2020年には芸歴3年目にして「NHK新人お笑い大賞」優勝、今年も「ABCお笑いグランプリ」準優勝と、若手芸人の登竜門的コンテストで結果を出し続ける注目株、令和ロマン。
――おふたりは慶應義塾大学お笑い道場「O-keis」の先輩・後輩ですが、どんな経緯でコンビを組んだんですか?
ケムリ 僕はもともとサークルの同期と別のコンビを組んでて、そのままプロになるつもりだったんですよ。でも、大学3年の冬くらいに当時の相方が「就職する」って突然言いだして、僕は完全に路頭に迷いました。そんなときに就職しなさそうな彼(髙比良くるま)がいて(笑)。最初はお試しという感じで「プロになるつもりで組んでみない?」と僕から誘いました。
――お試し期間はどうでしたか?
ケムリ 「大学生M-1グランプリ2015」で準優勝できました。結果も出せたし、面白いこともできていたと自分では思っていたので、「プロにいかないか?」って。
――そう言って、くるまさんを誘ったんですね。
ケムリ いえ、直接は言ってないんですよ。気持ちで。「わかるよね?」みたいな(笑)。
くるま 僕ら、お互いに一度もはっきりと「コンビ組もう」とは言ってないんですよ。雰囲気だけで。
――状況的に「もうコンビ組んでるよね」みたいな感じだったんですね。
くるま そうです。NSC(吉本興業の養成所)の願書には相方の名前を書く欄があるんですが、「(松井ケムリも)たぶん書いてるよな~」と思って。
――お互いが半信半疑だったんですか?
ケムリ はい。だから僕は「おまえも入学していてくれ~」って思ってました(笑)。
――入学式に行ったらくるまさんがいて、「よかった~」って感じですか?
ケムリ そうです。
くるま 相方は大学を卒業するタイミングだったんですけど、僕は1つ下なんで正直迷ってました。ホームで電車を待ってて、ちょっと混んでる先発電車に乗るか、1本あとの空いてて座れる電車に乗るか。すごく迷ったけど、ちょっと混んでる先発電車に乗りました。
ケムリ 例えすぎだよ(笑)。
“競技漫才の申し子” 令和ロマン。魔人無骨時代の“あのワイルドカード”以来となるM-1準決勝へ!「全28組中、“27組と1人”は分析なんかしていないと思いますけど」(くるま)
集英社オンライン / 2022年11月29日 18時31分
明日11月30日に『M-1グランプリ2022』の準決勝を控える、令和ロマン。ルーキーイヤー以来2度目、初のストレート進出を果たしたM-1準決勝の直前に、“猟奇的お笑い分析”で紐解いた最新お笑いトレンド、魔人無骨時代の“あのワイルドカードの件”など赤裸々に語ってもらった。
一度もはっきりと「コンビ組もう」とは言ってない
芸歴1年目らしからぬ“ワイルドなツカミ”
――その後、東京NSCの卒業公演「NSC大ライブTOKYO2018」で見事優勝し、“首席”で卒業。芸歴1年目の「M-1」(2018年)では準々決勝で敗退しますが、「GYAO!ワイルドカード」の枠で復活し、準決勝でネタをやることができました。そのときの手応えはどうでしたか?
くるま 無我夢中で宿題を解いてたら準決勝に行けたというか。「M-1でウケるにはどうしたらいいんだろう?」と思って、予選1回戦から見に行ってました。「誰々のこんなネタがウケてるから、こういうネタをやろう」というように分析していたら、いつのまにか準決勝にたどり着いちゃって。
――僕、その年の準決勝でのおふたりのネタを会場で見たんですよ。ワイルドカードに関するネタをツカミで入れて爆笑を取ってましたよね?
ケムリ 彼がすごく暴れながら舞台袖からステージへ出て行って、「ワイルドカードってそういう意味じゃないよ」って僕がツッコんだやつですね。
――それそれ!「1年目でこんな気転の利いたこともできるんや」と思って、度肝抜かれました。
くるま 僕らは勝負を諦めてたので、逆にそういうことができたんですよ。今もそうですが、「審査にマイナスに影響したとしても、楽しいほうがいいや」という気持ちでやってます。
――準決勝に復活できるワイルドカード枠は「GYAO!」で公開された準々決勝敗退コンビのネタ動画で「視聴人数1位」を獲得したコンビ・トリオが復活するというルールでしたが、魔人無骨(令和ロマンに改名する前のコンビ名)のネタ動画がサイトの一番上にあったため、「自動的に再生されたんじゃないか」というような意見もネット上では見られましたよね。
くるま 実際のところはわからないんですよ。でも、おそらくそうじゃないかと……。じゃないと僕らが1位になるはずがない。だから、ラッキーって感じでした。
ケムリ 確かにネタ動画の掲載順は僕らが最初でしたが、動画を最後まで見ないと再生回数としてカウントされないはずなんで……。
くるま その後すぐ令和ロマンに改名したんですけど、いちばんの理由は“あのワイルドカードの件”でよくも悪くも名前が知れ渡っちゃったから。自分たちはまだ面白くないのに、名前だけが大きくなってる感じがあって。個人的にそれがすごく嫌だったんですよ。こつこつ頑張りたかったので、「コンビ名を変えたいな~」と思ってました。
今年のトレンドは“ベタから1個外れたやつ”
――くるまさんは昨年、一昨年と吉本興業のWEBマガジン「月刊芸人」の「準決勝&決勝進出者会見レポ」企画で“記者”として生観戦されていますよね。M-1分析は芸歴1年目から続けていると思いますが、具体的にはどんなことをしているんですか?
