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箱根駅伝シード落ちの屈辱を経て生まれ変わった新・早稲田は「想定通り」。監督が語る名門復活の秘策とは

集英社オンライン / 2022年11月24日 10時1分

今年1月の箱根駅伝ではまさかの13位でシード権を逃した早稲大大学だが、今季は箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝と善戦し、安定感を高めている。箱根駅伝で総合優勝13回を誇る名門は復活できるのか?

全日本で「想定通り」のレース

この秋、早稲田大学の駅伝チームが善戦している。

10月の箱根駅伝予選会は4位で本大会出場を決め、11月の全日本大学駅伝は前回と同じ6位で翌年大会のシード権を獲得。それぞれ目標に掲げた「3位以内」にはあと一歩届かなかったものの、13位に終わった今年の箱根駅伝を思えば、復調の兆しは見えている。

11月6日の全日本大学駅伝でアンカーを務めた佐藤航希

全日本大学駅伝のレース後のことだ。

今年6月から指揮をとる花田勝彦・駅伝監督が、スマートフォンで選手の設定タイムが書かれた表を見せながら、レースを振り返ってくれた。



「前半区間は、他の大学にけっこう誤算があった中、うちは想定通りに進んだ。2区の井川(龍人、4年)は調子が悪かったけど、よくまとめました。

全体では8区間中6区間は想定通り。ただ、心配していた5区と6区は、ふたりで合わせて2分くらい悪かった。終盤の2区間は、区間順位は想定内ですけど、タイムは想定よりもよかったです」

箱根予選から3週間で臨み、疲労がある中、確かな手応えがあったのだろう。花田監督の声は明るかった。

求められる実力者たちの復調

花田監督が想定より悪かったという5区、6区は、それぞれ4年の小指(こざす)卓也、3年の菖蒲(しょうぶ)敦司が担った。だが、その苦戦は織り込みずみだった。

というのも、長期のケガをしていた小指はなかなか練習が継続できておらず、今回が2年時の箱根駅伝以来の駅伝レースだった。一方、菖蒲は今季の前半戦は1500mや3000m障害に取り組んでおり、長い距離に移行しようとした矢先、9月頭に新型コロナに感染、走り込みが不足していたからだ。

不安が的中し、全日本では振るわなかったものの、ふたりはチーム内では上位の実力者たち。

「箱根のことを考えたら、駅伝で一回起用しておきたかった。ふたりとも、練習しないと走れないというのがわかったと思う」

花田監督がそう話すように、箱根駅伝を見据えれば、決してマイナス要素というわけではなく、むしろ前向きに捉えることができた。

箱根予選会の後にも、花田監督は同じようにレースの振り返りをしてくれた。期待の1年生の山口智規が15km付近で立ち止まるアクシデントがあったものの、多くの選手がほぼ想定通りに走っていた。

10月15日、箱根駅伝予選会後の早大メンバー

レースごとに増す安定感

花田監督はコンディションなどを考慮しつつ、約1週間前に設定タイムや順位を選手たちに言い渡しているという。

例えば、今夏は例年以上にスタミナ強化を重視して走り込んでおり、9月後半は選手の疲労がピークに達していた。そのため箱根予選会は、コンディションが上がり切っていない状態で迎えていた。

実際、石塚陽士(2年)は、8月末にコロナに感染した影響もあって「6〜7割の状態」(花田監督)。本来であればエース格のひとりが、まだまだ本調子とはいかず、チーム内5番手の51位という成績だった。それでも、花田監督の想定は50位だったので、ほぼ想定内の順位だったというわけだ。

チームトップの井川に関しても「練習が7〜8割くらいしかできていなかった」と不安視しながらも、1時間2分35秒というタイムを課していた。結果は1時間2分39秒で9位(日本人選手2位)。花田監督の期待に応え、きっちりエースの役割を果たした。

もちろん、レースは気象などの外的要因にも大きく左右されるので、全員が全員、いい走りを見せられたわけではない。

それでも、指揮官の見立て通りの走りを見せる選手が、増えてきているのは確かだ。その割合も確実に上がってきている。指揮官が、選手たちの出力をうまくコントロールしていると言い換えることもできるだろう。だからこそ、選手たちも安定して力を発揮できている。

新・早稲田の伸びしろ

早稲田というチームは歴代、もともと能力の高い選手が多いため、これまでにもうまくハマったときにはものすごい爆発力を発揮していた。

また、瀬古利彦や渡辺康幸、大迫傑、はたまた現監督の花田といった多くのレジェンドランナーを輩出しているように、“個”の育成を重視しており、従来は“質”を追った練習(すなわちペースが速い練習)が多かった。

ただし、それゆえにその反動も大きかった。特に近年は、試合ごとに波があったのも事実だ。

「去年まで、相楽(豊)さん(前監督で現在はチーム戦略アドバイザー)がスピードを強化してきてくれたので、今年は、私のほうでスタミナ強化をやり始めた。これを2年、3年と重ねていけば非常に面白いチームになれるかなと思います」

花田監督がこう話すように、今の早稲田は伸びしろを感じさせる。

今季の前半戦は、井川の活躍ばかりが目立つことが多かったが、ここにきて、石塚、山口、伊藤大志(2年)、佐藤航希(3年)といった選手が本領を発揮し始め、箱根でポイントとなる区間を担える選手がそろってきた。

花田監督は「2年、3年と重ねていけば…」というが、2、3年後といわず、今度の箱根駅伝に向けても、箱根予選会、全日本大学駅伝からさらに上積みを望むことができそうだ。

取材・文・撮影/和田悟志

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