そもそも「GORE-TEX」とは、W.L. Gore & Associates(以下、ゴア)社が開発した「生地」のブランド名だ。GORE-TEXブランドを理解するために、手短にその歴史を紐解いてみよう。
ゴア社は世界的化学メーカー・デュポン(Du Pont)社を退職したビル・ゴアとヴィーヴ・ゴア夫妻が、蛍石を原料とする化合物「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)」を独自に研究するために、アメリカ・デラウェア州で起ち上げた企業。
PTFEは耐熱性や疎水性、絶縁性に優れており、現在ではフライパンの表面の加工や、ケーブルの被膜などに使用されている。1969年、夫妻の息子のボブ・ゴアがこれを「薄く延ばす」実験に成功したことが、GORE-TEXファブリクス開発のきっかけになる。