「目玉の奪い合い」という言葉はSNSが出始めたころに、ユーザーの視聴時間をネット、テレビ、活字コンテンツなどが争ったときに形容されたものである。現在、その主戦場は「耳」に移ったようだ。
オーディオブック販売の国内最大手・オトバンク(東京都文京区)が運営する「audiobook.jp」は2019年からの3年間で会員数を3倍に伸ばして、現在250万人以上、登録書籍の数は数万冊を超える。オーディオブックとは本をナレーターらが朗読して録音、それをユーザーがパソコンやスマートフォンで「聴く読書」のための本のこと。同社には月額1000円で聴き放題となるサブスクリプションサービスがあるのが特長だ。
ではどんな「本」が読まれているのか、同社オーディオブックコンシェルジェを務めている羽賀抄子さんに案内をしてもらった。
同社はユーザーからの投票で「オーディオブック大賞」を選出しているが、今年の文芸部門の大賞と準大賞が次の2作だった。
『invert 城塚翡翠倒叙集』(相沢沙呼著、講談社)