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「なんでおちんちんってピーンってなるの?」子どもの無邪気な質問に、親の“反応”の正解は?

集英社オンライン / 2022年11月20日 11時1分

性教育アドバイザーで元泌尿器科看護師・のじまなみ氏が、我が子を性犯罪の被害者にも加害者にもさせないための「家庭でできる性教育」を手ほどき。『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)から一部抜粋、再編成してお届けする。(イラスト:おぐらなおみ)

なんで赤ちゃんてできるの?

「なんで赤ちゃんってできるの?」

ある日突然、子どもにこんな質問をされたら、答えられますか? この命のスタートに関する質問を、実に80% の子ども達が5歳までに親に尋ねてきます。

この質問を受けると、多くの親が「うちの子は早熟なのでは?」「愛情が足りていないからそんなこと言うの?」「私の子育てってうまくいってないの?」と考え込んでしまいますが、まったくそんなことはありません!



子どもが、命のスタートに興味を持つことは自然なことです。それを親に尋ねるということは、それだけ信頼されている証拠。むしろ、子育てはとてもうまくいっていると自信を持ってください! これはとても嬉しいことなんですよ。

子どもが命のスタートに関心を持つのは、自分という存在に関心を持っているのと同じことです。子どもは、自分の命のスタートを知ることで、生きていくための強い土台をつくろうとしているのです。

セックスがなければ、私たちはこの世に生まれてくることはなかったですし、目の前にいる子どももいません。だから親は命のスタートにタブーをつくるべきではないのです。命の話を、愛情を添えて伝えましょう。

もしそこにタブーをつくってしまったら、子どもの人生の土台は揺らいでしまいます。なぜなら、「性」は「人間としての軸」だからです。それが揺らぐと、自分を価値ある人間だと思えなかったり、寂しさから簡単に体を許してしまうような性行動に走ってしまうこともあるのです。

「なんで赤ちゃんってできるの?」の質問には、はぐらかさずに答えましょう。

例え多少間違った回答であってもいいんです。質問に一生懸命答えてくれるその姿を見て、子ども達は「受け入れてもらえた!」と感じ、満たされていきます。

そんな親の愛情と真剣さが子ども達の生きる土台をより頑丈にし、さらには何でも相談できる親子関係を築く第一歩になるでしょう。

その質問は突然に、しかも案外早く訪れます!(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より)

ドキッ! そんな時は「魔法の言葉」

「なんで赤ちゃんてできるの?」に留まらず、子どもはいろんな疑問をぶつけてくるものです。

「クリトリスって何?」「童貞って何?」と聞かれるのも珍しいことではありません。私自身も、こんな恥ずかしい体験が……。

私が小学生の頃、当時流行っていた「マンピーのGスポット」の意味がわからず、中学生の兄に質問をしました。兄は顔を真っ赤にして、黙って去っていきました。

しまった……! 聞く相手を間違えた!!

兄の顔色一つで〝その手〞の話だと一瞬にして察知し、その後しばらく気まずい思いをしたものです(笑)。

これと同じで、子どもは意味を知らないから質問するのです。だから、「おっと、レベルが高いな……」と大人が思ってしまうような言葉が飛んできてもおかしくありません。

実は、そんな時にこそ役に立つ「魔法の言葉」があるのです。

それが……

「いい質問だね!」

ドキッとしたら、一度深呼吸をして、こう答えましょう。

なぜこれが魔法の言葉なのか、理由は3つあります。

1つ目は、「親のドキッとした表情を隠せる」ため。
2つ目は「子ども達に受け入れてもらったと感じてもらう」ため。
そして、3つ目は「なんでそう思ったか、そこにフォーカスできる」ためです。

例えば、幼稚園から帰ってくるなり、「なんで赤ちゃんってできるの?」と聞いてきたら、実は、お友達に妹が生まれたから嬉しくなって聞いてきたのかもしれません。

「赤ちゃんってどこから生まれてくるの?」という質問なら、帝王切開のことを「お腹を切った」と聞き、こわいようなイメージを持ったのかもしれません。

また、「童貞って何?」と聞いてきたら、隠れてインターネットで画像や動画を見たのかもしれません。

「ぼくのちんちん、大きくなる?」と聞かれたら、誰かに嫌なことを言われたのかもしれないし、もしかしたら誰かにいたずらをされたのかもしれません。

「いい質問だね、なんで知りたいと思ったの?」と導くことで、子どもの「なんで?」の裏側にある理由に初めてアプローチできます。「なんで?」がわかれば、子どもの求めることを答えてあげたり、間違っていることを教えてあげたり、必要な対処ができますよね。

もし答えられない質問でも大丈夫。「調べておくから、後で答えるね」とつけ加えましょう。ただし! 子どもの興味関心は次々と移っていくため、親が回答の準備をした時には、質問したのを忘れていることも多かったりするものです(笑)。

でも、「どうせ忘れるからいっか!」ではなく、「この前、こういうこと言ってたよね?」と回答を伝えてあげましょうね!

魔法の言葉でピンチを乗り切って!(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より)

「一度きりルール」を心得よ

なぜ魔法の言葉が大事なのでしょう?

