毎年、11月も半ばを過ぎたこの時期になると、「そろそろだな」とクローゼットの奥からやおら引っ張り出す服がある。
トレンドなんか関係ない。
冬になったら着るんです!
何をって? ライダースだよ!
とっくに齢50を超えているが、いくつになっても中学生時代に頭をぶちのめされたパンクロックを愛し続ける僕にとって、ライダースの革ジャンとはそういうアイテムなのだ。
革ジャンをふんわり柔らかく、着心地抜群にしてくれる秘密のオイルを知ってますか
集英社オンライン / 2022年11月16日 17時1分
永遠の不良アイテム、革ジャン。高価なものも年季の入ったものも、大事なのは風合いと味だ。知る人ぞ知る目からうろこのお手入れ法とは……。
“上がり感”がある最高にかっこいい服だけに、
なかなか着ることができないジレンマ
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この時期、引っ張り出すMyライダース
なんてカッコつけてはみたが、毎年のシーズン中、実際にこのライダースに袖を通すのは、数回程度にとどまるのが常だ。
なぜならライダースはパンク好きの僕にとって、これ以上の服はないと思える“上がり感”があるアイテムである一方、残念ながら自分にはあまり似合わないという自覚もあるからだ。
語弊があるかもしれないが、ライダースは極めて着る人を選ぶ服だ。
男性に限って言えば、一番似合うのは若々しくて背が高くてスマートでキリリとした男前。
残念ながら、この僕は当てはまらない。
でもやっぱり涼風が吹く季節になると、もしかしたらそろそろ似合うようになってるんじゃないかな?という、万に一つの淡い期待とともに着てみて、「ああ、やっぱりなんか違う」と打ちのめされることになる。
僕がライダースについて、ジレンマに近い悩ましき気持ちを抱く要因は、理想とするお手本がカッコよすぎるからかもしれない。
ライダースジャケットはバイク乗り用の実用着として20世紀前半に生まれたが、ロックテイストなストリートウェアとしての印象が濃厚になるのは、1970年代のパンクムーブメントの頃。
ミュージシャンの中では、ムーブメントの核にいたセックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスのスタイルが一際目を引く。
パンク神の化身のようなシド・ヴィシャスは、いくつかのライダースを愛用していたが、特にショットの「618」など、裾にベルトが付いたアメリカ仕様のライダースがお気に入りだったようだ。
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シド・ヴィシャス(CD「Sid Lives」)
ザ・クラッシュの面々も、ライダースの着こなしは完璧だった。
フロントマンのジョー・ストラマーは、腰の両サイドに2本ずつのアジャスターベルトが付いたロンドン仕様のライダース、ルイスレザーズの傑作「ライトニング」を愛用していた。
シド・ヴィシャスやラモーンズが着ていたのと同じ、
ショットの大定番「618」
彼らロンドンパンクに先駆け1970年代前半に登場したニューヨークパンク勢、ラモーンズやジョニー・サンダース、パティ・スミスなどのライダーススタイルもお手本になる。
ライダースファッションの歴史をもっとさかのぼると、1960年代のアンディ・ウォーホルのスタイルに象徴されるアート界やハリウッドでの流行、さらに1950〜60年代のアメリカのバイカーズ及びイギリスで流行したロッカーズスタイルへとたどり着くのだが、蘊蓄を語り出すとキリがないのでこのへんにしておこう。
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ラモーンズのボーカリスト、ジョー・ラモーン photo:Jkelly
クローゼットの奥から引っ張り出した、僕のライダースの話だ。
僕のライダースはショットの「618」。
シド・ヴィシャスやラモーンズのメンバーも愛用していた、定番中の定番である。
買ったのはかれこれ20数年も前だが、そもそも古着屋で購入しているので、製造年代はよくわからない。
革ジャンはファッションアイテムの中でもマニアが多く、タグや微妙なデザイン・縫製の違いなどから製造年代を割り出す人もいるけど、僕はモノ系マニアではないので、そのあたりはわからないままでよしとしている。
ラモーンズやシド・ヴィシャスと同じだぜと思って喜んで着てはいるが、そもそも彼ら自身が自分のライダースのブランドや型番を詳細に語ったことはなく、実は形のよく似た他社製品であるとか、名もなきメーカーの模造品だったのだとか諸説あるので、そこを追求してもあまり意味がないのだ。
