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【漫画あり】風俗店で、くも膜下出血を発症した29歳が過ごした世界一恥ずかしい闘病生活

集英社オンライン / 2022年11月11日 18時1分

風俗店で「くも膜下出血」を発症したアラサー男の闘病生活を描いた実録漫画『くも漫。』が集英社オンラインで配信決定。2017年には脳みそ夫主演で実写映画化もされた同作の誕生エピソードを作者の中川学氏に聞いた。

絶対にすべらない風俗話を漫画化

――このたび『くも漫。』が、集英社オンラインで配信されることになりました。

僕は『キン肉マン』や『ドラゴンボール』、『SLAM DUNK』が連載されていた頃の「週刊少年ジャンプ」直撃世代なので、自分の漫画を集英社さんに扱っていただけることが夢のようです。
実は3 、4年前くらいにいまさら赤塚賞に応募したこともあるんですが、全然ダメだったんですよ(笑)。

――『くも漫。』は、ご自身にとってどのような作品ですか?



映画化もされましたし、自分の漫画で一番売れた作品なので、名刺代わりの作品ですね。
「『くも漫。』読みました」という声は、ほかの漫画に比べると圧倒的に多いです。ただ、『くも漫。』以降も特に変わったことはなく、生活は苦しいままです。

――本作は中川さんが29歳のときにくも膜下出血を発症した実体験を描いたルポ漫画ですが、実際に発症したときはどう思いましたか。

それまで健康だったので「まさか自分が!」という感じでしたね。前兆がまったくなかったので。

――一番つらかったことはなんですか?

肉体的にいうと、手術直後の頭の痛みと吐き気がすごかったんですよ。それが集中治療室で連日夜通し続いたのはかなりつらかったですね。
それと術後2週間は血管攣縮が起こる可能性があったので、気の休まらない時間が続いたのも精神的にきつかったです。血管攣縮が起こると、半身麻痺や言語障害といった後遺症が残ってしまうので怖さもありました。

――入院中は「死ぬかもしれない」という不安もあったのでしょうか。

ありましたね。特に、集中治療室では周りで亡くなる方もいました。
真ん中にナースステーションのようなブースがあって、その周りをベッドがずらっと囲っているんです。あっちには苦しんでいる人がいて、こっちでは「お亡くなりになりました」と告げられている家族がいて、みたいな。
そんな中を看護師さんが行ったり来たりしていると、もしかしたら自分もそうなるのかも、みたいな不安はありました。

生涯恥ずかしさランキング第1位!

――ちなみに、もう体調に問題はないのでしょうか。

いまは大丈夫です。

――倒れた場所が風俗店だったことをひた隠しにする場面も、本作の面白さのひとつです。その実体験を漫画にすることに抵抗はありませんでしたか?

いや、すごくありました。『くも漫。』を描いたのは、漫画の編集者をやっている弟(中川敦)から「兄ちゃん、例の風俗のすべらない話を漫画にしてみない?」と持ちかけられたのがきっかけなんですが、最初は全国に自分の恥が広まるのがイヤだなと思ってたんですよ。
でも「トーチweb」という立ち上げたばかりのウェブサイトでの連載だったから、あまり読まれずにこっそりやれるんじゃないかなと思って、引き受けました。

――ということは、連載を始める段階ではここまで広がるとは思っていなかったんですか。

まったく思ってなかったです。何なら、そうなってほしくないぐらいに思ってましたから(笑)

――恥ずかしさは、いつ頃からなくなっていったのでしょうか。

第3話が風俗店で倒れて集中治療室に運ばれる話だったので、発表するのが本当にイヤだったんですが、公開してみたら「すごく面白い」っていう反応をたくさんいただけて、それに嬉しくなって恥ずかしさが軽減されていった感じです。
でも、いまだになくなったわけではなくて、恥ずかしいは恥ずかしいんですよ。

――となると、2017年に映画化された際は、また恥ずかしさが込み上げてきたんじゃないですか?

