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「批判をマネージできなければここには立てない」スペイン戦に向け、自らを奮い立たせるキャプテン・吉田麻也の決意

集英社オンライン / 2022年12月1日 14時1分

「たくさんの批判が起こることは理解している」11月27日に行われたコスタリカ戦で、失点に直接からむミスを犯した吉田麻也は厳しい表情を見せた。だが、下を向くわけにはいかない。4年間、日本代表を引っ張ってきた偉大なキャプテンは、スペイン戦でもチームを鼓舞し続ける。

「たくさんの批判が起こることは理解している」

4年前のワールドカップ・ロシア大会を最後に、長谷部誠が“代表引退”を決断して以降、日本代表のキャプテンを務めてきたのが、吉田麻也である。

日本代表のみならず、海外クラブでのプレー経験も豊富な34歳は、ピッチ内外で類い稀なキャプテンシーを発揮。試合や練習でチームの先頭に立つことはもちろん、ピッチを離れた日常でも、試合に臨む心構えなどについて、経験の少ない若い選手へ伝えてきた。



ときに日本でのサッカー人気低迷を危惧し、ヨーロッパでプレーする海外組の選手たちに、「シーズンオフを利用して、多くのメディアに露出しよう」と呼びかけたこともあったほどだ。

英語が堪能な吉田には海外記者がマイクを向ける機会も多く、その発信力は国内外を問わず、際立っていた。この4年間、批判を受けることが少なくなかった日本代表にあって、吉田が常にチームの矢面に立ってきたのは間違いない。

そんなキャプテンが今、窮地に立たされている。

ワールドカップという大舞台で、強豪ドイツから歴史的勝利を手にした日本代表。ところが、続く第2戦では一転、コスタリカに0-1で敗れてしまったのである。

グループリーグで対戦する3カ国のなかでは明らかに力が落ち、日本にとっては絶対に勝たなければいけない相手。大会開幕前から、そう目されていたのがコスタリカだった。

ところが、日本はそんな相手に対し、どこか腰の引けた煮え切らない戦いに終始。得点を奪えなかったばかりか、試合終盤にミスから失点し、引き分けでの勝ち点1さえ取れなかったのだから、失態と言われても仕方がない。

吉田が語る。

「ドイツ戦からの3日間、この試合が難しくなることは間違いないと思っていたし、そのなかで自分自身にも、チームにも、準備ができているかとずっと問い続けてきたが、これがサッカーの難しさ。一番起きてはならない展開になってしまった」

しかも、失点に直接からむミスを犯したのが、当の吉田だった。

自陣深い位置で奪ったボールを拾った吉田は、大きく蹴り出し、セーフティにプレーする選択肢もあったなか、近くの味方選手にパスし、そのまま攻撃につなげることを選択。ところが、そのパスがズレて、相手選手に奪われ、ゴールを決められてしまったのである。

「最低でも(引き分けて)勝ち点1は取らなきゃいけなかった」

そう語り、厳しい表情を見せる吉田は、「たくさんの批判が起こることは理解している」と自責の念も口にした。

「ここですべてを投げ出すにはまだ早い」

しかしながら、チームの先頭に立つキャプテンが自らのミスに落ち込み、下を向いてしまえば、チーム全体の空気は淀むばかり。せっかくのドイツ戦勝利も、帳消しどころか、むしろコスタリカ戦の不甲斐ない負けを一層強調するものにすらなりかねない。

吉田は、自らを奮い立たせるように言葉をつなぐ。

「個人的にも、日本代表としても、こういう大きな大会、注目される大会では批判がつきもの。それをマネージできなければここには立てない。前回大会の(失点につながるミスをした)川島(永嗣)選手がそういう姿を見せたように、やっぱりもう一回立ち上がらなきゃいけないし、自信と勇気を持って(第3戦の)スペイン戦に挑まなきゃいけない。ここですべてを投げ出すにはまだ早い」

これで1勝1敗となった日本がグループリーグ最終戦で対戦するのは、2010年南アフリカ大会でワールドカップ初制覇を成し遂げたスペイン。現在ヴィッセル神戸に在籍するアンドレス・イニエスタらを擁したころの強さは失われたとはいえ、依然世界トップレベルの力を持つ難敵だ。

そのスペインに対し、日本は勝てば、初の2大会連続となる決勝トーナメント進出が決まる一方で、敗れれば、グループリーグ敗退が決定。引き分けた場合は、同じグループのもうひとつの試合、ドイツ対コスタリカの結果次第で決勝トーナメント進出の可能性を残すことになる。

つまり、スペイン相手に最低でも引き分けることができなければ、今大会の日本の戦いはここで終わり。日本にとっては、かなりハードルの高い突破条件と言わざるをえない。

だが、吉田はこの4年間、常にそうであり続けたように、ここでもまたチームの勝利だけに視線を定め、チームを鼓舞すべく、こう語る。

「スペイン戦に向けて切り替えてやっていくのみ。(大事なのは)もう一回、しっかりといいリカバリーをして、いい分析をして、スペイン戦に向けて準備すること。まだ何も終わっていない。それはドイツ戦の後にも話したが、まだ何もつかみ取っていないし、何も失っていない。(今までと)変わらずに、チームとして勝ち点を取りに行かなければいけない」

偉大なキャプテンが引っ張ってきた日本代表の4年間の戦いは、ここで幕を下ろしてしまうのか。それとも、まだ続きを見られるのか。

運命のスペイン戦は12月2日午前4時(日本時間)、キックオフのときを迎える。


取材・文/浅田真樹

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