で、僕のライダースは前述のとおり、やや宝の持ち腐れ状態なので、いつまで経ってもあまり傷まない。
特にパンクスのライダースといえば、着込みに着込んでヨレヨレになった形がベストなので、僕もたまに着る際にはわざとラフな扱いをしたりするのだが、なんせ着る回数が少ないのでなかなか味は出てこないのだ。
でも、タンスの肥やしにしていても、本革製品のライダースは徐々に経年劣化していく。
年間の気温や湿度の変化にさらされるためか、表面の油が抜けて革がカピカピに硬くなってくるのだ。
着込むことによって生じる味とはまったく異なる、そうした変化はあまり好ましくないので、シーズンが来てクローゼットから引っ張り出したライダースに、僕はまず、あるお手入れをすることにしている。
硬くなった古いライダースに潤いを与え、
最高の着心地に仕上げる「STRONG OIL」
ここまで読んだ革ジャン好きの中には、「ははあ、アレのことね」とピンと来た方もいるだろう。
僕がライダースのお手入れに使っているのは、ミズノが野球グローブの手入れ用としてリリースしている保革剤「STRONG OIL」だ。
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ミズノの「STRONG OIL」
もちろん、本来、革ジャンのお手入れには、専用のレザークリームやオイルを使うべきだ。
特に高価な新品を買って間もない人などには、“野球グラブ専用”とされている「STRONG OIL」など、決しておすすめすることはできない。
「STRONG OIL」を使うべきなのは、僕のような製造から何十年も経過し、油が抜けて革が硬くなっている古革ジャンを愛用している人に限られる。
シーズン到来後、数ヶ月ぶりにクローゼットから取り出したライダースの表面に、「ストロングオイル」をたっぷり塗りつけ、指で伸ばして馴染ませるように揉んでやるとアラ不思議。
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「STRONG OIL」を塗っていく。指でやるのが一番手っ取り早い
皮の表面は潤いを取り戻してツヤツヤと輝き、そしてフンワリと柔らかくなる。
分厚い革ジャン特有の、着るものを拒むかのようなゴワつきやツッパリ感もなくなり、着心地抜群になるのだ。
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左半身だけ塗ったところ。違いがお分かりいただけるだろうか?
僕が「STRONG OIL」を好むもうひとつの理由は、その香り。
塗りたての革ジャンから漂うのは、子どもの頃に使っていた野球のグローブそのもののちょっと甘い香りだ。
大人になってからも野球に親しんでいる人は別に何も感じないのかもしれないが、子どもの頃にだけ友達と野球をやって遊んでいた僕のような者にとっては、なんとも郷愁を誘う、懐かしくも優しい香りなのだ。
とはいえそこまで強烈ではなく、塗ってから数日もすると飛んでしまうので、香りが苦手な人でも問題はない。
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全部塗り終わった。ツヤツヤになってライダースも喜んでいる
さて、偉そうに「STRONG OIL」の良さをとうとうと語っているが、実はこのオイル、革ジャン好きの間ではすでにかなり広く普及している。
数年前、革ジャン愛好家としても知られるかの所ジョージ氏がメディアで、「これまでいろいろなオイルを使ってきたけど、これがベスト」というお墨付きとともに紹介したことがきっかけだ。
所さんは、これを使ってフニャフニャに柔らかくした革ジャンは、重さも感じにくくなると言う。
確かにそうなのだ。
ライダースのような重厚な革ジャンは、一日中着ていると肩がカチコチにこるほど重く感じられることもあるが、この「STRONG OIL」を使うようになってからは、あまり重いと思わなくなった。
もちろん、柔らかくしても重量が変わるはずはないけど、どうやら主観的な重さというのは硬さから生じているようなのだ。
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こんなに柔らかくなる
ミズノの「STRONG OIL」、もしまだ使ったことがないという人はぜひお試しあれ。
ただし、あくまでも自己責任で。
何しろ“野球グラブ専用”なのだから、メーカーも筆者も何かあったとしても責任は負えませんので、悪しからず。
画像・文/佐藤誠二朗
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