映画化は、そんなに恥ずかしいとは思わなかったんですよ。公開規模も小さめだったし、主演も脳みそ夫さんに決まって、どんどん自分のことじゃないみたいになっていったんですけど、公開後に僕自身が『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)に出演することになってしまって。そこで、これは決定的に全国のお茶の間に届くなと、恥かしさがぶり返しました。
放送から3か月ぐらいはSNSで「歯が汚い」とかつぶやかれたりして、本当にイヤでしたね(笑)。
まあ、3か月で慣れましたけど。

『激レアさん』で弘中さんがかけてくれた一言

――以前、『激レアさん』で共演した弘中綾香さんの素晴らしさを週刊誌に話していましたよね。

すごくいい方だったんですよ。他の出演者の方と違って、弘中さんだけ「激レアさん」と一緒に通しでリハーサルをするんです。そのときは3本撮りだったけど、3人分のフリップや絵を描いて、進行をすべて頭に入れて本当にすごいなと思いました。本番前も緊張していた僕に「中川さん、頑張りましょうね」って声かけてくれて、うれしかったです。
まあ、絶対に僕のことなんて覚えてないと思いますけど。

――先日、弘中さんがご結婚されたことに関してはどう思いましたか?

いや……ショックですよね。きっとパートナーの方は風俗とか行ったりしない、さわやかな人なんだろうなと思います(笑)

――ちなみに、中川さんは現在も風俗には行ってるんですか?

最近はほとんど行ってないですけど、退院してからも何度かは行きましたよ。倒れたのとは別の店ですけどね(笑)

――『くも漫。』について、親御さんの反応はいかがですか?

母は未だにちゃんとした感想を言ってくれてないような気がします。漫画は「辛くて見れない」と言っているんですが、映画は観ているんですよ。DVD化されたときに、いとこが上映会を開こうと言いだして、親戚一同で一緒に観たんですけど、その会も地獄でしたね。

――作中でも、病室で親戚一同から倒れた場所を追求されるシーンが描かれていましたよね。

実際もあれに近い状況に追い込まれました。 自分は覚えているから、ひとりでずっとドキドキしていて。多少誇張して書いているところはありますけど、ほぼノンフィクションです。

「人生死んでしまいたいたいときには下をみろ、俺がいる」

――救急隊の方が家族に「倒れた場所」を隠してくれたのは実話ですか?

そうですね。地元ではなくすすきので倒れたことが幸運だったみたいで、救急隊の方が札幌にある日本でも指折りの脳外科の専門病院に搬送してくれたんです。それで、母が救急隊の方にお礼を言いたいと電話をしたんですが、そこでごにょっとごまかしてくれたみたいで。

風俗店で倒れたことを知っていた弟も「もういいんじゃない?」って母の追求を打ち切ろうとしてくれてたんですが、そのときに母親は「これ、なにかあるな」って勘付いたみたいです(笑)

――『くも漫。』は、そんな笑えるシーンのほかにも、家族愛や闘病記録など読み手によってさまざまな受け取り方ができる作品だと思います。作者としては、どんなふうに届けたいと思っていたのでしょうか?

僕の好きな言葉に、村西とおるの「人生死んでしまいたいたいときには下をみろ、俺がいる」という名言があるんですが、まさにその感じで読んでもらえたらいいなと思っていました。この作者よりもまだ自分の方がマシだと思ってもらえれば(笑)。

あとは、やっぱり人間いつ死ぬかわからないから好きなことや、やりたいことをどんどんやっていこうよってところは言いたかったですね。最近は本当に暗い話題が多いなと思うので、ぜひこのタイミングで『くも漫。』を読んで元気になってもらえたらうれしいです。

取材・文/森野広明 漫画/中川学

【漫画】笑えないのに笑ってしまう「風俗店で、くも膜下出血になった男の悲劇」(すべての画像を見るをクリック

#2 看護師、女医、母にどこで倒れたかをひたすら隠し続けた闘病記 はこちら(11月15日11時公開予定)

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