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失敗に終わった「ロードショー」の挑戦!? 世界を席巻したのは『ジュラシック・パーク』

集英社オンライン / 2022年11月30日 12時1分

この年「ロードショー」は表紙をリニューアル。吉と出たか凶と出たか!? また、コンピューター・グラフィックス全盛時代の先触れとして、現在までシリーズが続く、あの恐竜映画が封切られる。

『ジュラシック・パーク』旋風

この年の上半期(1~6月号)の表紙、下半期と比べてみると、おや?と思われないだろうか。極端なアップにトリミングした写真、Rだけを白抜きにしたロゴ。見出しの文字は小さく、数も抑え気味だ。どうやらこの時期、「ロードショー」はクオリティマガジン風を狙ってみたらしい。大人の読者獲得を試みたのだろうか。
しかし…はかばかしい成果は上がらなかったのか、7月号からはこれまでどおり、アイドル風ポートレートににぎやかな惹句が躍る表紙に戻っている。



それもそのはず、1993年は子供観客が熱狂した『ジュラシック・パーク』(1993)の年だ。マイクル・クライトンの原作をもとに、ヒットメーカーのスティーヴン・スピルバーグ監督が映画化した同作は、リアルすぎる恐竜が世界中の観客の度肝を抜いた。
それまでは一部でしか使われることがなかったコンピューター・グラフィックスが、ハリウッド映画に欠かせないツールになったのもこの作品がきっかけである。

もっとも、『ジュラシック・パーク』に登場する大部分の恐竜はアニマトロニクスを使用しており、CGを使用したシーンは全体のうち7分程度しかない。あれから30年近く経過し、テクノロジーが飛躍的な進歩を遂げたにもかかわらず、同作の恐竜がそれほど古びて見えないのは、こうした工夫の賜物といえる。

健康的な魅力で人気を呼んだアリアナ・リチャーズ
©ロードショー1993年9月号/集英社

ロードショーは7月号の特報を経て、「LA発『ジュラシック・パーク』を見た!!」(8月号)、「『ジュラシック・パーク』大辞典」(9月号)、「『ジュラシック・パーク』大ヒット御礼」(10月号)と大プッシュ。その甲斐もあってか、『ジュラシック・パーク』の配給収入は83億円に到達し1993年のトップとなった。
ちなみに、2位以降も『ボディガード』『アラジン』『ホーム・アローン2』(ここまで1992製作)『逃亡者』(1993)とハリウッド映画が独占している。

『ジュラシック・パーク』でハモンドの孫娘レックス役を演じたアリアナ・リチャーズは、9月号の表紙を飾る。そればかりか、日本でアルバム『First Love』をリリース。人気者に日本でレコードデビューさせるのが、当時は当たり前だったようだ。現在は女優を引退し、画家として成功している。

一方、レックスの弟ティム役を演じたジョセフ・マゼロは、大人の役者に成長。スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスが製作総指揮を務める戦争ドラマ『ザ・パシフィック』(2010)や、大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)に出演している。

スターも人生いろいろ

1993年もっとも話題になった映画が『ジュラシック・パーク』だとすると、TVで読者の関心をもっとも集めたのは『インディ・ジョーンズ 若き日の冒険』(1992~1993)だろう。同作は映画『インディ・ジョーンズ』のスピンオフで、1992年から米ABCで放送。日本では1993年からテレビ朝日系列で放送された。
若きインディ役に抜擢されたショーン・パトリック・フラナリーは、「ロードショー」5月号の表紙に初登場。その端正なルックスで日本でも人気者になり、やはりCD『あくなき挑戦』を発売している。その後も、ノーマン・リーダスと共演の『処刑人』(1999)シリーズなど役者としての活動に加えて、格闘技にのめり込み、ロサンゼルスで武術教室を開くなどしている。

いかにもアメリカンボーイという雰囲気が人気だったショーン・パトリック・フラナリー
©ロードショー1993年5月号/集英社

90年代のハリウッド映画を語るうえで、忘れてならないのが7月号の表紙を飾ったブリジット・フォンダだ。祖父ヘンリー・フォンダ、父ピーター・フォンダ、伯母ジェーン・フォンダと芸能人一家で育った彼女は、名門で学んだ演技力と美貌でトップ女優の仲間入りを果たす。
とくにこの頃は、『ルームメイト』(1992)『シングルス』(1992)そして、『ニキータ』(1990)のハリウッドリメイク『アサシン』(1993)『リトル・ブッダ』(1993)『あなたに降る夢』(1994)ともっとも精力的に活動していた。だが、ジェット・リーと共演した『キス・オブ・ドラゴン』(2001)を最後に、映画に出演していない。

ちなみに、ティム・バートン監督とのコラボレーションで知られる映画作曲家ダニー・エルフマンと、2003年に結婚している。


◆表紙リスト◆
1月号/ウィノナ・ライダー 2月号/マコーレー・カルキン 3月号/トム・クルーズ 4月号/シャロン・ストーン 5月号/ショーン・パトリック・フラナリー※初登場 6月号/ジョディ・フォスター 7月号/ブリジット・フォンダ※初登場 8月号/ジョディ・フォスター 9月号/アリアナ・リチャーズ※初登場 10月号/トム・クルーズ 10月号/ハリソン・フォード 11月号/シャロン・ストーン
表紙クレジット ©ロードショー1993年/集英社

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