十三夜の月の下、運命的な出会いを果たした二人の若者。
江戸の市中見回りを担う御先手組の幣原喬十郎(しではらきょうじゅうろう)と、盗人一味の新顔である千吉(せんきち)。
やがて二人は数奇な運命に導かれ、千吉が両替商・銀字屋利兵衛(ぎんじやりへえ)と名を変えた後も、くり返し相まみえることになります。
ある時は仇敵同士として、またある時は友としてーー。
月村了衛さんの本誌連載をまとめた新刊『十三夜の焰(ほむら)』は、幕府の金融政策にまつわるさまざまな事件を背景に、
時代に翻弄された二人の男の人生を約五十年にわたって描く時代小説です。
時代ミステリの面白さと人情ものの味わいが融合した新作について、月村さんにうかがいました。
取材・構成/朝宮運河 写真/織田桂子