実は、性の話には「一度きりルール」というものが存在するからです。

子どもはとても敏感です。親の戸惑う表情を見逃しません。子どもの頃、親と一緒にテレビを見ている時に、「あぁ〜〜ん♡」なんてシーンがはじまって、家の中が北極のように凍りついた経験、ありませんか? 金縛りにあったがごとく動けないあの感じ……(笑)。

「私も知らんぷりしなくちゃ」「親にとって嫌なことなんだな」「これは聞いてはいけないことなんだ」と察した経験が誰しも一度はあると思います。先ほど書いた「マンピーのGスポット事件」もしかり。私は兄の表情一つで、二度と兄に性の話は聞かない! と決意したことを覚えています。

これと同じで、性に関する質問をした時に親がドキッとして黙り込んだり、アタフタしたりすれば、「これは質問してはいけないんだ」と子どもは思ってしまうのです。

また、「そんなこと聞かなくていい」と拒否されれば、このままでは親から嫌われる、怒られると思い、口も心も閉ざします。そして、そんな風に感じた子ども達は二度と性のことを親に聞かなくなります。いえ、「聞けなく」なってしまうのです。

性は人間の根幹となるものなので、他の話題に比べ、親が発する拒否感も、受け入れられないショックも大きいからです。親に頼れなくなった子どもが頼る先は……ご存知、「インターネット先生」です! その結果どうなるか?もうおわかりですよね。

こんな時こそ! 性教育

子どもを育てていると、「え!ウソでしょ?」とドキッとしたり、「何やってるの!?やめなさい!」とヒヤッとしたりする出来事に日々、遭遇します。ジュース満タンのコップをひっくり返してみる、くつしたを手に履いてみる……こんなシーンなら親は即座に適切な対応をするに違いありません。

しかし、そのシーンに〝性〞がからんでいたら? その場でうまい対応をするのは至難の技ですよね。

実際に親が出くわしたドキッヒヤッ体験を例に、子どもの行動をどう捉え、どう対処すべきかをお話ししていきますね。

おちんちんがピーン!

朝、4歳の息子を起こしたくて身体中をさすっていました。そうしたら、気持ちよかったのか、おちんちんがピーン! 私は気づかないフリをしていましたが、息子が自分で気づき、「ママ、なんでおちんちんってピーンってなるの?」と聞いてきました。アタフタするばかりでした。

こんな時こそアレを使いましょう。そう、「魔法の言葉」です。「いい質問だね!」を忘れなければ、どんなことが起きてもこわくありません。

親がアタフタしてしまったのは、勃起に卑猥なイメージを持っているからです。ですが子どもは、勃起を卑猥とは思っておらず、「なぜ体でこんなことが起きるの?」という科学の視点で捉え、質問をしているのです。「なんで雷ってピカッてするの?」と質問をするのと同じ感覚です。なのでみなさんも、勃起という生理現象を理解し、子どもに伝えてあげましょう。

勃起は、何もしなくても一日に何度も起こります。おちんちんの中にある尿道は陰茎海綿体で覆われていて、ここに血液が送り込まれれば勃起するだけの仕組みです。もちろんなんらかの刺激に反応することもありますが、性的な意味での勃起は二次性徴を迎えてから。当分先のことです。

4歳なら「カッコいいね」と褒めてあげてもいでしょう。ただし、「このことは外で話してよかったかな?水着ゾーンだったよね」と付け加えましょう。

そう、性は科学なのです!(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より)

保育士さんのおっぱいを……

5歳の息子は保育園のナツキ先生が大好き。ある日、家に帰ってくるなり、「今日ナツキ先生のおっぱいモミモミした♪」と嬉しそうに話してくれました……。

先生はどんな気分だったと思いますか? びっくりして何もできなかったのかもしれません。保護者や他の先生の手前、あからさまに子どものイタズラを拒否することができなかったのかもしれません。

おっぱいをモミモミすることは、間違いなく痴漢と同じ行為で、子どもだからといって許されません! 親がその事実を知ったのなら、子どものために、そして先生のために、行動しましょう。きちんと謝罪をする姿を見せてください。子どもは親の本気を見ています。そして、「水着ゾーン」という言葉を使って、「自分以外の人の胸を触ってはいけない」ことを理解させましょう。

先生だけではありません。お友達の胸を触ってしまったら、それこそ大事件! 幼い我が子が「加害者」にならないためにも、親の声掛けがとっても大切なのです。

これは「子どもの特権」ではありません!(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より)

性教育アドバイザーとして全国の保護者の声に耳を傾けると、本当にさまざまな性のお悩みに出会います。

「あるある! それはみんな経験していることだから悩まないで 」ということもあれば、「おっ新ネタ来ました! さてこれは腕が鳴るぞ」というエピソードまで、みなさん赤裸々に、ときに涙しながら語ってくださいます。

私はそこに、親からお子さんへの大きな「愛」を感じて、いつもとても幸せな気持ちにさせてもらっています。もしみなさんにお会いできる機会があれば、そんな「愛」のお話、ぜひ聞かせてくださいね。

お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!

著者:のじまなみ
イラスト:おぐらなおみ
デザイン:岡 睦、野村彩子(mocha design)
編集:小林裕子
協力:岩﨑美帆 向島千絵

辰巳出版株式会社
2018年12月18日初版発行

1540円(税込)

単行本(ソフトカバー)本文160ページ

ISBN:

4777822141

性教育アドバイザーで元泌尿器科看護師・のじまなみ氏が、我が子を性犯罪の被害者にも加害者にもさせないための「家庭でできる性教育」を手ほどき。全国で行われる講演会は常に「爆笑」と「涙」に包まれる著者のエッセンスを抽出した、子育て世代必読の書です。

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