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『ミズ・マーベル』『シー・ハルク』『ソー:ラブ&サンダー』…。本格ホラーにも挑戦するMCUの新たな方向性と世代交代

集英社オンライン / 2022年11月23日 17時1分

11月11日より最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の公開が開始された「マーベル・シネマティック・ユニバース」(以下、MCU)。30作目を数える本作に注目が集まるが、近年はドラマシリーズもストーリーラインに絡み、「追いきれていない」という人も多いのではないだろうか。そこで、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』でよりよいフェーズ4の見納めとしていただくべく、フェーズ4以降、約2年で実に18作品にも上るMCU作品を紹介する。第3回のテーマは、いよいよ最新作『ワカンダ・フォーエバー』につながる激動のストーリーラインだ。

あのキャラクターの「辛すぎる変貌」

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※以下、『MoM』の序盤のネタバレを含みます。未鑑賞の方は十分に注意してください。
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2022年5月に公開された映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(以下、MoM)。ここでいよいよ「マルチバース」がタイトルにも入るようになった。フェーズ4以降が「マルチバース・サーガ」と呼ばれる由縁でもある。

フェーズ4の山場の一つである『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で、基準世界をマルチバースへと接続してしまった「ドクター・ストレンジ」こと天才外科医スティーヴン・ストレンジ。そんなストレンジの前に、マルチバースを物理的に移動できる能力を持つアメリカ・チャベスが現れる。ちなみに、アメリカは『ホークアイ』のケイト同様、原作ではヤング・アベンジャーズの一員だ。

ドラマシリーズ『ロキ』のように、『MoM』でも複数のストレンジが登場。死んでしまったストレンジも、悪に染まったストレンジもいる。

『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』ディズニープラスで配信中 ©2022 MARVEL

MCU基準世界にさまざまなマルチバースのキャラクターが入り乱れる展開はフェーズ4では珍しくなくなったが、最大の特徴は、長年アベンジャーズの一員として活躍してきたスカーレット・ウィッチ=ワンダが、序盤から本作のメインヴィランとして立ちはだかるという点だろう。

フェーズ4の1作目であるドラマシリーズ『ワンダ・ヴィジョン』に登場した闇の魔術書「ダークホールド」の力に魅了され、堕落。最凶の魔術師として、残虐な行いも躊躇しない。

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※以下、『MoM』の重要なネタバレを含みます。未鑑賞の方は十分に注意してください。
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やはりマルチバースという自由度からか、スパイダーマン同様、これまで配給会社が違ったことなどからMCUに合流できなかったX-MENの主要キャラクターも登場。しかし、ワンダにより悲惨な最期を遂げるなど、これまでマーベル作品やMCUを観てきた者にとっては胸の痛い展開も多い。

ワンダに軒並み倒されていくことを除けば、MCU基準世界に既出、あるいは今後登場予定のキャラクターが顔見せをしてくれることはポジティブでもある。なお、倒されたのがマルチバースのキャラクターか、MCU基準世界のキャラクターなのかは、今後も含めて気をつけて観る必要が出てきたとも言える。

なお、ワンダの変貌は、家族や恋人の死など、辛すぎる出来事が続いたあまり、失った幸せを、その強大な力で取り戻そうとしたために起きたことだというのは、忘れてはならないだろう。

「アベンジャーズオタク」が大活躍

引き続き新キャラクターの登場が活発なドラマシリーズ。2022年6月に配信開始された『ミズ・マーベル』は、マーベル初のムスリム女性のヒーローでもある。

その能力は原作コミック(体を巨大化できる)とは異なり、「魔法のバングルから発生する宇宙エネルギーを利用し、構造物を作成する」というもの。MCUのミズ・マーベルの特徴は、彼女自身が「アベンジャーズオタク」という点だ。

1作目の公開からおよそ20年が経つMCU。今や、作中でも「フォロワー」が生まれているのは、むしろファンこそ頷ける変化だろう。本記事でヤング・アベンジャーズの話題が何度か登場しているが、これも世代交代を思わせる展開だ。

『ミズ・マーベル』ディズニープラスで配信中 ©2022 MARVEL

ドラマつながりで、2022年8月に配信開始された、二つのドラマ作品を紹介しておく。一つは『アイ・アム・グルート』。ただしこれは5分の短編で、作中の時系列としてはフェーズ2の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以下、GoG)後の出来事を描いている。

ベビー・グルートが鉢から踏み出す初めての一歩はシンプルにかわいい。フェーズ5の『GoG』第3弾への期待も高まる。

なお、『GoG』関連で言えば、フェーズ4作品の一部として『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』というタイトルのドラマが、11月25日に配信開始予定。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でガモーラを失ったピーター・クイルに、GoGメンバーが「忘れられないクリスマスを過ごしてもらうために奮闘する」ストーリーだという。

