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都会から逃げてなにが悪い! 地方移住のベストタイミングが「今」なワケ

集英社オンライン / 2022年11月2日 10時1分

コロナ禍でますます関心が高まった都会から田舎への移住。「いつかは自分も……」と憧れながらも行動に移せない人は多いのではないだろうか。そこで、東京・浅草から奥多摩の山中の古民家へ家族とともに移住した編集者の宇都宮ミゲル氏の著書『お気軽移住のライフハック100』(集英社インターナショナル)から一部抜粋・再構成して“移住の心得”をお届け。前編は、移住を迷っているあなたの背中をそっと押したい。

都会が肌に合わないのは「ノーマルな神経」

都会での暮らしに生きづらさを感じて、田舎への移住を考える人は少なくない。でもそんな選択を「逃げ」と捉えて行動を躊躇(ちゅうちょ)してしまうケースがある。そんな人にアドバイスがあるとすれば「逃げてなにが悪い?」というひと言だ。



通勤電車は満員が当たり前で、片道1時間以上なんてのも都市圏の暮らしではザラ。幼稚園には狭い庭しかないし、ちょっとしたカフェに入るのも行列……などということに都会人は慣れきってしまっている。

金さえ払えばありとあらゆるサービスがすぐに受けられる都会に、圧倒的な利便性を感じているならいいだろう。だが、都会での暮らしはなにかおかしい、と感じるその気持ちは至極当たり前なのだ。

日本の一極集中は世界的にも顕著な現象であり、人口が増えすぎたがゆえの矛盾は計り知れないほど多い。そんな都会が肌に合わないと感じるのはノーマルな神経を持ち合わせているという証拠でもある。

移住すべきは「今でしょ」

決行すべきはいつか。移住することを決めたあと、そのタイミングに迷う人は少なからずいる。そんな人から「移住のタイミングはいつが適切か」と問われれば、筆者は「今でしょ」と間違いなく答える。

これは決して冗談ではない。移住は誰にとってもそれなりに大きな決定であって、準備すべきことも多いし、予測できないトラブルも多々起こる。おまけに大きな出費を伴うことがほとんどなので、これはどうしよう、あれはどうなるだろうと、考えるべきことや不安を感じることが非常に多くなる。

言い換えれば、移住とは不確定要素が多い作業なのだ。ゆえに、それらを挙げ連ねて、心配をしようと思えばいくらでもできてしまうし、時間があればあるほど、人はそのような不安、心配を頭に浮かべ、移住をしない理由をなぜだか並べ立てようとする。

だがそれはネガティブな妄想ばかりであることが多いし、そういうときには大抵、移住を実現したときのポジティブな収穫が抜け落ちていることが多い。だからこそ、ベストなタイミングは“今”なのだ。

今すぐ行動を起こしてしまえば、不安を抱き、心配をする時間はなくなる。やらない理由を挙げ続ける時間を強制的になくしてしまおう。

この気持ちは、転職をした経験がある人なら理解できるかもしれない。転職はしたいが、いざ会社が変わるとこんなネガティブ要因が自分を襲うかもしれない。そう考えた経験が誰しもきっとあるに違いない。そして長く考えれば考えるほど、転職を推進する自分の中のエネルギーが失われていく。

移住にしても転職にしても、予想通りかもしれないし、そうならないかもしれない。要は吉と出るか凶と出るか分からないのである。だが、移住ならやってみてダメであれば元に戻ればいいのだから、無謀なギャンブルとも言えない。だからこそ移住すべきなのは常に“今”なのである。

自分に合わなければ戻ればいい

失敗したらどうしよう、と事前に悩んでしまう人に最適なアドバイスはこうだ。「その土地が自分に合わなければ、元の場所へ戻るべし」。ただそれだけ。

知らない土地に住むことイコール、未知の出来事に次々と出合うこと。だから事前にネガティブ要因をすべて予見することなんてできないし、理想の土地だと思っていても現実は違った、なんてことも多分に起こる。

そんな状況に陥るのが嫌だから移住はあきらめようと考えるのも悪くはないかもしれない。だが、そもそも移住を考えたのは、生き方や暮らしを変えたいということだったはずだ。そしてその変化が幸福につながるだろうと期待したからこそ、移住を人生の選択肢に挙げたのではないか。