くるま 大会が始まる前から、「最近はこういうネタが流行ってる」というのはなんとなくあるんです。前年のM-1が終わったときに新しい流れが始まるというか。例えば、錦鯉さんが優勝したら、シンプルなネタが流行り出すとか。今は全国にある吉本の劇場のライブを配信で見れるので、そこで傾向を把握しています。その流行りから推測される自分たちに合ったネタを準々決勝から準決勝に向けてチューンナップする感じです。
――今年の流行りはどうですか?
くるま 今年は簡単に言うと、ベタから1個外れてますね。僕はネタのトレンドをシンプルなやつ、1個深いやつ、その深いやつすらもすかすやつ、という3段階に分けて考えています。この3つで流行りが巡るんですが、今年はその2つ目のイメージです。
――めちゃくちゃ分析してますね! 今年準優勝した『ABC お笑いグランプリ』(朝日放送)でも何か分析をしたんですか?
くるま 東京の芸人は飛び道具みたいなネタを求められているなと感じましたね。正統派は大阪の芸人から取るので。過去2年くらいは最終予選でオーソドックスなネタをやってウケたんですが、それだと通らなくて。だから、今年は今までやってきたなかでいちばん変なネタにして、衣装も変なものにしたら、決勝に行けました。
――初のストレート進出となったM-1準決勝はいかがですか?
くるま 毎年、準決勝に限っては「ウケたもん勝ち」と言われているんですけど、今年はその傾向がさらに強まると思っています。「M-1だとこういうことを言っちゃダメかな」という空気が例年だとあるんですが、今年はなんでもありの勝負になるのではないかと。
――今年の準決勝メンバーの特徴は?
くるま ミルクボーイさんやトムブラウンさんみたいな新しいシステムを発明して上がって来た人が今年はいないんですよ。だから準決勝では、ウケの大きさによるバトルになると思います。
M-1優勝したら、“クローン霜降り明星”に?
――ほかに分析していることはありますか?
くるま 準決勝の会場はニューピアホールですが、ここは異常なんですよ。聞くところによると株主総会とかをやるホールみたいで、そもそもステージが仮設です。だから足音がうるさかったり、音が響かなかったり、普段の劇場とは全然違って。あと奥行きも横幅もあってお客さんの顔が見えにくいので、大きな会場で漫才をした経験のあるコンビは有利かもしれないです。
――ちなみに、ほかの芸人さんもくるまさんみたいに分析してるんですか?
くるま 対策を考えるのって基本的につまらないので、誰もやらないです。僕がたまたま好きなだけで、本当は自分が面白いと思うことをやり切ればいい大会なんで……。準決勝に進出した全28組中、“27組と1人”は分析なんかしていないと思いますけど。
ケムリ たしかに僕も考えてない(笑)。今日、僕が話せることはないです。
――では、ケムリさんにお聞きします。今年の準決勝は同じ学生お笑い出身の芸人さんが多いですが、意識はしていますか?
ケムリ それも彼に聞いてもらったほうががいいんじゃないですか?
くるま なんでだよ。意識するかしないかは自分で言えるだろ。
――(笑)。もしM-1で優勝したら、何かやりたいことはありますか?
くるま 僕らが間違って優勝しちゃったら、「霜降り明星になれる」と思われて“クローン霜降り明星”にされかけるけど、半年ぐらいで「あれ、なれなさそうだな」ってなったあとに「やりたいこと」という意味ですよね?
――違いますよ(笑)。
ケムリ 僕は優勝した次の年の『紅白歌合戦』(NHK)に変な出方をしたいです。
――変な出方?
ケムリ オードリーさんがM-1で準優勝した翌年の紅白で、美川憲一さんが歌っている後ろのビジョンに春日(俊彰)さんの写真が大きく映し出されたあと、本物の春日さんが出てくる、という演出があって(笑)。そういう変なおもちゃになりたいです。
くるま 僕は喫茶店とかやりたいですね。
――若手がやることじゃないでしょ(笑)。
ケムリ どのあたりでやりたいの?
くるま 松陰神社前とか。
ケムリ なんでだよ(笑)。
取材・文/インタビューマン山下 撮影/TOWA
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