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Google初のスマートウォッチ・Pixel Watchレビュー。1ヶ月使ってわかった「いいところ」と「残念なところ」と「Apple Watchとの決定的な違い」

集英社オンライン / 2022年11月22日 15時1分

コロナ禍において、ヘルスケア/フィットネスを自己管理するためのデジタルデバイスとして一気に関心を集めた「スマートウォッチ」。今秋にはGoogleが初の純正スマートウォッチ「Google Pixel Watch」を発売した。筆者が1ヶ月使って見えた同製品の特徴と、最大のライバルであるApple Watchとの違いをレポートする。

Googleが純正スマートウォッチを発売する背景

Googleはこれまでに「Wear OS」という独自のウェアラブルデバイス向け基幹ソフトウェアを提供してきました。Wear OSは有名な腕時計やIT通信機器のメーカーによるスマートウォッチに広く採用されていますが、Googleが自社で手がけるスマートウォッチは、「Google Pixel Watch」(以下、Pixel Watch)が初めてです。



Googleはなぜ今、独自にスマートウォッチを商品化したのでしょうか? その理由は複数あると筆者は考えています。

まず、米国や日本で好調を維持するスマートフォン「Google Pixel」シリーズを足がかりに、今後も堅調な成長が期待できるヘルスケア/フィットネス市場に本格進出するのであれば、いまが一番の好機とGoogleは判断したのでしょう。

秋に東京で開催された「Google Pixel 7」シリーズ、「Google Pixel Watch」の発表会にはCEOのスンダー・ピチャイ氏も来日。Pixelシリーズが日本でとても好調であることをアピールしていた

同社の強みは、スマートスピーカーである「Nest」シリーズや、Googleアシスタントと連携する外部パートナーのスマート家電機器による「強力なエコシステム」があることです。

このエコシステムにPixel Watchによって取得されるユーザーのヘルスケア/フィットネス情報がリンクすることにより、新しい独自サービスを生み出すこともGoogleは計画しているのかもしれません。

そのゴールを達成するために、Googleは大手フィットネスブランド「Fitbit」をグループ傘下に置きました。Fitbitのソフトウェアを活かした高精度なヘルスケアとフィットネスのトラッキング機能は、他社製品にはないPixel Watchの大きな特徴にもなっています。

なお、Pixel Watchの税込価格はWi-Fiモデルが39,800円、ウォッチ単体でのLTE通信に対応したモデルが47,800円。LTEモデルはKDDIとソフトバンクが取り扱っています。
Apple Watchの廉価モデル「Apple Watch SE」とほぼ肩を並べる「お値頃感」も魅力ですが、コスパ以外にも筆者がPixel Watchに注目したいポイントが4つあります。

Google初のスマートウォッチ「Google Pixel Watch」(右)とAppleの「Apple Watch Series 8」(左)

Google Pixel Watchの「ここが良かった!」

1つは、「とてもコンパクトで軽い」ということ。
サイズもコンパクトで約36gと軽量なため、装着したまま睡眠トラッキングに使っても比較的苦になりません。小さく軽量なスマートウォッチを探していた方には最適な選択肢だと言えるでしょう。

心拍数を常時計測。ヘルスケア機能も充実している

2つ目は、「Fitbit」アプリと密接に連携するスポーツウォッチとして優秀だということ。
本体は5気圧防水対応なので、雨や汗に濡れても安心して使用できます。「Fitbit」アプリにはワークアウト記録、心拍や睡眠を計測するヘルスケア機能が充実していますが、月額640円(年額6,400円)の有料サブスクリプションサービス「Fitbit Premium」に加入すると、健康や睡眠の状態にスコアを付けて把握できたり、日本語による解説付きのワークアウト、心を落ち着けるためのマインドフルネスの動画トレーニングなどが実践できます。

3つ目は、Suicaでの支払いに対応した店舗などで、Pixel Watchによるタッチ決済が使えることです。VISAとMastercardによるタッチ決済もサポートしています。
一方で、Suicaの利用については定期券やクレジットカードによるチャージに非対応だったりと、守備範囲が広いApple Watchのタッチ決済に比べるとまだまだ発展途上な部分が残されているので、Googleによる今後のアップデートを期待したいところです。

