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自由で幅広な日本美術ガイドに乾杯! 山口 桂『死ぬまでに知っておきたい日本美術』を片山杜秀さんが読む

集英社オンライン / 2022年12月11日 16時1分

小中高の12年間を暁星学園という男子校で過ごした。東京の都心にあるフランス系のミッション・スクール。制服はフランスの軍服をモデルにしていて、フランス語教育が行われ、校内をフランス人の修道士が闊歩していて、フランス人の大好きなサッカーが生徒に奨励されていた。“女人禁制のキリスト教的楽園”に7歳から18歳の年まで通った経験は、やはりかなり特殊である。

自由で幅広な
日本美術ガイドに乾杯!

小中高の12年間を暁星学園という男子校で過ごした。東京の都心にあるフランス系のミッション・スクール。制服はフランスの軍服をモデルにしていて、フランス語教育が行われ、校内をフランス人の修道士が闊歩していて、フランス人の大好きなサッカーが生徒に奨励されていた。“女人禁制のキリスト教的楽園”に7歳から18歳の年まで通った経験は、やはりかなり特殊である。そのことと別に関係ないのかもしれないが、一見おとなしそうで、実はこだわりが深く、わがままな、唯我独尊的な男の子が多かった気がする。遊び人の学校とも呼ばれていたが、むべなるかな。社会に出てから、その頃の友達に偶々ちらとでも会うと、何だかホッとする。少数派という自覚に呪縛されているせいだろう。


山口桂くんもそのひとり。同じ学年だ。付属の幼稚園から上がってきていたので、私よりも男子の園で年季を積んでいる。小学校のうちから背も高いし、既に今とあまり変わらぬ風貌だった。それから時を経た。山口くんは、世界をまたにかける美術品オークションの大会社、クリスティーズで重きをなしている。しかも日本美術が専門だ。お父上が浮世絵研究の大人物だったから、なるほどと思う。しかし、少年時代の山口くんにそんな雰囲気はなかったとも思う。母校の基調は西洋かぶれ! でも、だからこそ東洋に過激に反転する人も出る。山口くんはそういう極上の例だ。専門領域にこだわり縛られる学者や評論家でなく、今を生きながら、あらゆる美術品の時価をはじき出すオークションスペシャリストになったところが、またいい。本書を見よ! 雪舟から杉本博司まで。縄文土器から1980年代生まれの美術・工芸家まで。こんなに自由で幅広で、しかも独自目線の漲っている日本美術ガイドに触れたことがない。真の遊び人に乾杯!

死ぬまでに知っておきたい日本美術

山口 桂

2022年11月17日発売

1,320円(税込)

新書判/256ページ

ISBN:

978-4-08-721242-6

目利きが伝える、大人のための日本美術入門!

【推薦】
こんなに自由で幅広で、しかも独自目線の漲(みなぎ)っている日本美術ガイドに触れたことがない!
──片山杜秀氏(政治学者、音楽評論家)

【内容】
「西洋美術と比べて、日本美術には馴染みがない」。
そう感じている日本人は少なくないだろう。
しかし、絵画、掛軸、彫刻、陶芸、漆芸など日本美術の深遠な世界を知らずして一生を終えるのは実にもったいない。
本書は世界的オークション会社クリスティーズの日本支社長である著者が、豊富な体験エピソードを交え、豪華絢爛な屏風から知る人ぞ知る現代美術まで、日本美術の真髄を紹介する。
知識をたっぷり吸収したら、本書を携え、美術館・博物館めぐりに出かけてみよう。
美意識が磨かれる、大人のための日本美術入門。

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