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「家探しは直接交渉が有効」「400万円の新築補助金」…移住前に絶対知っておきたいこと

集英社オンライン / 2022年11月3日 10時1分

コロナ禍でますます関心が高まった都会から田舎への移住。「いつかは自分も……」と憧れながらも行動に移せない人は多いのではないだろうか。そこで、東京・浅草から奥多摩の山中の古民家へ家族とともに移住した編集者の宇都宮ミゲル氏の著書『お気軽移住のライフハック100』(集英社インターナショナル)から一部抜粋・再構成して“移住の心得”をお届け。中編では、移住先や住まいを探すうえで抑えておきたいポイントを紹介しよう。

縁やゆかりがなくても大丈夫

多くの移住者を取材してまわった筆者の経験では、移住先に「縁があった人」と「縁もゆかりもなかった人」の割合は半々程度と感じている。

前者は親戚や友人が住んでいたり、旅行などで何度も訪れた土地に移住した人々。後者は初めての土地に、偶然や思い切りによって飛び込んだという人々である。



後者に話を聞いて思うのは「たとえ特別なゆかりがなくても人は新しい土地で生きられる」ということ。知らない土地で、ゼロからすべてを築いて暮らす、と聞くと途方もない気持ちにもなるが、移住者たちはさほど難しいことではないと語る。

同じ日本なのだから言葉も通じるし、無理だと感じたらいつでも元に戻ればいい。彼らに共通していたのは、先のことを考えすぎず、直面する問題に全力投球で向かう、ということである。新しい土地に向かおうとするときは、そんなスタンスを心がければいいのかもしれない。

穴場を狙う「開拓者精神」を持とう

ウェブサイトなどで、移住者にとっての人気エリアがランキング形式で発表されることがある。移住先を探すときに、こうしたランキングを参考にしてみるのは、もちろん悪いことではない。先行者が多ければ、地域のコミュニティにも受け入れてもらいやすいだろう。

しかし、もしもあなたが静かな暮らしを求めていたり、オリジナリティあふれるライフスタイルを実現したいと思っているなら、こうした人気の地域を避け、敢えて穴場を探してみるのも手だ。

自分が始めようとしているビジネスがそんな地域ではより新鮮に映るかもしれないし、誰も気づいていないその地域の良さを発掘できるかもしれない。開拓者精神でその地域を興すことを考えてもいい。

先行者による手垢のついていない地域は、さまざまなチャンスに恵まれている可能性がある。オリジナルであることが価値を生む時代、まだほとんど知られていないパラダイスを探し出してみてはいかがだろうか。

移住者向け補助金を事前にチェック

条件を満たすことで、移住先の自治体からさまざまな補助金、支援金を受け取ることのできるケースがあるので、事前に移住候補地の支援内容は確認しておこう。とくに移住者向けの住宅取得に関しては、各自治体が支援に力を入れており、支援内容が予想以上に充実している制度もある。

筆者の住む東京・奥多摩でもいくつかの移住支援の施策が用意されているが、なかでも「0円空家バンク」制度では、登録された物件をなんと無料で譲り受けることができる。また、福島県喜多方市では、移住のタイミングで新築物件を購入すると、最大400万円もの費用を補助してくれる制度があったり、子育て世代の移住を推奨する茨城県境町では、家賃5.2万円の新築戸建住宅が20年間住み続けるともらえたりする。

一方、意外な方法で支援してくれる自治体も。とくにユニークなところでは、秋田県にかほ市が県外からの移住者に70万円を交付したうえで「定住世帯温泉無料パスポート」を支給。これを使うと市内の温泉施設の日帰り入浴料金が家族全員無料となる(1年間)。

他にも、空き家や空き店舗を活用して出店する際の物件購入費や改装工事費に対して最大360万円もの補助金が交付される石川県かほく市や、移住して新幹線通勤をする40歳未満の人に定期代として月額最大2万円を補助する埼玉県熊谷市、市外からの転入で3年以内に家を持てば、米1俵がなんと10年間、継続してもらえるという岐阜県飛騨市の制度もある。