Suicaによるタッチ決済。交通機関や対応店舗での支払いに利用可能

4つ目は、Googleが手掛けるエンターテインメントサービスとの優れた連携力です。
たとえば、Pixel Watchにワイヤレスイヤフォンを接続するだけで、「YouTube Music」でサッと好きな音楽を聴くことができます。
Pixel Watchの内蔵メモリーに楽曲を一時保存できるので、Wi-Fiモデルでもオフライン再生ができる点もうれしいところ。筆者はスマホを持たずに近所の公園に出て、Pixel Watchで音楽を聴きながらジョギングしています。

また、Google Playストアからサムスンが開発する「ブラウザ(Internet Browser)」アプリをダウンロードすると、Pixel WatchからさまざまなWebサイトにアクセスできるようになります。
もちろんYouTubeの動画も視聴可能。4G LTEモデルであれば、手元にスマホがなくてもPixel Watch単体でYouTubeの動画を再生したり、ジョギングしながら動画の音声をラジオのように聴いて楽しめます。

「YouTube Music」の楽曲を内蔵メモリーに一時保存すれば、Wi-Fiモデルでもオフラインで音楽を楽しめる

このようにPixel Watchには優れた面がいくつかありますが、購入するうえで、特に気をつけておきたい注意点があります。
それは、ペアリングして使えるスマホが、GoogleのAndroid 8.0以上を搭載するデバイスに限られることです。
「Google Pixel」シリーズでなくてもよいのですが、多くのユーザに普及しているiPhoneとの組み合わせに対応していないところは難点です。

Apple WatchもiPhone以外のデバイスと組み合わせて使えないので、「お互いさま」と言えるかもしれませんが、従来のWear OSを採用するスマートウォッチは、iOS版アプリを介してiPhoneと接続することができただけに残念です。
Wear OS搭載スマートウォッチから、Pixel Watchに買い換え・買い増しを検討している方は、特にご注意ください。

最大のライバル・Apple Watchとの違い

現在Apple Watchを使っていて、これからPixel Watchを買い足したり、乗り換えを考えている方に、筆者が感じた決定的な「Apple Watchとの違い」を2点お伝えしたいと思います。

まずワークアウト記録については、Pixel WatchとApple Watchで使い勝手が大きく異なります。
Apple Watchの場合、ユーザーがウォーキングやランニングなど一部ワークアウトを開始・終了するとウォッチが通知してくれます。
一方、Pixel Watchには通知の機能がなく、一部ワークアウトをユーザーが開始・終了すると「Fitbit」アプリに自動で成果を記録します。記録の精度は高いので、ワークアウトの成果が無駄になることは少ないのですが、長くApple Watchを使っている筆者はこの“全自動”な感覚になかなか慣れることができません。

ワークアウトの成果は「Fitbit」アプリに記録され、詳細を確認できる

もう1つはバッテリー性能です。
GoogleはPixel Watchのバッテリー性能に関して「1回の充電で最大24時間」と公表していますが、筆者の感触では、普通の使い方でも22時間あたりで限界が来るように思います。睡眠管理のために夜眠る前に充電して装着した場合、翌朝には15%前後バッテリーが減っていて、夕食を済ませた後には残量があとわずかになる速度感です。

より長く使うためには、Pixel Watchの機能である「バッテリーセーバー」をオンにして、ディスプレイによる消費電力を節約しなければなりません。
一方、最新モデルであるApple Watch Series 8では、さまざまな機能を使える状態に保ちながらバッテリーを延命させる「低電力モード」を搭載しています。その点を考慮すると、バッテリー性能に関しては、Apple Watchのほうが優れていると筆者は感じました。

「バッテリーセーバー」をオンにすると、内蔵バッテリーの消費を抑えられる

Wear OSは、スマートウォッチを手がけるGoogle以外のメーカーにも開放されているため、各社から個性的なスマートウォッチが生まれやすい状況にあります。

Googleのコンセプトに共感するところは多々ありますし、実際にWear OSを搭載するスマートウォッチは多様性に富んでいて魅力的です。
ただ、その反面、同じWear OS搭載のスマートウォッチでも仕様や使い方が異なる場合が多々あります。世代を超えて基本的な使い方を統一しているApple Watchの場合、ユーザーが互いに便利な使い方やアプリを共有できることが大きな強みであると言えます。

とはいえ、Androidスマホのユーザーにとって、Pixel Watchは最新のWear OSによるヘルスケア/フィットネスの体験を満喫できるとても魅力的なデバイスだと思います。
特に、まだスマートウォッチの恩恵を味わったことがない人には、入門機としてぜひおすすめしたいです。


文・写真/山本敦

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