ることにかけては、リスクも惜しまないというか、映画に対する愛情と執念深さと貪欲さに関して、時々自分でも驚くほどです。

ナオミ リスクを惜しまず、情熱を注いでしまうという、今の壮亮さんの言葉、素晴らしい! 共感しました。私、今後インタビューのときに、その言葉そっくりそのまま使わせていただきます。いいですか?

池松 あげます(笑)。

ナオミ ありがとう! 私も俳優という仕事と映画への愛は強いです。俳優の仕事は、撮影のたびに全く知らない世界に行き、自分をさらけ出し、ときには弱い自分を見せなければいけません。そういうリスクはありますが、作品を通して、人と繋がっていける。そこが素晴らしいです。そのとき得られる感情は、他の仕事では得られないものかもしれません。

またフィルムメイキングは毎日違うことが起こるから、とても刺激的です。待ち時間が長すぎると飽きちゃうけど(笑)、最近は待ち時間に読書をするようになりました。以前はゲームで時間を潰していたけど、だいぶ良い方に変化したと思います。

──『モダンラブ・東京』に出演することは、アメリカでの撮影も含めておふたりにとっては挑戦的な作品だったと思います。今後、海外の作品に積極的に出演する考えはありますか?

池松 初出演の映画が『ラスト サムライ』(2003)でしたし、最近は中国映画に出演したり、韓国オールロケの作品に出演したりしてきたので、海外の作品に対する抵抗はありません。

もちろん日本で撮影するより大変だと思うことは多々ありますが、想像できないような出会いや経験があります。海外作品への出演は、挑戦というより、そこに素晴らしい語るべき物語があるのなら喜んで飛び込みたいという感じです。

ナオミ 日本映画の出演依頼があったら光栄ですね。日本語は話せないんですけど。でも私、日本のリアリティショー『テラスハウス』にハマっちゃって、けっこう見たんです。だから日本語、少しだけわかるようになりました。あと、2、3年待ってくれたら話せるようになるかもしれません。

日本には映画のプロモーションで行ったことあるのですが、仕事だったので2、3日しかいられなくて、まったく観光ができませんでした。だから今度はゆっくり滞在したいです。できれば、観光地ではない日本を見たり感じたりしたいので、おばあちゃんの家に行きたいです。

池松 おばあちゃんの家?(笑)。

ナオミ お洒落なレストランとかは、いつでも行けるじゃないですか。でも私は家庭料理が食べたいんです。今度日本に行くときは、誰かに素敵な日本のおばあちゃんを紹介してもらわないと(笑)。みなさん、よろしくお願いします。


取材・文/斎藤香

池松壮亮
1990年7月9日、福岡県出身。トム・クルーズ主演作『ラスト サムライ』で映画デビュー。以降、映画、ドラマなど数々の作品に出演。近年の出演作として、映画『ぼくたちの家族』『紙の月』(いずれも2014)『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017)『宮本から君へ』(2019)『アジアの天使』(2021)『ちょっと思い出しただけ』(2022)など。今後の公開作品は『柳川』(2022年12月30日公開)『シン・仮面ライダー』(2023年公開予定)

ナオミ・スコット
1993年5月6日、イギリス出身。2008年にディズニーチャンネルUK『Life Bites』で女優デビュー。2017年、映画『パワーレンジャー』のピンクレンジャーを演じてメジャーに。ディズニー映画『アラジン』(2019)のジャスミン役に抜擢され、その歌唱力と演技で人気を博す。ほか、主な出演作は『チャーリーズ・エンジェル』(2019)。最新作はコメディ映画『Distant』、『Wizards!』。

Amazon Originalドラマ『モダンラブ・東京〜さまざまな愛の形〜』
エピソード6「彼は私に最後のレッスンをとっておいた」

旅の資金を集めるためにロサンゼルスに滞在しているイギリス人のエマ(ナオミ・スコット)は、オンライン英会話の講師として世界中の生徒に英語を教えている。新しく生徒になったマモル(池松壮亮)は大学でトウモロコシの研究をしている大学生。英語上級者のマモルは、アメリカの大学で博士課程を取ることが目標だと語り、エマにある質問を投げかける。その質問に心を揺さぶられたエマ。そのときから、ふたりの距離は縮まっていくのだが……。

AmazonPrimeVideoより配信中
監督・脚本:平栁敦子
出演:ナオミ・スコット、池松壮亮ほか
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