こうした支援を最大の目的に移住を決定するという人は少ないかもしれないが、いただけるものはしっかりいただけるよう、情報収集に努めたい。自治体を窓口とすればこうした補助金、支援金の情報にも間違いなくリーチできるはずなので、おおいに活用するべきだろう。

四季を見ることで後悔を防ぐ

下調べもそこそこに、その土地に縁を感じたことを最大の理由に思い切って移住した、という移住成功者を筆者はたくさん見てきたし、移住にはそのような思い切りが大切だと強く感じている。

しかし、できる限りよく調査してから決めたいという人には、その土地を見定めるポイントとして「四季を見る」ことをおすすめする。たとえば海辺や川べりなどは、夏に訪れると最高の雰囲気を感じることができるだろうし、緑に包まれた山のふもとなら、秋には素晴らしい紅葉が期待できるだろう。

だが、そんなベストな季節だけでなく、真逆の季節、つまりオフシーズンを事前にチェックしておく。そうすれば、移住後にイメージと違って後悔した、なんていう事態は避けられるかもしれない。もし可能なら、四季それぞれの土地の表情を確認しておけば、移住後の暮らしがよりイメージしやすくなるだろう。

家探しは「直接交渉」が有効

家探しは、移住の楽しみであり、また移住を難しくする最大要因のひとつでもある。土地を購入して新築を建てるという人は別として、中古物件を購入するとか、貸家を探すといった想定なら、どうやって理想の物件にたどり着くかが大きな問題となってくる。

都市部で引っ越すなら、物件情報サイトを活用したり、現地の不動産会社に紹介を依頼したりするのが一般的だろうし、それで十分に事足りる。ところが田舎であればあるほど、こうした方法での家探しは難しくなる。

試しに○○県○○郡○○町と、田舎と思われる実在の地域を指定して物件情報サイトで検索してみるといい。その地域にも空き家はあるはずなのに、驚くほど情報がヒットしないはずだ。

現地の不動産会社に行けば、こうしたサイトに登録されていない物件を紹介してもらえる可能性は高まるが、そのような努力を何度重ねても目当ての物件が見つからないということが実は意外に多い。

空き家は確かにあるはずなのに、なぜ情報が出てこないのか。それは物件を所有する人が、貸したがらないというケースがとても多いからだ。都会の感覚では想像しにくいかもしれないが、赤の他人に家を貸すのはちょっと不安だし、賃料収入は求めていないというオーナーが田舎には多いのである。

ゆえに、有効なのは「直接交渉」である。目当ての土地を歩き、興味のある物件が空き家のようであれば、近隣の人に訊ねるなどして所有者を探してみるのだ。そうやって探し出した所有者に、直接、貸し出してほしいと交渉して家を借りてしまったという人と、筆者は何度も出会っている。

このように、不動産会社に登録されておらず、良質なのに空いているという物件が地方には少なくない。現地で直接交渉するという手法は、田舎の家探しにおける常じょう套とう手段だ。礼儀だけは忘れずに、ちょっとした勇気を持って交渉してみよう。

* * *

後編では、実際に移住した後の人間関係や子育てについて体験談も含めて紹介する。

写真/shutterstock

お気軽移住のライフハック100

宇都宮 ミゲル

2022年5月26日発売

1,760円(税込)

四六判/192ページ

ISBN:

978-4-7976-7412-5

新型コロナウィルスの影響で在宅での業務が増えたこともあり、現役世代を中心に「移住」に注目が集まっている。それは「全人生をかける」ようなものというよりは、仕事は現在のままに今より少しだけゆとりある暮らしができる地域へ、あるいは好きな趣味が楽しめたり、自然を感じられる環境へ……といったような、よりカジュアルな移住への志向といえる。

そこで、本書では地元住民との軋轢や想像以上の不便さ、想定外の生活コスト、子どもの進学など、移住にまつわる物理的、心理的、経済的ハードルを少しでも下げるような移住のあり方を、移住実践者たちの体験から得られた知識と共にご提案。移住に必要な心構えや、身につけるべきスキル、近所付き合いのコツなど、憧れの移住生活に役立つさまざまなライフハックを、多くの移住者に取材し、自身も移住した経験をもつ著者がずばり解説する。

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