1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

勝機は“面白くなかった”頃の岡田ジャパンの再現にあり。森保ジャパンがドイツ戦で「番狂わせ」を起こす条件

集英社オンライン / 2022年11月23日 10時1分

今日、11月23日にW杯初戦を迎えるサッカー日本代表。相手は強豪・ドイツで、苦戦は必至と目されているが、チャンスがないわけではない。番狂わせの条件を探った。

最後までチグハグだった森保采配

11月17日、ドバイ。森保一監督が率いる日本代表は、カナダ代表に1−2と敗れた。アディショナルタイムでのPK献上は、最悪に近い結末だった。

ただし、カタールW杯直前の試合だけに調整の意味合いは大きく、結果を論じてもあまり意味はない。そもそも、カナダ戦の先発メンバーで、23日に行われドイツとの開幕戦に出場する選手は2、3人程度。主にコンディション面のテストだった。

浅野拓磨は2ヶ月ぶりの試合で完全に空回りしていたが、板倉滉が順調に回復し、計算が立ったのは収穫だ。



とはいえ、森保監督の采配に関して言えば、過去1、2を争うほどチグハグだった。選手の特性に合ない起用法だけでなく、最後の5バック変更など、ひたすら個性を潰しているように見えた。

しかし、もはや賽は投げられたのだ。
はたして、森保ジャパンは強豪ドイツ戦で勝ち点を拾えるのか。
番狂わせの条件を探った。

格上のドイツ相手にどう戦うか


まず、4度の世界王者であるドイツは、日本よりも格上である。1982年から2014年のW杯まで9大会連続でベスト8以上。前回の2018年W杯こそ、グループリーグで敗退したが、それまでは日本が悲願とするベスト8を軽くクリアし続けてきた。

言うまでもなくドイツは、戦力的に日本を上回る。世界に冠たるバイエルン・ミュンヘンのヨシュア・キミッヒ、トーマス・ミュラーなどを中心に、欧州チャンピオンズリーグの強豪、ボルシア・ドルトムント、ライプツィヒの「国内組」で構成。他にプレミアリーグの有力クラブ、チェルシー、マンチェスター・シティの主力を擁する。

ただ、フランクフルトでヨーロッパリーグの立役者になった鎌田大地など、日本代表の中にもドイツに立ち向かえる戦力がないわけではない。分は悪いが、日本はひるむことなく戦うべきである。

真っ向勝負も面白い。日本は選手のキャラクター的には、高い強度で守り、カウンター一辺倒になるよりも、俊敏性と技術をコンビネーションで融合させたプレーを得意とする。彼らを束ねることで、十分に勝機もあるはずだが……。

ここでポイントとなるのが「森保のサッカー」だ。誰がなんと言おうとも、森保監督は己を曲げずに挑むだろう。

「全然、面白くなかった」頃の岡田ジャパンの再現

選手の良さを引き出すのではない。守りありきで、相手に自由を与えないよう、とにかくハードワーク。リスクをかけず、カウンターを狙い、「石橋を叩いて渡る」リアクション戦術を敢行する。それを運用するための26人のメンバーだ。

森保ジャパンは、とにかくプレッシングをかける。はまらなかったらリトリートし、辛抱しながら隙を窺い、消耗戦に持ち込む。自分たちがボールを持ってリズムを作ることは二の次で、「負けない」ための戦いに終始するのだ。

2010年南アフリカワールドカップ、岡田武史監督が率いてベスト16に進出した日本代表にコンセプトは近いだろう。今回はハイプレスも準備しているはずだが、強豪にはなかなか通じないだろうし、逆襲を受けるリスクもある。結局は「籠城出撃戦」になるだろう。

かつての岡田ジャパンでは、田中マルクス闘莉王、中澤佑二のセンターバックの前に、アンカーで阿部勇樹を配置。中央の守りを分厚くし、サイドの「城門」も閉じ、全員でブロックを作った。頑強に城に立てこもりながら、機を見て奇襲をかけ、敵の本営を脅かした。