ならばとにかく行動するのが吉である。自分に合わなければまた元に戻ればいい、と考えることができれば、移住への精神的なハードルは一気に低くなる。

東京都内ではあるが、浅草から奥多摩(都心へ電車で約2時間の山奥)へ移住した筆者もそんな心構えで行動を起こした。だからこそわずかに「戻る」という選択を意識しながら、家は購入せず賃貸にしておくことや、出費を最小限に抑えることを心がけた。

「戻ればいい」と考えておくだけで、移住後に多少ネガティブ要因が見つかっても気分は楽だ。元に戻る可能性も低くないと感じているなら、目当ての移住先にまずは長期滞在してみて感覚を確認するのも有効だ。

より慎重に検討したいなら、1年ほどの猶予を見て春夏秋冬それぞれの季節で1、2週間、目当ての移住先にお試しステイしてみると、より未来のライフスタイルが予見できるだろう。ステイしている間は、生活する上で利用するであろう学校や病院、スーパー、レジャー施設などをチェックしたり、地元住民と会話を重ねるのも参考になるはずだ。

「どこに住むか」より「なにをしたいか」

日本各地で移住者を取材していて気がつくのは、「いくつもの候補地を挙げて、その中から最適な場所を選んだ移住者は少ない」という事実だ。言い換えれば、あまり比較検討せずに移住先を決めてしまう人がとても多いのだ。

人生において一大事とも言える、地方への移住。それなのに、入念に比較検討することなく、なぜ決断することができるのか。多くの人に話を聞いているうちに行き着いたのは、「どこに住むか」ということより、「そこでどんな暮らしを営みたいか」をイメージしている人ほど、移住生活を充実させているという結論だ。

「どこに住むか」をゴールに設定してしまうと、場所を選定するとき、慎重になりすぎて、それがすべてになってしまうきらいがあるようだ。

たとえば「のどかな雰囲気のカフェやレストランを営みたい」「川のそばで暮らしてカヤックを楽しみたい」「焚き火やBBQを日常的に楽しみたい」「林業や農業を職業としたい」「マイガレージでDIYライフを堪能したい」といったように、その人なりの目標を設定していれば、自ずと候補地は絞り込まれるであろうことは想像していただけるだろう。

なにより「どこに住む」という発想は、言わばブランド志向の延長線上にある。移住したい人は、それぞれに理想とする暮らしがあって移住するわけだから、ブランド志向で移住したとしても、果たして心の底から満足できる生活を送れるだろうか。その土地に住むというゴールは、移住を果たした直後に達成できてしまう。

もし「○○に住みたい」と決めているなら、そこでどんな暮らしを実現したいのか、一歩踏み込んで考えてみてほしい。そのように思考を深めてみたら、意外に別の土地が候補として浮かんできた、なんてことがあるかもしれない。「なにをしたいか」という問いの先にある候補地はきっと有力だ。

* * *

続く中編では、移住先選びや住まい探しで気をつけるポイントや心得を紹介しよう。

中編を読む(11月3日10時公開予定)

写真/shutterstock

お気軽移住のライフハック100

宇都宮 ミゲル

2022年5月26日発売

1,760円(税込)

四六判/192ページ

ISBN:

978-4-7976-7412-5


新型コロナウィルスの影響で在宅での業務が増えたこともあり、現役世代を中心に「移住」に注目が集まっている。それは「全人生をかける」ようなものというよりは、仕事は現在のままに今より少しだけゆとりある暮らしができる地域へ、あるいは好きな趣味が楽しめたり、自然を感じられる環境へ……といったような、よりカジュアルな移住への志向といえる。

そこで、本書では地元住民との軋轢や想像以上の不便さ、想定外の生活コスト、子どもの進学など、移住にまつわる物理的、心理的、経済的ハードルを少しでも下げるような移住のあり方を、移住実践者たちの体験から得られた知識と共にご提案。移住に必要な心構えや、身につけるべきスキル、近所付き合いのコツなど、憧れの移住生活に役立つさまざまなライフハックを、多くの移住者に取材し、自身も移住した経験をもつ著者がずばり解説する。

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