もう一つ、8月に配信開始されたドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』には、女性のハルク「シー・ハルク(=ジェニファー・ウォルターズ)」が登場。

ハルクといえば粗暴で、知的とは言いがたいキャラクターだったが、本作ではその正体である天才科学者のブルース・バナーが理性を保てるようになったことで「スマート・ハルク」になっている。

そんなスマート・ハルクとの訓練により、弁護士であるジェニファーも、変身後ある程度、ハルク由来のパワーのコントロールができる設定だ。

ジェニファーは弁護士とヒーローを“両立”する稀有なキャラクターで、視聴者に話しかける「第四の壁」を越えられる。これはフェーズ5でMCUに合流予定のX-MENの「何でもあり」ヒーロー・デッドプールと同じ特徴だ。

ちなみに、本作ではMCU2作目の『インクレディブル・ハルク』(2008)と、なぜか脈絡なく昨年公開された『シャン・チー』に登場した、アボミネーションが登場する。

『シー・ハルク:ザ・アートニー』ディズニープラスで配信中 ©2022 MARVEL

2022年10月に配信された特別ドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』もまた、『アイ・アム・グルート』とは別の方向性で毛色が違う作品だ。

人狼になる呪いをかけられたモンスターハンターであるジャック・ラッセル=ウェアウルフ・バイ・ナイトや、同じくモンスターハンターのエルサ・ブラッドストーンが登場。こうした本格的なホラーやサスペンス要素は、1930~40年代のホラー映画にインスパイアされているという。

「マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション」という試みの一環で、MCU世界に含まれることが公表されている。このように、MCUではその方向性も含め、さまざまなチャレンジがなされていくことがはっきりした。

そして最新作『ワカンダ・フォーエヴァー』へ

最後に紹介するのは、映画作品としては最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の直前の作品となった『ソー:ラブ&サンダー』(2022年7月)。

基本的に一人のヒーローの単独作はこれまで第3弾までしか制作されなかったが、『ソー』シリーズのみ、これが第4弾となる。

映画の予告などでビジュアルを観て、ホッとした人も多いのではないだろうか。『エンドゲーム』で自暴自棄になって太り、筋肉質な体が見る影もなくなってしまった雷神・ソーは、すっかり元通りになっている。関連して、一緒に宇宙へと旅立つ描写があった『GoG』の面々も登場するのがうれしい。

そんなソーの元に集い、戦うのは、コーグやヴァルキリー、元恋人のジェーンらかつての仲間たち。本作ヴィランであるゴアの目的が「神殺し」とあって、MCU世界における「神」の存在が掘り下げられていることにも興味が尽きない。

作中でも武器や能力が「引き継がれる」ところが複数にわたり描かれて、これまで紹介してきた作品同様、フェーズ4の大きな特徴はやはり“世代交代”であったとまとめることができるだろう。

最新作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエヴァー』も、描かれるのはブラック・パンサー=ティ・チャラ亡き後のワカンダ。ティ役のチャドウィック・ボーズマンが大腸癌で亡くなったという悲しいニュースがきっかけとなったストーリーだが、結果的にはフェーズ4の大きな流れに沿っていると見ることができるのではないか。

『ソー:ラブ&サンダー』ディズニープラスで配信中 ©2022 MARVEL

ここまでMCUをフォローしている人も、フェーズ4以降追いきれなくなってしまった人もいるはずだ。本記事をきっかけに、前者には振り返りとして、後者には大きな流れを掴んでいただければうれしい。

超文明国ワカンダは、ブラック・パンサーは、どのように“引き継がれる”のか。
フェーズ4最後の映画作品となる本作から、否が応にも目が離せない。

「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」11月11日(金) 全国劇場にて公開 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン /©Marvel Studios 2022

文/あまのなお


『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)
■監督:ライアン・クーグラー
■製作:ケヴィン・ファイギ
■出演:レティ―シャ・ライト 他
©Marvel Studios 2022

ヒーロー映画として異例のアカデミー賞®3冠、作品賞も初ノミネートを果たし、全世界で社会現象となった「ブラックパンサー」の待望の続編。
国王とヒーロー、2つの顔を持つティ・チャラを失ったワカンダ国に海の帝国の脅威が迫る。
ティ・チャラの妹であり天才科学者のシュリたちは、この危機にどう立ち向かうのか。
そして、新たな希望となるブラックパンサーを受け継ぐ者は誰なのか…。
未来を切りひらく者たちの熱き戦いを描いた、ドラマチック・アクション超大作が始まる。

11月11日(金)全国劇場公開
公式HPはこちら

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