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「阪神が今季、3位に入れたのは彼がいたからこそ」鳥谷敬が挙げた選手名とは?

集英社オンライン / 2022年11月26日 15時1分

引退から1年。今季、グラウンドの外から野球を見てきた鳥谷敬氏は「フラットに見ることができるという意味ではよかった部分もありますが、やっぱり現役時代とは野球の見え方が全然違いました」と語る。解説者1年目を振り返ってもらった。

絶対的なセットアッパーに成長

――今シーズン、阪神タイガースの戦いを振り返ると、開幕からの9連敗もあり、借金は最大で16にまで膨れ上がりました。あの状況は想像されていましたか?

タイガースが、シーズン序盤にあそこまで苦しむとは、おそらく誰も想像していなかったと思いますね。苦戦するだろうと予想はしていましたが、最終的にシーズン68勝71敗4分と、まさか勝率5割に届かない結果で終わるとは……。



プロ野球界に長くいれば、ケガ人なく1年間戦力通りに戦った場合、どのチームが上位にくるかは、ある程度わかるものなのですが、この結果には正直、驚きが大きかったです。

昨シーズンは77勝56敗10分。わずかの差でリーグ優勝を逃したものの、優勝したヤクルトスワローズより勝利数は上回っていました。戦力的には、2020年から2年連続で最多セーブのタイトルを獲得したロベルト・スアレス投手が抜けたのが大きかったですね。

スアレス投手が在籍していた2年間は、チームとして8回までの戦い方を考えればよかったのですが、9回を任せられるストッパーがいなくなり、それができなくなってしまった。

コロナ禍の特例で、2020年は10回まで、昨シーズンは行われていなかった延長戦が今シーズンは通常通り実施されたこともチームにとって痛手でした。

さらに、新たなクローザー候補として獲得したカイル・ケラー投手の来日がコロナの影響で遅れ、見切り発車のまま開幕を迎えざるをえなかったことも、誤算だったと思います。

その結果、開幕戦ではリリーフ陣が7点差を守れず、ヤクルトスワローズに逆転負けを喫してしまいました。ひとつ歯車が狂ってしまうと、チームは、あそこまでバランスが崩れて勝てなくなるのだと、外から見ていて非常に勉強になりました。

――結果的には、タイガースはリーグ3位に滑り込んだ形になりましたが…。

ケラー投手の調子がなかなか上がらない時期に、頭角を現したのが湯浅京己投手でした。彼の台頭があったので、岩崎優投手が9回だけではなく、その前の回で登板する形もできました。

新人王こそ逃したものの、湯浅投手が絶対的なセットアッパーに成長したことが、タイガースがシーズン途中から盛り返せた最大の要因だと思います。

終わってみれば、チーム防御率2.67と、投手陣としては抜群の成績を残したと言えるのですが、それだけの力を持っていても、開幕までに形が決まらなかったことが最後まで響いてしまった。

そのあたりを開幕からしっかり整備できていた横浜DeNAベイスターズが2位に食い込んだという結果からみても、改めて試合終盤を任せるピッチャーの重要性を感じましたね。

解説者1年目を終えて

――鳥谷さん自身、現役を引退されてからもう1年が経ちましたが、どんな1年でしたか?

最高でした(笑)。この生活がずっと続いてほしいぐらいです。あっという間に時間が経った感じがしますね。実際に野球をやめるまでは、自分の日常生活にどれだけ野球というものが入り込んでいたのかさえ、わかっていませんでした。

朝起きて、まず身体のどこかが痛くないかをおそるおそる確かめる必要もないですし、仮に体調に不安があれば、休めばいいときもあります。野球のことを考えなくていい生活を送ってみて、いかに野球中心の毎日だったのかがよくわかりましたね。

現役を退いて、そのまま指導者になりたいと考える人もいれば、ゆっくりしたい人もいるでしょう。でも、自分は、現役のときから、引退したらゆっくりしたいと考えていたので、実際にその生活を送ってみてやっぱりいいなと感じています。

取材者としては、コロナ禍で練習を見ることもできず、満足に取材できない場合が多いので、本当にずっと野球と向き合いたいと思っていたら、ちょっとつまらない引退後になっていたかもしれません。

――そうは言いながら、解説や評論などのお仕事だけでなく、多方面での積極的な活動が目立っていますね。もっと、ゆっくりされるのかなと思っていました。

ありがたいことに、たくさんの方から声をかけていただいたので、経験していないことは全部やってみようというぐらいの気持ちで、いろいろなことにチャレンジさせていただいています。

自分自身は社会人野球を経験していないので、社会人野球チームのコーチをやらせていただいたのも、野球の違う一面を知ることができ、今までとは違った充実感がありました。

野球から完全に離れた仕事ばかりになってしまうと、感覚のズレも出てくると思うので、ある程度野球とも携わりながら、仕事を続けていきたいですね。

「ユニフォームを脱ぐとわからないことが多くなる」

――“外から見た野球”はどうでしたか?

実際にシーズンを戦っていると1年間はすごく長いですし、様々な局面があります。ユニフォームを着ている間は、選手の思いなどを直に感じることができたとしても、ユニフォームを脱いでしまうと、それがわからない状態で野球を見なければなりません。

フラットに見ることができるという意味ではよかった部分もありますが、やっぱり現役時代とは野球の見え方が全然違いました。チームの一員であれば、流れや雰囲気、あるいは練習している姿から、ある程度結果を予測することができるのですが、それが一切なくなったことで、本当に予想がつかないことが多かったです。

「今まではユニフォームを着ているからこそ、わかることがたくさんあったんだな」「ユニフォームを脱ぐとだんだんわからないことが多くなるんだな」と感じました。

この誤差が何年も積み重なっていくと、実際に野球界で起きていることと、解説や評論で言うことに差異が生まれてしまうのかもしれませんね。

――鳥谷さんの解説や評論は、評判がいいと聞いています。

いやいや…。それはもう今まであまり話をしてこなかった分、興味を持って聞いてもらえただけです。自分の解説や評論がすごいなんて、全く思っていないですよ。

心掛けているのは、プレーしている選手に敬意を持つことと、なぜそのプレーが起こったのかをわかりやすく説明することです。

選手を評価するのが解説だとは思っていないので、「鳥谷敬の解説はつまらない」と感じられる部分もあるかもしれませんが、自分の考え方はブレません。

解説を聞いた上で、チームや選手を評価するのはファンの方々だと考えています。ファンの方々に「この選手が好き」とか、「この選手をもっと起用してほしい」と感じてもらえるように、いいプレーに関しては、できるだけその素晴らしさを伝えたいと思っています。

――解説者・評論家としての手応えは感じていますか?

手応えですか…? まあ…、あるわけでもないし、ないわけでもないです(笑)。


構成/飯田隆之

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