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愛する妻と娘を失う難役に挑んだ大泉洋。「できることなら避けたい役だった」

集英社オンライン / 2022年12月2日 14時1分

映画『月の満ち欠け』で、愛する妻と娘を失う難役に挑んだ大泉洋。「できることなら避けたい役だった」と語る撮影の裏側と、家族の絆を聞いた。

いろんなシーンで泣いてしまった

──大泉さんが演じられたのは、妻と娘を事故で失う小山内堅役。初めて脚本を読まれたときの印象を教えてください。

最初は大変辛い役だなと思いました。撮影とはいえ2ヶ月間、小山内の思いを抱えて生きるのは苦しいなと。正直な話、できれば避けたい役でした。

脚本を読んで泣いてしまったんですが、どこか、それだけに終わらない前向きになれる要素があったし、色々な話が見事に絡み合って成立していると感じましたね。

僕が演じる小山内は家族を突然失ってしまうわけだけど、目黒(蓮)君と、有村架純さんのラブストーリーが小山内の人生にまで関わってくる。その関わり方がとっても絶妙で、脚本としておもしろかったです。



──特に印象的だったシーンは?

事故に遭った妻と娘を確認しに行く遺体安置所のシーンです。セットに入った瞬間から、「あ、ダメだ、ダメだ。ここにはいられない」という感じだったんです。

そしたら監督が、「僕はこの映画で、大泉さんが涙を流すのはこの1回でいいと思っている」と言っていて。ただ、「別にここは泣く必要ない」と言われたところでも、いろんなシーンで泣いてしまいました。

──だからこそ、小山内の辛さが見ている側にもよりリアルに伝わってきました。

小山内って、家族を失ってからずっと心に蓋をして生きてきたと思うんですよね。ところが、そこに目黒くん演じる三角が突然現れて、「あなたの娘さんは、ある女性の生まれ変わりだったんじゃないか」なんて、無理くり傷口を開くようなことを言われるわけです。

ずっと見ないようにしていた娘のアルバムを久しぶりに開いたりするシーンは、もう一度娘に会えたような気がしてね。要所要所で心が大きく動かされました。

──劇中では28歳から55歳までを演じられましたね?

28歳あたりはもう、諦めてましたね。だってこっちは49歳ですから。僕の仕事じゃないなみたいな感じ(笑)。そこは衣装さんとメイクさん、セットで時代感を出していただいて。僕自身は明るく元気に演じました。

なるべく順撮りにしてもらったので、前半の家族との撮影では、楽しく幸せなシーンが多かったんです。だから私生活でもちゃんと食べて、多少太っていてもいいくらいに思っていました。

大変だったのは、やっぱり歳を取ってからですね。妻と娘を失ってから数年飛ぶので、僕の撮影は少し時間を開けてもらって、数日で体重を落としました。ご飯をあまり食べられないし、後半はいよいよ厳しい撮影でしたね。

娘の友達にまでノロケる夫婦を熱演

──柴咲コウさん演じる妻の梢とのシーンがとても幸せそうでした。彼らの夫婦関係は、どう映りましたか?

仲のいい家族ということは、ものすごくわかるんです。ただ、具体的なセリフに関しては、内心、「堅も梢もやたらノロケるな」という気持ちはちょっとありました(笑)。僕がまったくそういう人間じゃないから。実は一番役作りが難しかったのはそこかもしれない(笑)。

自分が今まで生きてきて出会った家族を思い出してみても……まあ、いなくはないか。でも、まずもって旦那をよく言う妻はなかなかいないですよね(笑)。

人前でもノロける夫婦はあまりいないので、演じる上ではちょっと照れくさかったです。

ただ、相手が柴咲コウさんだから成立しちゃうんですよ。「こういう人いるかもな」って思わせる説得力は素晴らしいと思いました。お芝居になるとすいっと“最愛の奥さま”になりますから。

──家族の絆やつながりを描いた作品を通して、大泉さんが考えたことは?

この映画は生まれ変わりをテーマにしているから、生まれ変わりとはまたちょっと違うんだけど、不思議だなと思うことは僕自身も体験していまして。

娘の部屋に子供の頃からの写真が飾ってあるんだけど、その中に、僕の顔を貼り付けたうちわと、生まれて数ヶ月の娘が一緒に映っている写真があるんです。おそらく、僕が北海道で仕事をしているときに、妻が送ってくれたものだと思うんです。

まだ首もすわっていない赤ちゃんだったのに、娘はその当時の記憶がハッキリあるって言うんです。「パパに送るから笑って、とママが言った」と。それは不思議だなと思いましたね。

──本当に仲のいいご家族ですね。

僕はありがたいことに家族仲はいいですね。今の家族はもちろん、生まれ育った北海道の親父やお袋、兄貴とも仲がよくて。すごく幸せで温かい家族に囲まれてきました。

もちろん、夫をあんまり褒めないところは、うちの母も妻も同じですけど。とっても楽しく親しみやすい家族です。

でも、どうやらそういう家族ばかりではないんですよね。子供が小さい頃に離婚せざるを得なかった夫婦もいるだろうし、僕が演じた小山内のような経験をして、辛い思いをされている方も、世の中にはいる。

もしも大切な人を亡くされた方にこの映画が届いて、少しでも前向きになってもらえることがあるならば、うれしいなと思います。

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

©2022「月の満ち欠け」製作委員会

撮影/nae. 取材・文/松山梢 ヘアメイク/西岡達也(Leinwand) スタイリスト/九(Yolken)

ジャケット ¥550,000(ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社 / 03-6274-7070)
その他スタイリスト私物

大泉洋
演劇ユニット「TEAM NACS」メンバー。深夜番組「水曜どうでしょう」(HTB)にレギュラー出演後、全国放送のドラマに出演数々のドラマ、映画に出演し、主演作品も多数。主な映画の出演作は『探偵はBARにいる』(2011)『しあわせのパン』(2012)『ぶどうのなみだ』(2014)『そらのレストラン』(2019『青天の霹靂』(2014)『駆込み女と駆出し男』(2015)『焼肉ドラゴン』(2018)『こんな夜更けにバナナかよ』(2018)『騙し絵の牙』(2021)『浅草キッド』(2021)など。2023年9月1日には山田洋次監督作『こんにちは、母さん』が公開予定。

『月の満ち欠け』(2022)上映時間:2時間8分/日本
仕事も家庭も順調だった小山内堅(大泉洋)の日常は、愛する妻・梢(柴咲コウ)と娘・瑠璃のふたりを不慮の事故で同時に失ったことで一変。深い悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦と名乗る男(目黒蓮)が訪ねてくる。事故に遭った日、小山内の娘が面識のないはずの自分に会いに来ようとしていたこと、そして彼女は、かつて自分が狂おしいほどに愛した“瑠璃”という女性(有村架純)の生まれ変わりだったのではないか、と告げる。

12月2日(金)より全国公開
配給:松竹株式会社
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/tsuki-michikake/
©2022「月の満ち欠け」製作委員会

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