「全然、面白くなかったよ」

岡田ジャパンでFWの一角を担った大久保嘉人は、徹底した堅守カウンターの戦いをそう振り返っている。

「でも一発勝負と決め込んでいたから、楽しくなくても問題なかった。選手は監督の決めた戦術に合わせて動くべきで、それを徹底的に貫いた。そこまで割り切らんと、あそこまで俺はディフェンスしない(苦笑)。

前でボールを呼び込みたかったけど、突破されるのを承知で戻らないわけにはいかないっしょ。ひとりでもわがままなプレーをしたら破綻していた」

森保監督は、その再現を目指すだろう。いや、そうならざるを得ないのだ。

サッカーは最も多く番狂わせが起きるスポーツで、彼我の戦力差を考えた場合、「籠城出撃戦」は定石と言える。その運用で求められる三つの要素がある。

「速さ、もしくは強さ」
「連続性」
「献身性」

単純に身体的な速さ、強さ、あるいは高さでも完全に負けられない。どこまでも相手に食いつき、チャレンジ&カバーを一瞬でも怠らず、長い守勢の中でも、カウンター攻撃にギアを入れる連続性が求められる。かなりの肉体的、精神的な消耗があり、全員の犠牲精神がなければ綻びが出る。なにしろ、耐え忍んで一撃を狙う戦い方だ。

ドイツ戦で日本代表が模範とすべきゲーム

その要素を具体的に落とし込むなら、以下の三つとなる。

「プレッシング、リトリートの併用で執拗な守備からのカウンター」
「ハードワーク」
「セットプレー」

プレッシング、リトリートを繰り返し、それぞれが球際で勝てないまでも負けないことが重要だ。上下動を繰り返しながら、カウンターで脅かし、セットプレーを取れるか。そうして0-0で推移できたら、交代選手の投入でゴールに持ち込むこともできるかもしれない。

例えば前田大然、伊東純也のような選手を消耗戦に使い、鎌田はできるだけ力をセーブさせ、上田綺世、久保建英で一気に勝負をかける――。

ただ、この仮説はあくまで楽観論に基づいている。

もし、例えば遠藤航が脳震盪の影響で万全ではなかったら、中盤の守備ラインは保てない。代わりとなるべき選手は、いないも同然だ。相手が開始15分で一気に強度の高い攻撃を仕掛け、それで失点した場合、すべての計算が狂う。カウンターは成り立たず、焦らされながら出ていったところを、再び失点するかもしれない。

ただ、それでも屈しないことだ。どの仮説であれ、偶然性を孕んでいる中、最後まで戦い抜くことでゲームは動く。

例えば、9月27日にネーションズリーグでイングランドはドイツと対戦しているが、守勢に回った戦いで、凡ミスからPKを与えて失点。ミスから2点目も失い、万事休すのはずだった。

しかし交代選手が奮起し、3点を奪って逆転。結局、ドイツの交代選手に失点を食らい、3-3のドローとなったが、闘志を持続させて相手の虚を突けた。

今のドイツは好調とは言えない。ここ7試合で2勝1敗5分け。11月17日のオマーン戦も1−0の辛勝で、高いボール支配率を誇りながらも攻め切れなかった。

今年9月のネーションズリーグでは、ホームで0-1とハンガリーに敗れている。CKをニアで合わされて失点。これで焦りが出たのか、ポゼッション率は7割以上に達しながら、攻撃にリズムが出なかった。

これこそ、森保ジャパンが模範とすべきゲームと言える。

ドイツは無敵ではない。カウンターの対応で後手に回ることがしばしばある。一方で、相手をノックアウトできるストライカーが不在で(エースのティモ・ヴェルナーもケガでW杯欠場)、決定打がないのも深刻な問題だ。

とにかく森保ジャパンは粘り強く戦うしかない。前線からボールを追い、しつこく守り、奇襲を浴びせる。創造性は乏しく、運を天に任すところもあるが、望みを捨てずに戦うことだ。

取材・文/小宮良之

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください